詩【真っ白のほとりで】
爆音で響く君のメロウな心音 BPMは
無機質なイヤホンの安っぽい音さえも
磨かれた真壁の白御影かのように
旋律にそってはピカピカと輝かすよ
ギスギスとした心、泥沼の残り香
ああ、感情に囚われていたくもなる
そんな時、あまりにも失った
音へと委ねる横たわった心の側面に
その身を寄せておくれ、あたたかいから
秋の風もすでにかすかな冬のにおいを乗せて
駐車場の光、街灯の光
寂れたビルまでもめがけては
今年もまた懲りることもなく
ぼやけさせるのさ
じわっ、じわっとね
冬の景色を覚えているかい?
もちろん覚えていますとも
つまらない買い物をしてしまった日のように
はぐれかけた心のはじっこを掴みそうな
その手の感触が思い起こす記憶
身体中を伝達するうちに電流ははじけて
ショートした感覚とともに温もりに窮する
それが僕の冬なのだよ
孔雀がベランダのそばまで来るホテル
ある一つの忘れかけた出来事の曖昧な情景は
あの日のまま放っておかれたパズルと同じようにあっけなく消え去るのか、長きにわたる時を超えまた僕の目の前に浮かび上がるのか
もう、このままではいられない
不安に満ちた余暇とこの上ない喜びが、終わりのないカーテンコールとして繰り返されていた頃、つまらなかった世界のほとりで頬杖をつきながら屈託ない笑顔で飲み込まれていくものがあった
今更と思いながら、それを「明日」と呼びながら僕は追い求め続けた
その世界が飲み込めないほどの思いは、いつかは溢れるだろうと、思っていたのだよ
常に狂ったキャブレーターによっていつも僕のペースは乱されるんだけど、目の前に広がったあまりにも真っ白な景色に困惑することが幸せということなんだ、そうだろう?
ずっと忘れかけていた雪のようなパズル
運命に組み換えられようとも変わらなかった本当の姿が今目の前に広がっている
あたたかいな
あたたかいよ
冬の景色を覚えているかい?
もちろん覚えていますとも
またいつか君にも、聞いてみたい