I コンセプトとワールド概要 TRPG『君ヨ、暁ノ大地ニ死スベシ。』
【コンセプト】━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ コンセプト・前提
本ゲームのコンセプトは、初心者〜中級者の層へのアプローチを大切にする、ということです。「コンベンションで遊びやすい」「GMが管理しやすい」「初心者プレイヤーでも役割分担や物語への介入をしやすい」を念頭に置いてシステムをデザインしました。その為、ルールや世界観も、極力シンプルになっています。
エンタメとして、言葉のノリ(パワーワード)を重視しており、技名など名称の一部がダサいように感じるかもしれませんが、それは仕様です。漫画『魁!男塾』のノリを参考にしています。
本ゲームは『任侠劇』と『特撮ヒーロー』をベースに、『伝奇ロマン』『西洋ファンタジー』『SF』などからいろいろな要素を拝借して味付けをしています。それらを統括してジャンルで言い表すと『モダンオリエンタルな変身ヒーローもの』となります。さらに一言に集約すると『ヒーローもの』です。
だから、と言う訳ではありませんが、タイトルの公式略称は『キミアカ』とします。なんだか耳馴染みのある略称な気がするかもしれませんが、気のせいです! 公式ハッシュタグは『#ラスト任侠RPG』を使ってください。
本ゲームの舞台背景は、敗戦の爪痕によって治安が不安定になりつつも、国の復興に勤しんでいる『旭日國』です。旭日國のモデルは「第二次世界大戦の終戦後で混沌期の日本」です。後述の『ワールドの概要』にて、特に説明がない部分は、現実世界の当時の日本や世界の 地理、風俗、歴史 と同じだと思ってください。
本ページは、結構なボリュームがありますが、まずは、見出しが『★』マークの項目から斜め読みをして頂ければ、大丈夫です。セッションにプレイヤーとして参加する為に、最低限必要な世界観の把握は出来ると思います。コンベンションなどでセッション開始までの時間をあまり取れない場合は、ページ最後の『まとめ』だけでも見てください。
見出しが『■』マークの項目は後回しにしても大丈夫です。(推奨は、上の項目から順にお読み頂くことですが)
★ コンセプト・テーマ
もし、全盛期の『日活』が本気のキャスティングで、「石森テイストな変身ヒーロー特撮ドラマ」を全力で撮影したら?という空想が、このゲームの企画のスタート地点でした。
終戦直後の苦しい生活の中、それでも町や国の復興に尽力する市民の『熱』と『活気』を感じられる世界を表現することを重視しています。
そして、そんな民を守る為、『ヤクザ』『密入国者』『不良外国人兵』など、民の敵と戦うヒーローとしての任侠の活躍を体験して貰いたいと考えています。
■ 時代の激流に翻弄されるヒーロー
時代の変化による任侠社会の衰退と、それぞれの身の振り方を考えてもらうことも必要でしょう。時代が変化すれば、いつまでも任侠を気取っていることもできなくなります。皆さんは、歴史上最後の任侠なのです。カタギになる者もいるかもしれませんが、必ずしも単純なハッピーエンドを迎えるわけではありません。当然、命を落とす者や、義侠心を失ってヤクザに堕ちてしまう者までいるのです。
このように、報われない未来を孕んでいるからこそ、ゲームタイトルで「死すべし」と言われているのです。ヒーローとして讃えられる存在から民を苦しめる怪人になってしまう悲劇を迎えてしまうぐらいなら、その前にヒーローとして死んだ方が名誉が守られるのかもしれない。
時には死が救いや名誉となってしまうような悲哀が似合うのも、昭和のヒーローの特色でもあるのです。
【ワールドの概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★ ワールド翡翠
舞台となるのは、惑星『翡翠』の『旭日國』です。
それにちなんで、本ゲームの世界観を『ワールド翡翠』と名付けます。
ワールド翡翠は、現実世界の地球をモデルにしており、日本によく似た『旭日國』という列島国が存在し、物語の舞台となります。旭日國の地理や地域の名称は現実世界とほぼ同じですが、ワールド翡翠と現実世界は、完全に一致している訳ではありません。部分的に相違点(ゲームとしてのギミックや、エンタメ的な要素)もありますので、下記からは、相違点や独自の要素についてのみ説明します。
