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傷だらけの第一関節

「マズいな、変色してやがる。」

赤色に腫れた中指の第一関節を見ながら
思わず呟いてしまった。
利き腕だから、更にマズいと予想出来る。
ここ数日、急に腫れてきて
痛みも伴うようになってきたので
何かを書いたり、
箸を使って、何かを食べるのも
億劫になってきていた。
数日前は、まだガマン出来ていたが
少しずつ、痛みに対して
ガマン出来なくなってきている。

「これは、ダメだな。」
「病院に行かないと。」
先週の休みの日に、
少し痛み出していた時点で
医者にかかるべきだった。

「こんなもの自然に治るだろうと」
高を括っていた自分を責めてしまう。
仕事のある日は、病院には行けないからである。

ボクはいま、右手の中指を
使わずにこの物語を打ち込んでいる。
いつも、右手の中指は、
人差し指と同じくらい駆使しているので、
中指なしでキーボードを叩くのは
かなりキツいし、誤字も発生しやすい。

ボクは思わず、コンサート中に
弦が一本切れてしまった
ギタリストのことを、思い出していた。
彼らは、弦が一本切れても
残りの五本の弦で、同じ音源を
作ってしまう。
もしくは、曲を作ってしまう。
   (多分です。)
六本ある弦のうち、高音の弦が
一番細いので、切れやすいと
聞いたことがある。

ボクはこのことを、
いま打ち込んでいるキーボードに
置き換えてみた。
いつも、両手の五本指を
すべて使って、
打ち込んでいるわけではないのだが
右手の中指が使えない以上
薬指と人差し指の負担が増えている。
だが、人間ってやつは大したもんだ
少しづつ慣れてきている。
誤字も少しずつ少なくなってきた。

「普段でも、誤字は発生しているよね。」

そのように、自分に問い掛けながら
本来の物語に話を戻そうとする自分が
ここにいる。

そうだった。
やっと、休みとなり、病院に行けると
思ったら、祝日で休業の病院ばかりだった。
最近は便利である。
皆さんもすでにご存知のことかと思うが
位置情報を「ON」にして
グーグルマップで「外科」と入力して
検索すれば、近所の外科医院が
すべて表示される。
そして、ひとつひとつ表示して、
クチコミなどを見ながら、
それぞれの病院を見極め、
気に入った病院のページの中の
「通話」ボタンを押せば
そのまま、電話番号が表示されて
通話が出来るという仕組みに
なっている。
そして、つながれば、直接話して
予約をすれば良いということだ。

しかし、どの病院を見ても
「月曜日」は、「営業」となっているが
本日の「スポーツの日」は
「振替休日」と表示されている。
ボクは、イヤな予感に苛まれた。

「ヤバいぞ、今日は、ムリなんじゃないか?」

そのように頭の中をよぎった瞬間、
某大型病院のページを開くと
24時間営業と表示されていた。

「やったゾ!」
ボクは、「コソッ」っと心のなかで
呟いた。

「思い立ったら吉日」
ボクは、すかさず愛車のキーを回し
エンジンに点火して
メーターの中のすべての
イニシャルチェックが済んだことを
確認してから
シフトをドライブレンジに入れ、
アクセルに力を入れた。

クルマを走らせ、足掛け15分ほどが経ち
某大型病院の駐車場に来ていた。
駐車場の入り口には踏み切りがあり
駐車券を取ると、踏み切りが
上がるようになっていた。
お察しの通り
ここは、駐車場に停めるためには
料金が必要なのである。

「ここしか、無いのだから仕方がない。」
そのように思いながら
クルマを駐車場に停めて
入り口まで少し距離のある通路を
歩いていった。
今日は雨が降っていたが
通路には屋根が設定されているので
雨に濡れることはなかった。

そして、オレは、
安堵の思いを抱きながら、
某大型病院の自動ドアが開くのを待ち
病院の中へ消えていった・・・・。


写真提供 
Sutoさんより

#小説
#ケガ
#相乗効果

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