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KUCHINASHI
帰り際に、
お隣のお花屋さんがご夫婦で外で缶ビールを飲んでいて、
あたしの顔を見るなり、
「わーお疲れさまですーー」と声をかけてくれた。
そしてほろ酔いの奥さまはあたしに一輪の花を差し出し、
「これ、くちなしの花。もう一日くらいしかもたないけど、
とてもいい香りなのー。もしよかったら^^」と、
プレゼントしてくれた。
一輪の花を手に持って歩いて帰る道。
風にのってくちなしの花が香ってきて、
とても幸せな気分になった。
久しぶりに開いた昔のHDD。
フォーマット化しないと使えないけれど、
中のデータはちゃんと引っ張ることができた。
その中で、
2006年に大事な友だちにプレゼントしたものがあった。
その子を想って書いた言葉に、
その子の写真があわせてあった。
当時のデザインセンスに少し照れながら、
読み返すとプレゼントしたその子の笑顔が浮かんだ。
なつかしくてその子とLINEをする。
すると、
「え。あるよ?
今でも時々見るし、どこに置いているかわかる場所にちゃんと置いてるよ。
だってこれ、幸せだもん」とまさかの返事が来た。
またそれとは別のタイミングでプレゼントした
同じような言葉と写真は、
その本とともに私はツモリチサトのリトルハピネスという
名前のついた指輪を贈っていて、
彼女はその写真も送ってくれた。
「今のあたしにはなかなか書けない言葉たちだなぁ」
とあたしが言うと彼女は
「たしかにね。でも今だからこそ書けるものがあるかもだし、
今の自分を見たら逆に昔の自分は嬉しくなるんじゃない?」と、
あたしに返してきてくれた。
この前もそんなふうに、
凸凹していても大事なものはすぐそばにあることを教えてくれた彼女。
こんなふうに、まさかのあたしにリトルハピネスを返してくれた。
今、新しいロゴの依頼を受けて、アイデアを探している。
彼女はそこのことも
「そこから愛情をこめて形にするんでしょ。
それはすごいことだよねぇ」と背中を押してくれた。
書いてみようかな。
今のあたしから、昔の自分に。
「おもしろいかもね!」と彼女は笑った。
もう1年会えていないけれど、
そんなのが信じられないくらいの彼女は、
これから先もこうしてそばを歩いてくれるんだろうな。
窓際に飾ったくちなしの花がふと
窓からの風にのって香る。
花言葉を調べると
「私は幸せです」だそうだ。
不思議なことは、身の回りにたくさんあるなぁ。
6/12