下記にて特に説明がない部分については、現実世界の当時の日本や世界の 地理、風俗、歴史 に準じます。
本ゲーム『君ヨ、暁ノ大地ニ死スベシ。』で語られる物語や設定は、あくまでもフィクションです。
実在の地域、団体、組織と同じ(もしくは似た)名前が出てくるかもしれませんが、別物です。本ゲームは地球とは別の惑星を舞台とした物語であり、モデルにしただけに過ぎません。
また実在の人物と同じ顔や同じ名前の人物も登場しますが、よく似た他人であり、名前の一致は偶然か創造主の悪戯です。
■ 割と最近の大き過ぎる出来事
ワールド翡翠では、割と最近まで、世界全土を巻き込んだ大きな戦争である第二次境界大戦の最中にありました。
二度に渡る大戦において、旭日國は途中までは善戦をしていたのですが、同盟国(パスタ王国、奇械帝国)の降伏などの外交的な障害と、カンナヅキ連邦による北部への各個侵攻を受けて、急速に旗色が悪化し、手柄を急いだとされるライス合衆国空軍による旭日國の都市部への爆弾投下によって決着となりました。トドメに使用されたのは『オキシオンγ爆弾』です。バイオウィルスを散布する爆弾であり、そのウィルスは、DNAの長さがある程度以上ある生物にしか効果がありません。(DNAが短い単純な生物やDNAを持たない無機物には、ウィルスの効果はなく、爆風の被害しかありません)ウィルスは対象の体細胞を一気に増幅させます。体細胞が正常ではないスピードで増幅した被害者の身体は奇形化し、更にヘイフリック限界(細胞分裂の限度回数)まで強制的に細胞を超高速分裂し、寿命を迎えてしまいます。最終的には、すべての細胞の寿命を迎えた被害者の身体は、塵の如く崩れ落ちて生命活動を終えます。非常に非人道的な兵器ですが、自然にはとても優しいエコ兵器でもあります。
都市一つの壊滅を受け、旭日國の元首である竜皇陛下(ドラゴニュートのような姿をした現人神)の終戦宣言を経て、旭日國は敗戦国となり、QHG(Quarter Hands Governance、四分割統治連合)による戦後統治を無条件で受け入れることになります。それでも元首の命まで取られなかったのは、名も告げぬ憂国の士の活躍があったからかもしれません。これらは出来事から、まだ二年程度しか経っていません。(QHGの介入により、新しい旭日國憲法の公布はされましたが、まだ執行はされていない、というタイミングです)
本項で触れた、物語上の時代設定については、より正確性をもって具体的に言うと、この物語の時代設定は救世歴1947年の1月〜4月の出来事となります。しかし、正確な時代設定は忘れて頂いて構いません。むしろ今すぐ忘れてください。ざっくりと「戦後の混沌期から復興期の間」とだけ認識していれば十分です。
正確な時代設定に縛られると、GMがシナリオを書く上で窮屈で、何かと都合が悪くなることが予想できます。ですから、年も季節もGMが自由に決めてください。夏には水着回を、秋冬の時事ネタも、旭日國憲法執行後の国会で政治家暗殺事件を未然に防いだりと、自由に物語を紡いでください。
★ 旭日國の今
旭日國の全土は、戦争の傷跡がまだ色濃く残っており、戦火を生き抜いた人々は、それぞれの街の復興の為に尽力しています。
警察組織の弱体化や、QHGによる特高の解体などにより、国家の治安維持力は低下し、政府も無法者である武侠に特権を与え、その力を頼らねばならない始末になっています。治安維持力を補う名目で、進駐軍が旭日國内に留まるようになりましたが、一部の不良外国人兵の狼藉によって、新しい問題が発生したりもしています。さらに悪いことに、これを好機と見た密入国者によって国土侵略まで受けてしまっており、それらの勢力と結託した一部の武侠が義侠心を失ってヤクザ(邪悪な異形の亜人)と化してしまい、市民を大変苦めています。
今、善良な市民を助けることができるのは、法の力ではありません。無法なれども義侠心に溢れた任侠なのです。
さあ、今こそ民を助ける為に変身するときです! 叫べ!倶利伽羅紋々エボリューション(異形変身)!!
