田舎町のタクシー
「来月からうちの町のタクシー、午後10時までだってさ」
「え〜、じゃあゆっくり飲んでもいられねえな」
「わざわざ隣の町のタクシー呼ぶやつもいるくらいだからなあ」
田舎のタクシーは台数も少ない。夜間だと1〜2台くらい。電車はというと午後10時台で終電である。そもそも田舎では、電車に乗って飲みに行くという感覚がない。
遠い昔、私は深夜、彼女にふられ、タクシーで帰路についたことがある。手持ちが少なかったため、運転手さんにそのことを告げ、途中で降ろしてもらうよう頼んだ。気を使ってくれた運転手さんは、深夜割増のメーターを戻し、走ってくれた。
田舎ではそんな経験も出来なくなってしまった。
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