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ganiwara
他人のために、一本の毛さえ抜かない
楊朱はこう言った。「伯成子高は、(自分の)一本の毛さえ他人のために使おうとせず、地位を捨てて隠居した。禹は、自分の全身を他人のために使い、体が朽ち果ててしまった。昔の人は、一本の毛を失うだけで天下を救えるとしても、そうしなかった。天下全てを差し出されたとしても、受け取らなかった。誰もが(我が身を大切にして)一本の毛さえ失わず、誰もが天下を救おうなどと(大それたことを)考えなければ、(むしろ)天下は治まるのだ」
(それを聞いた)禽子は楊朱に問うた。「一本の毛で世界を救えるなら、あなたはどうしますか」楊朱はこう答えた。「そもそも一本の毛で、世界を救えるはずがない」
『列子』楊朱篇にはこういう話がある。楊朱の発言を逆から言えば、世を治めようとすることこそが、世を乱しているということになる。こうした思想は、『老子』13章と共通している。