■ 竜皇陛下と竜人
皇室や皇族は日本にしか存在しません。ワールド翡翠の旭日國には、当然、皇室や皇族は存在しませんが、それに変わる存在はあります。それが『竜人(りゅうびと)』です。竜人は、正真正銘、現人神の一族であり、見た目から普通の人間とは異なります。角を持たない竜が、人のように2足歩行しているといった容姿で、いわゆるドラゴニュートを想像すると近いです。身長はとても高く、子供や女性で2メートルを超え、成人男性なら3メートルを超えます(最大で7メートルに近い個体も存在したそうです)。
ワールド翡翠に唯一存在する千年王国が旭日國です。旭日國は単一王朝による国家で2600年以上の歴史を持ちます。旭日國の王家は竜人家であり、国家君主は「万世唯一ノ竜皇」であらせれる初代『竜皇(りゅうおう)』陛下が、有史以来変わることなく勤めておられます。
また、都内の堀に囲まれた聖域は『竜宮』と呼ばれ、竜人は此処に住まいます。年の区切りの国家行事の日には、国民の全てが揃って、竜宮に向かって最敬礼をします。
竜人は、旭日國のみの存在ではありません。古代に世界各地に散ったと言われる古の12氏族の竜人たちが、ワールド翡翠の世界中に存在しています。そして、現代では、主要各国、国際組織、経済機関の上層部を占めています。つまり、世界は竜人で回っているのです。
■ 多国籍連合
まず、『多国籍連合』とは、第二次境界大戦においては、三連星(旭日國、奇械帝国、パスタ王国)に敵対した国の連合です。
第二次境界大戦は、世界を4分割して平和統治する為の国際組織『QHG(Quarter Hands Governance)』を作り、QHGは旭日國を統治下におき、旭日國の領土内の数カ所に多国籍連合の軍隊を駐屯させました。旭日國政府の力は、QHGによって抑え付けられ、旭日國の治安は駐留軍に任されました。
QHGによる統治は、憧れの近代的な生活を提供し、旭日の国民(一般市民)にとっては、非常に公正な統治であったように思われていました。マスメディアと教育機関は完全に支配され、一般市民はQHGに対して不満を持つどころか、逆に自国の政府を責めるように扇動されていました。しかし、現実問題としては、駐屯軍兵士による犯罪なども少なからず発生していましたし、それを正すことができるのは無法の徒だけでありました。
本項では、第二次境界大戦において多国籍連合に加盟していた主要な大国に絞って説明をします。
● ライス合衆国
『ライス合衆国』とは、現実世界のアメリカのような国です。
多国籍連合の中心であり、第一次・第二次境界大戦においては多国籍連合軍を率いていました。そして、非人道的な爆弾(オキシオンγ爆弾)を用いて、旭日國にトドメを刺したのが、ライス合衆国の空軍です。この決着手段に関しては、後の世まで非難の的にもなっています。
戦後、旭日国内に入ってきた、駐屯街の生活様式は、洗練さてはなくともオシャレであり、旭日國の若い層に強く支持され、ライスナイズされたファッションが古き良き旭日文化を確実に文化侵略しています。
● 白の連合王国(アルビオン)
『白の連合王国』とは、現実世界のイギリスのような国です。『アルビオン』とも呼ばれます。
いくつかの周辺の島国が連合し、頂点に連合国王を奉じることで成り立っている、歴史のある連合王国です。
いくつかの島国が高い結束で集まっている国家なのですが、これまで島国ごとに分裂しなかったのは、大国からの侵略を協力して防がねばならなかったという経済と地理の事情と、連合国王の求心力が非常に強いことと、また国王に使える者たちの騎士道いわれる精神性の高さによってです。
旭日國とは直接の因縁があるわけではなく、経済的な理由で、多国籍連合に加盟しました。
● カンナヅキ連邦
『カンナヅキ連邦』とは、現実世界にかつて存在したソビエト連邦のような国です。略して「カ連」とも呼ばれます。
第一次境界大戦の以前より、旭日國の北部領土を狙っており、赤華央国を挟んで、旭日國とは直接戦闘状態にありました。戦略的な理由で多国籍連合に加盟しました。
