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日銀0.25%利上げで政策金利がスイスと並ぶ
ここ2〜3年、主たる円安の要因であった「円キャリートレード」の環境が変化するかもしれません。
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2024年12月12日、スイス中央銀行(SNB)は金利を0.5%引き下げ、スイスの政策金利は、1.0% → 0.5%に下がりました。
日銀は政策金利を0.25%で据え置きにしたので、12月末時点の政策金利はスイスが0.5%、日本が0.25%なので、依然として日本の金利が最も低いです。
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スイスはさらなる金融緩和を行う可能性も示唆する一方、実体経済の状況はさておき、日銀は金利を引き上げる方向で動いてます。
仮に1月や3月の金融政策決定会合で日銀が0.25%の利上げを実施した場合、日本とスイスの政策金利が0.5%で横並びとなり、世界で最も低金利で借りやすい通貨は円だけという状況が解消されます。
日銀が金利を引き上げても、円とスイスフランの政策金利が並ぶだけで「世界で最も安く借りれる」という状況は依然として変わらないので、劇的に円売りが解消されるとは限りません。
円安の要因に関しては「日本がオワコンだから」とか「デジタル赤字」とか「新NISAの影響」など色々と言われてますが、最も大きな要因は金利差を利用した金融業界による投機です。
米ドルに価値があり、円に価値がないのではなく「ただ儲かるから」という理由で投機的に売買されているだけです。
価値と価格は別物です。
米ドル預金や米国債を買っている人も、価値があるから買っているのではなく、金利で儲かるから買っているだけで、金利がなくなれば買わなくなる人がほとんどでしょう。
投機をしている人たちは、価値で売買しているのではなく、金利差や価格差で儲かることだけ考えています。
株も通貨も国債も暗号資産も不動産も、投機で買われているものは「儲からない」と分かったら秒で売られます。
実需で住んでいる家は値下がりしても簡単には売られませんし、今日食べる食材は夜に値引きされても返品(売却)しません。
先ほども言ったとおり、日銀が金利を引き上げても、円とスイスフランの政策金利が並ぶだけで「世界で最も安く借りれる」という状況は依然として変わらないので、昨今の円売りが劇的に解消されるとは限りません。
元も子もないことを言いますが、結局は投機なので、予想で当てようとしている時点で「ただのギャンブル」です。
ただ、投機をしている人たち、要は「儲かれば良いだけ」という人たちが、どういう行動をするかという視点は持っておいた方が良いでしょう。
重要なのは「どっちに賭ける」ではなく「どっちに転んでも大丈夫」にしておくことです。