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G-FREAK FACTORY

あたしが大切にしているアーティストの中に

G-FREAK FACTORYというバンドがいる。

群馬出身の、群馬に住んでいるバンド。


出会いのきっかけは友だちだった。

東京に住んでいる友だちが群馬に来るきっかけに、

彼らのライブによく足を運んでた。


彼らのライブは本当によく行った。

最初に心を寄せるきっかけは

SUNNY ISLAND STORYだった。


このMVの中の言葉の中に

「守るべき家族を守ること」とあった。

あたしが育った高崎駅の景色の中で繰り広げられるこの曲で、

守るべき家族を守り、群馬の田舎でたくさんの人が笑ってた。

若い人も、お年寄りの人も。


そのときあたしは、東京にいた。

父が亡くなり、仕事も一段落していて、

母からは祖母になにかあったら、帰ってきてほしい、

ということを言われていた。


それでも専門学校に通ったときからずっと暮らしていた東京を離れ、

このタイミングで実家に帰ることは、すごくためらいもあった。


それでもこのMVを見て、

「守るべき家族を守ること」と笑っている姿を見たときに、

群馬に帰ろうと思った。

なんだか不思議なことにすんなりと決断できた。


それから、彼らのライブに行くたびに、

彼らの曲の中にはたくさん広がる群馬の景色があって、

当たり前の群馬の景色の中で、

お母さんも、おばあちゃんも、ちっぷもちょこも、

家族みんな当たり前に生活している幸せがあった。



いつかおばあちゃんを連れて買い物に行った帰り道。

群馬の山々が目の前に広がる田んぼの畦道がある。

おばあちゃんはいつもそこを通るたびに

山々の景色の見え方を見て、

「今日は山がきれいだから風が強いね」とか、

「今日は山の方は曇ってるね」とか、

いちいちあたしに教えてくれた。


いつかおばあちゃんが旅立ったあと、

この曲をライブで聴いたときに、我を忘れて泣いた。

この曲の中にあのときの景色も、風の強さも、山のきれいさも、

隣で笑う座高の低いおばあちゃんの景色が広がるから。


おばあちゃんが入院するので病院に連れて行った行きの道では、

この曲を車のHDDの中に入れたばかりの新曲のこの曲を流した。

おばあちゃんはそこから二度と病院の外に出れることはなかった。


おばあちゃんが亡くなったあとの最初のライブでこの曲が演奏されると、

東京から群馬によくライブを理由に来てくれてた友だちは、

一番最後の歌詞のところで、泣きながらあたしの背中を叩いてくれた。

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もしも俺がもう少し強くなれたら
愛想笑い繰り返す無表情な毎日を受け入れたままで咲き誇るあの花のように
心に咲いた大切が 戸惑いを追い越して
始まりに満ちた晴れた日が必ず来るから
Life is short time. Time still goes by.
いつかまた思い出すのは 目の前に咲いたソレが幸せと感じられる日のこと
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それからあたしはもう一度東京に出る。

一緒にごはんを食べて話をしていると、

彼らのことを好きと話した人と出会った。

その後、その人はあたしの旦那になった。


彼らが主催するフェスにも2人で毎年参加した。

その日だけは旦那の店も臨時休業にした。

そして、フェスに行く前には必ずうちのお墓参りをしてくれる。

父親が吸っていたラッキーストライクを一箱買って、

「強いなー」と言いながら旦那は父にタバコを供える。


お墓参りに見れるフェスで彼らはトリを飾る。


お墓に会いに行ってから、

お線香のにおいを体につけて見るフェスは、

たぶんここしかないだろうな。

不思議なことに、

そうすると毎回実家に帰ったみたいな、

とても不思議な感覚になれるんだ。



あたしが人生ではじめて入院して、

退院した直後に旦那が買ってくれたCDは、

彼らのニューシングルだった。

特典についていたのはライブ映像のDVDで、

退院して最初の夜に2人でライブ映像を観た。



今年の山人音楽祭は開催されるかわからないけど、

この年になっても大切にしているバンド。

彼らの後ろには群馬が広がっていて。

彼らの曲に触れるたびにあたしは群馬に帰れる。


「今年の山人が開催されなかったら、

 どこかでまりちゃんのお墓参りに行かないとね。」と

旦那がふと話してくれた。



彼らの新しいアルバムが出る。

これからどんな景色に出会えるだろう。

どんな風に群馬に帰れるだろう。

次はいつ、彼らのライブに行けるだろう。


EASTワンマンでTOSHI-LOWは言った。


『遅れてきたルーキー』とか言ってさ、どれだけおせーんだよって思ってた。でも違うんだ。甚大なウイルスで、差別で、戦争で、めちゃくちゃになっちまう今こそ、G-FREAKが必要だったんだってさ。ここまでこいつらを連れてきた皆さん、ありがとう



好きな音楽は、

自分の人生にどんな風に関わってくるか、

本当にわからない。

あたしはきっとこの先もずっと変わらず、

彼らの音楽を大切にし続けると思う。

ライブを夫婦2人のご褒美のように、

大切にし続けると思う。




6/30



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