● 赤華央国
『赤華央国(せきか おうこく)』とは、現実世界の中国(≒中華人民共和国)のような国です。(現実世界の歴史と比較すると、建国のタイミングがズレますが、皇帝制廃止後に生まれた民主共和制は崩れ、覇権政党による独裁国家になっています)
翡翠で最大の国土と人口を誇る国ですが、周辺の国を積極的に侵略して、さらに領土を拡大しようとしていました。旭日国が大戦に参戦した大義(理由)は、華央国に侵略されようとしている小国を助ける為だったと伝えられています。
■ 三連星同盟
『三連星同盟』とは、現実世界の日独伊三国同盟のようなものだと思ってください。第二次境界大戦において、旭日國は『奇械帝国』と『パスタ王国』の二カ国と同盟を組んでいました。
本項では、旭日國と所縁の深い、かつての同盟国であった『奇械帝国』と『パスタ王国』について説明をします。
また、二カ国に言えることですが、戦後、戦争裁判を逃れて旭日國へ亡命してきた者が、実は多く存在し、旭日国内のアンダーグラウンドなエリアに潜んでいます。
● 奇械帝国
現実世界のドイツ(というか、80-90年代に描かれていた伝奇ロマンで散見されるタイプのフィクション上の第三帝国)のような国です。
奇械帝国の科学力はァァァァァァァアアア 世界一ィィィィーーーーッ!であり、特に人体工学(サイバーパンクで言うところのサイバネティック)の分野においては、オーバーテクノロジー(時代や文化レベルにそぐわないSF的な超高度な科学技術)の域にまで達しています。
局地戦においては、奇械兵(サイボーグ・ソルジャー)が戦場で圧倒的な猛威を振るってたという記録が残っています。それとともに、非人道的な人体実験や過激な人種差別の記録までが明るみに出てしまい、とてつもない国際的な非難と、賠償と戦犯の処刑騒ぎに発展しています。
● パスタ王国
パスタ王国の料理は、とてもデリツィオーゾ(美味)。以上!
この以上を書こうとすると、悪口ばかりになってしまいますが、まず大戦において、パスタ王国が早々に連合軍に降伏したせいで、旭日國が有利に進めていた戦局は、一気に旗色が悪化しました。また、開戦早々に大人しく降参した為、終戦後、敗戦国としては扱われず、一部のA級戦犯の断罪のみで済んでいます。
あと、戦後、マフィアが旭日領土に勢力を伸ばそうと流入してきています。自国の犯罪者は自国内でなんとかしろよ!と旭日國の市民は悲鳴を上げています。
■ エネルギー事情
ワールド翡翠の主なエネルギーは、化石燃料と電気です。
化石燃料の事情は、現実世界と大差ありません。
電気については、発電システムに大きな違いがあります。高度発展国で普及しているのが、バイオ発電です。
旭日國の発電所に関しても、QHGの指示により、今まさに、全面的にバイオ発電へと切り替わっているところです。なお、現実世界と比較すると、現実世界で原子力発電所が使われているエリアは、代わりにバイオ発電所が使われています。しかし、原子力以外の水力などの発電システムが使われているエリアは、ワールド翡翠でも同じような発電システムが踏襲されています。
ワールド翡翠には、そもそも核理論が存在していません。核爆弾も原子力発電施設も当然存在しません。ワールド翡翠でも過去に、核の理論が提唱されたり、研究され始めたこともあったのですが、その都度、何者かによって、日の目を浴びる前に跡形もなく存在を抹消されてきました。
● バイオ発電
バイオ発電とは、オーバーテクノロジーの産物であり、ライス合衆国が開発し、QHGによって生産・管理がされている画期的な発電システムです。
『バイオドライブ』と呼ばれるカートリッジによってエネルギーが生み出され、それを電気に変換するシステムがバイオ発電です。単体のバイオドライブからでも、蒸気機関車の炭の代用を軽く賄える程のエネルギーを産み出し、発電所に100本ほど投入すれば、小さな町に電気を行き届かせるぐらいのエネルギーを産むことが可能です。
