クリスマスはクルシミマス

 ミスターパウェルは悩んでいた。クリスマスシーズンが近づいていたからだ。
 日本では、クリスマスは楽しい行事だと思われているが、欧米ではそれだけではない。妻や夫、恋人に限らず、家族、親族、友人にまでプレゼントを贈らなければならない。デパートやスーパー、通販業者にとって、クリスマスは一大商戦であり、家のクリスマスツリーの下には、届けられたプレゼントが、すずなりに置かれる。
 しかし、アメリカの片田舎の安月給の英語教師の彼にとっては、大変な負担である。まるで自分の体が、ツバメやカラスについばまれているような気持ちになる。雪の降る中、わざと愛車のフォルクスワーゲンに急ブレーキをかけて、車を一回転させたり、クリスマスの悩みを、私に絵に描いて打ち明けたりと、面白い先生だった。
 日本のイルミネーションの、きらびやかな光景を見ながら、ミスターパウェルは、今年も頭をかかえているのだろうか。

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