夏の亡霊

本当の夏は
もうとっくに死んでいて
今 空にぶら下がっているのは
あれは 夏の亡霊

蝉の鋭い鳴き声も
ビー玉のような眩しさもなく
ただぼんやり
同じ言葉を繰り返し

やり残した事があった気がする
汗の滲んだ額を拭って
振り返っても誰もいない
あれは 夏の亡霊

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