バイオドライブの形は円柱で、サイズは直径13㎝、長さ30㎝ほどです。緑色の溶液が詰められた透明で硬質な管で、その中に赤い球体の何かが生息しています。
バイオドライブは、公害になるような廃棄物を出すことのないエコなシステムで、バイオドライブの寿命が尽きるまで、安全なエネルギーを供給し続けます。1本のドライブの寿命は24時間フル稼働したとして、5年ほどです。なお、寿命を迎えそうなバイオドライブは、中の赤い球体が小さくなり、それが消滅すると寿命を迎えるので、知識がある者なら、一目で残りの使用可能期間が判断できます。
★ 任侠とは
任侠とは、刺青を背負った『変身ヒーロー』です。とは言え、分かりやすい正義を標榜した純然たるヒーローではなく、所謂アンチヒーローやダークヒーローの類です。
一般社会における遵法精神などは持ち合わせていませんが、厳しい任侠社会のルールと己の矜持に従って生きています。ゲームシステム的には、義侠心に溢れた行動が推奨され、義侠心に溢れた行動には報酬として、GMから『義侠魂(ヒーローポイント)』が与えられます。義侠魂によって、より活躍が望めるようになります。
多くの任侠は刺青を背負っており、刺青を彫っている者は、その刺青の絵図に応じた『神人フォーム(異形態)』に変身することが可能です。
変身能力は『高天力(超常的な特殊能力)』の一種として扱われ、変身する際は、義侠心(コスト)を燃焼する必要があります。両手を特殊な所作で振り回しながら、「倶利伽羅紋々エボリューション!」と叫ぶことで変身します。
なお、変身を解除する為には、変身時と同様に義侠心(コスト)の燃焼が必要となります。もし解除のコストが支払えなかった場合は、「変身の悪影響で人間性を消失」としてしまい人間態に戻れなくなります。こうした状態になると、その任侠はヤクザに堕ちてしまい、今後はNPCとして扱われます。もしかしたら、次のセッションでは、敵役として登場することになるかもしれません。
■ 任侠社会と仁義
政府の影響力が弱い地域(まあ、旭日國のほとんどですが)の「人が住んでいる場所」や「商いがある場所」は、必ず、どこかの任侠一家の縄張りだと思ってください。
新しいエリアに渡るときは、別の任侠一家の縄張りに踏み込む可能性があり、その際には迅速に口上を行わないと、いらぬトラブルが発生してしまいます。
もし、口上を行わずに強引な侵入を試みた場合や、それと気付かずに縄張りに入ってしまった場合は、その場にいる任侠全てがあなた方一行の敵となります。見付かったら、数にモノを言わせて間違いなく捕まり、相当酷い目に会います。任侠社会において挨拶はとても大切であり、命懸けの作法なのです。
■ 公儀武侠
任侠の中には、政府から『公儀武侠免状』という「対スジ者専用の殺人許可証(マーダーライセンス)」と「公的機関での優遇権利(具体的な権利内容はGMの判断に委ねます)」を得ている者が存在します。
この資格を有する任侠は『公儀武侠』と呼ばれますが、任侠仲間からは、『飼い犬』『権力の下僕』などと揶揄されたりもします。公儀武侠の割合は、任侠全体の一割ぐらいです。
公儀武侠の存在は、当然、法的にはアウト寄りのグレーであり、けして大っぴらに活動が許されている訳ではありません。司法判断としては、警察の上層部の人間や大物政治家の誰かが、個人的に囲っている秘密私設兵士として扱われます。
許可書は、誰の庇護下に置かれている公儀武侠かが分かるように、家紋のような印としてサデインされ、身体のどこか(通常は人に見せ易い場所)に彫られます。この印を『公儀武侠免状印』、もしくは単純に『免状印』と呼びます。
また、免状印を彫った部位の皮膚は、特殊な墨の影響で非常に脆くなります。これはわざとであり、ニンゲンモドキによる人皮採集によって、免状印を奪われることへの対策でもあります。もし、肉体から皮膚を剥がされた場合、免状印はボロボロとなり形を保てません。
庇護者からの任務の依頼内容は、ほとんどが危険な汚れ仕事(暗殺や使い捨ての特殊工作)であり、基本的に断ることは許されません。しかし、任務の報酬はかなり高額で、密かに、公儀武侠に仕官(?)したがっている浪人任侠は多いようです。
