パートナーシップ制度について。

私は同性愛者ではない。
と、断言はできないけど、多分これまでの人生で、同性を恋愛的な意味で好きになったことはほぼないから、多分同性愛者ではない。

私は「家族」を作りたくない。
ここで言う家族というのは、私(生物学上も法律上も女)が、生物学上も法律上も男であるパートナーを見つけて法律上の結婚をして、私が妊娠して、子どもを生んで、そんで法律上「家族」と認められる集団という意味での「家族」である。
で、私はその「家族」を作りたくない。
なぜかというと、私はそういう意味での「家族」を作れる自信がないからだ。

私の実家の「家族」は、あんまりいい「家族」じゃなかった。
母親は彼女の実家のDVによる被害者だったし、それだけではないところで実親に色々振り回されてきた。その結果として、子どもや義実家に、ヒステリーを起こして感情を爆発させることが止められなかった。
父親は、どうも「家族」に無関心ではないようだけど、口下手で、母親のヒステリーをうまく収めるすべを持っていなかった。なので、母親が爆発したら、子どもをおいて一人だけどこかへ逃げていく、というスタイルで四半世紀以上が過ぎた。

こういう実家の現状を見ていて、私は、「家族」って全然いいものじゃないな、と思った。
母親のヒステリーを一番ぶつけられたのは私なので、私は10代からうつ病になっていた。
それが寛解したのは30歳を超えてから。
今も母親を許してはいないし、父親も嫌いである。
そういう意味で、私は「家族」に夢を持てない。

いわゆるサバイバー的な過ごし方をしてきたものの、自分が結婚して当事者になれば変わるよ、という人ももちろんいるだろう。
でも、私は違う。
私はそもそも「子どもを生みたい」と思ったことがない。
結婚はしても、子どもを自分で生みたいとは思わない。
自分で、親とは違う「家族」を、現行の法律の枠組みでやっていきたい、とはあまり思っていない。

でも、「家族」はほしい、と思う。
私の言う家族は、血縁関係があったり、法律で異性としか結婚できないとかいう意味での「家族」ではないんじゃないかな、と思う。

私の言う「家族」は、

  • 共通の興味や趣味でつながっていて、

  • 言葉で価値観や行動のすり合わせができて、

  • お互いの価値観や行動をすり合わせできる

  • そういう人たちのゆるいつながり

というものなんだろう。

私の考える「家庭」は、そういう、ゆるくつながりあった人たちが何となく集団で生活している場所であって、窮屈すぎないあたたかい場所をイメージしているんだと思う。

このイメージは、私の実家が冷え切っていて、子どもは自分の意見もろくに言えず、言ったところで伝わらず、親自体が常に精神的に切迫した状態で、いつヒステリーを爆発させるかわからない恐怖を子どもに与えていた状態を反面教師にしたものだ。

気が合う人間と、落ち着いた状態で、お互いの意見を尊重しながらのんびりとあたたかく暮らしたい。
私が受けてきた虐待とも呼べる体験を尊重し、「子どもを生んでほしい」とか、「家事はよろしくね」とか、そういう「普通の家庭像」を私に要求しない人間と暮らしたい。
結局、私が普通の法律婚を望まないのは、そういう法律婚を望む男性は、私が受けてきた傷や、家族に対する理解をそもそもできないから。だから、そういう男性と暮らしたところで、お互いの意識や価値観のギャップが大きくなって、最終的に分かれるしかなくなるからなんだろうなあ。
虐待経験や、親との不和は、体験した当事者や、その現実が近くにあった人にしか伝わらないことも大きい。だから、「普通」に育ってきた人からすると「親に殴られる・暴言をはかれる・無視される、ナニソレ? ほんとにそんなことあんの?」ぐらいの都市伝説みたいなものなので、意識をすり合わせようとしても、結局できないこともままある。

だけど私は「家族」がほしいので、今の法律上ではないところでの「パートナーシップ」を結びたい。

たしかに最近は、性的マイノリティの方へのパートナーシップ制度は拡充されているのだと思う。
でも、単に現行の婚姻制度がうまくはまらないので結婚していない人もたぶん多くいるんじゃなかろうか。
私は、「現行の婚姻制度でOKと思っている人」とは思想的に結婚できない、と考えているので、そうじゃない人と結婚したい。
そう考えると、もう少し「パートナーシップ制度」自体を事実婚にも広げていいんじゃないの?と思ったのだった。

とはいえ、「事実婚」自体はもう長いこと社会通念上「こういうもの」という暗黙の了解のようなものができあがっているから、今更それを「パートナーシップ制度」に入れる、みたいなことにはならないのかな。

千葉市では、性的マイノリティに限らず、事実婚でも「パートナーシップ制度」を利用できるらしい。


うーん、しかし、読んでみたけど、制度を導入している自治体以外では拘束力を持たないのは不便だよなあ…。
みんなが公営住宅に入りたいわけではなかろうし、こういう制度が民間でも利用しやすくなったらいいんだけどな。

とはいえ、今別にこういう制度を利用して関係を結びたいパートナーがいるわけじゃないんだけど。
でも、最近、「こういう人間と一緒に暮らせたら楽しいだろうな」と思える人間が現れたりしたので、”もしも”のときのために、妄想をたくましくしておいてもいいかな、と思ったのだった。

いつか自分に(自分が定義する上での)「家族」ができたら、そのときは、やっぱりのんびり暮らせたらなと思う。
そのときに、パートナーシップ制度を選ぶのか、事実婚なのか、色々話し合って(自分も納得して)法律婚になるのか、どれになるかはわからないけど、「選択肢は、誰もがどれを選んでもOK」となる社会にその時なっているといいな。
今の自治体じゃ、パートナーシップ制度はないしね。
パートナーシップ制度が全国に当たり前にできてほしいし、ちゃんと法的拘束力も与えておいてほしいよ。
相手に残せるものは残したいし、相手の死後とかも考えたら、年金とかどうするの~、っていう話も出てくるじゃん。

というわけで、まだパートナーいないけど、一応「家族」自体は作りたいなと思っている状態ではあるので、まとめて書いてみた。
今日はこれで終わり。

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