【日本電解】上場会社における倒産までを分析してみた
倒産指標
財務悪化
純損失の大幅な拡大。
自己資本比率の急低下(目安:20%以下はリスク高)。
流動負債が流動資産を大幅に上回る(資金繰りの困難さ)。
キャッシュフローの悪化
営業キャッシュフローが継続的にマイナス。
現金残高が短期負債の返済に不足。
継続企業の前提に重要な疑義
決算資料で「重要な疑義」と明記されている場合、倒産リスクが非常に高い。
外部資金調達の失敗
銀行や投資家からの追加支援が得られない。
資産売却が進まず、運転資金を確保できない。
市場環境の悪化
主要事業の収益性低下や市場シェア喪失が継続。
日本電解における倒産分析
1. 財務悪化
純損失:
2025年3月期第2四半期で51億円の純損失(前年同期は4億円)。損失が10倍以上に拡大。自己資本比率:
13.1%(前期末28.1%から15ポイント低下)。20%を下回ると危険水域とされます。流動負債 > 流動資産:
流動負債:123.3億円
流動資産:70.6億円
差額:約52.7億円の不足(流動比率57%と低水準。目安は100%以上)。
2. キャッシュフローの悪化
営業キャッシュフロー:
-14.2億円(前年同期は約+0.1億円)。営業活動で資金を生み出せていない。
現金残高と短期負債の不均衡:
現金及び現金同等物:16.5億円
短期借入金 + 1年内返済予定の長期借入金:96.7億円
約80.2億円の資金不足。
3. 継続企業の前提に重要な疑義
決算短信で「継続企業の前提に重要な疑義」が明記され、事業継続に必要な資金の確保が困難であることが示されています。
4. 資金調達の失敗
金融機関からの追加融資:
つなぎ融資契約など一時的な対応に留まり、根本的な資金調達には至らず。資産売却の遅れ:
米国新工場の建設延期により、遊休資産化した設備の売却が進んでいない。
5. 事業環境の悪化
主力市場の停滞:
国内輸出案件の伸び悩みや北米BEV市場の低迷により、車載電池用銅箔の販売が不調。市場競争の激化:
回路基板用銅箔市場では海外メーカーとの価格競争が収益を圧迫。
まとめ: 倒産リスクを高めた数値
純損失:-51億円
自己資本比率:13.1%
流動比率:57%(目安100%以上)
営業キャッシュフロー:-14.2億円
短期負債と現金の差額:約80億円の不足