不法行為の現行犯で警察などに捕まった際は、免状印を見せることで、警察や政府の上の方に庇護者からの圧力が掛かり、公儀武侠が任務の上で犯した不法行為は、すべて免ぜられます。
行政の末端や現場の警官には、公儀武侠の存在を知らない者もいる為、免状印の照会処理に数日掛かる場合もあり得ます。
なお、公儀武侠が犯した不法行為は、最終的に、その公儀武侠の庇護者が責任を被ることとなりますので、無罪放免だ!と無法に振る舞うのではなく、可能な限りスマート(極秘裏)に任務を遂行した方が、お互いに幸せです。
★ ヤクザとは
ヤクザは、本ゲームを代表する敵役です。一言で表現すると「人間に仇なす(敵対的な)異形」です。ワールド翡翠では、ヤクザとは人間社会に敵対する異形の者を指し、『鬼人』と書いて「やくざ」と読みます。また、ヤクザの別称として、生物学的に『異形の亜人(ヴァリアンツ)』とも呼ばれることもあります。
ヤクザの出自には、いくつか種類があり、「ヤクザの元に生まれた生粋のヤクザ」「元々任侠だった者が変身後に人間体へ戻れなくなり、義侠心や大和魂を消失してしまい、更に異形化してしまった結果、ヤクザに堕ちた者」「旭日人になりすましている密入国者(この場合は一見ではヤクザかどうか判別できません)」「旭日人に対して増長した態度をとっている内に人間性を消失して異形化した駐屯兵」「マフィア(勢力拡大を目論んで訪日した、海外の生粋ヤクザ)」などが存在します。
ヤクザの子供は、人間と変わらない姿で生まれますが、どことなく違和感があり、感が鋭い者が観察すれば、普通の人間との見分けはつきます。
その後、第二次性徴期に異形態へ突然変異(ミューテイション)を起こして、人間態には戻れなくなります。こうなると、もう完全なヤクザです。(幼少期から徹底した道徳教育を施すと、突然変異を起こさないケームも稀に存在するそうです)
● ヤクザの容姿
ヤクザの姿は、様々なタイプが存在し、いわゆる「西洋ファンタジーにモンスターとして登場する亜人」と同じです。タイプ別の呼び名もそれに倣います。
なぜ、西洋ファンタジー風?と思うかもしれませんが、義侠心と一緒に、大和魂を失ったことがその原因のようです。義侠心を失っても大和魂が残っていれば、和風な妖怪の姿になるのかもしれませんね。
ヤクザの代表的なタイプを一部抜粋すると、『黒色天狗(ダークエルフ)』『大邪鬼(ホブゴブリン)』『邪鬼(ゴブリン)』『剛力鬼(オーガ)』『大鬼(トロール)』『翔鬼女(ハーピィ)』『獣人(ビーストマン)』『狗鬼(コボルド)』『蜘蛛人(アラクノイド)』『繁殖鬼(オーク)』などが存在します。外見や特殊能力などは、西洋ファンタジーの亜人モンスターと類似しています。
強いて違いをあげると、服装はファンタジー色がゼロです。高価そうなダークスーツや派手な柄のスーツ、アニマル柄のスウェットなど基本的にイカつい格好や、テキ屋のような格好です。さらに、サングラスや光り物のアクセサリー、高級腕時計、おしゃれ数珠などもマストアイテムとして愛用しています。
ヤクザは基本的に、標準武装としてドス(近接武器 命中+1)か拳銃(射撃武器 ダメラン+1)を所持していますが、より強い業物を所持するヤクザも存在します。
■ 世捨て人
世捨て人とは、一言で表現すると「人間に関わりたがらない(中立の)異形」です。人間社会に敵対はせず、距離を置いてお互いに不可侵で生活している異形の者たちのことです。つまり、異形の者の全てが、ヤクザのように人間に害をなす存在という訳ではないのです。
なお、ワールド翡翠においては、『異形の亜人(ヴァリアンツ)』という生物学上の名称は、蔑称としても使われますので、世捨て人に対してヴァリアンツという言葉を使うのは勧められません。道徳上では、世捨て人は人間としての人権を有しているものとして扱われますが、法律上ではそうではありません。もし万が一、世捨て人を殺害した場合、法的には殺人罪には問われることはなく、適当な軽犯罪として処理されますが、道徳的には当然アウトなので、良心があるのなら呵責に苦しむことになります。
世捨て人と人間社会との関係性は中立(無関心)であり、友好的に接すれば、友好的な対応をしてくれるかもしれませんし、心通じずに追い返されるかもしれません。少なくともヤクザとは違いますので、無条件に攻撃を仕掛けてくることはないはずです。ただし、あくまでも中立であり、こちらから攻撃を仕掛ければ、反撃をしてくる場合もあり得ます。
● 世捨て人の容姿
世捨て人の姿は、ヤクザと同様、いわゆる西洋ファンタジーに登場する亜人と同じです。タイプ別の呼び名もそれに倣います。モンスターというほどには異形なものは少なく、割と人間に近い形態を保っているものが多いです。
世捨て人の代表的なタイプを一部抜粋すると、『天狗(エルフ)』『烏天狗(フェザーフォルク)』『岩小人(ドワーフ)』『妖術技師(レプラコーン)』『洞窟原人(ケイブマン)』『人魚/魚人(シーフォルク)』『半身蛇人(ラミアー)』などが存在し、同じタイプの異形同士で集まり、山奥などに人里離れた場所に集落を形成して生活してます。
世捨て人の服装は、一昔前の一般的な人間と同じで、質素な和装です。もしくはボロをまとっています。人里離れて生活している為、洋装や高級品には縁がありません。
■ 異形に対する民衆感情
ワールド翡翠において、異形の者をそれほど頻繁には目にしませんが、けして少なくない数が存在しており、異形に対する民衆感情は、悪くありません。
簡略化すると、下記のような認識です。
・竜人 → 尊き異形
・任侠 → 異形に変身するヒーロー、民の味方
・鬼人 → 悪い異形(ヤクザ)、民の敵
・世捨て人 → 無害な異形、中立
各国の首脳や、国際組織のトップは、だいたいドラゴニュート(人型の竜)のような姿ですし、特に旭日國では、変身ヒーローである任侠の存在が、異形の者の好感度アップに大きく作用しています。
民衆に仇をなすヤクザや海外マフィアも異形の者ですが、それは個人の問題であって、異形全体への評価には、あまり影響していないようです。民衆は割と冷静に、善行悪行を見ています。あなたの行動もしっかり見られていますよ。
★ 名称対応表
ワールド翡翠は現実世界をモデルにしていますが、完全に一致している訳ではありません。一部、別の名称や本ゲーム独自の存在に置き換えられてるものもあります。本項は、それら置き換えられたものについての対応表です。
『類似性』の項目には、程度に応じて、3種類のイコールを使い分けています。
「≒」なら、双方の単語は「ほとんど等しい」存在です(前者をモデルにして後者は創られました)。
「≠」なら、「完全に別物」ですが、ポジションがもっとも近い存在が割り当てられています。
「=」なら、双方の単語は、もし名称が異なっていても、実質的に「完全に一致」する存在です。
★ まとめ
舞台:『ワールド翡翠』。地球によく似た地理で似たような歴史を経てきた惑星『翡翠』の、日本とよく似た『旭日国』が舞台となります。
時代:二度に渡る大戦の終戦後の混乱期であり、復興期へ向かうところ。未だQHGの占領下に置かれており、政府の力が弱く、治安の維持に無法の徒の力も借りていた時代です。
プレイヤー:弱き民に味方するスジ者。『任侠』と呼ばれる変身ヒーローです。
敵役:鬼人(ヤクザ)とよばれる怪人(亜人型のモンスター)を中心に、不良駐屯兵や密入国者など、善良な一般市民を虐げる存在が敵です。
誰がために戦う?:国家の復興に尽力する善良な一般市民を苦しめる悪党どもを、義憤の刄で叩っ斬ります。また、渡世の義理の為に、任侠一家同士の抗争に手を貸すこともありますし、政府の要請で大義の為に働くこともあります。
本作の著作権を放棄していません。無断での転載、複製、配布等を禁止します。
(C) 九城ツカサ / 石造りのヒポグリフ
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