急性期からピボットする若手が増えている件について

周囲を見渡すと明らかに増えています。
後期研修から大学医局に入局して、後期研修プログラムを修了したタイミングで、あるいは専門医資格を取得したタイミングで、つまり卒後5〜7年程度のところで医局を離れて急性期病院勤務や当直・オンコール業務から離脱、慢性期病院やクリニックに転職、それによって自由な時間を増やして家庭(家事や育児)とのバランスをとる。

身近なケースですが、将来を嘱望されていたような人材でさえもそうなっていることを知り、衝撃を受けました。この流れは止まらなさそうです。

急性期病院は儲からない

そもそも国としては急性期病床を減らして集約化をしたいと考えている(下図)。高齢社会における医療インフラとして求められるのは高度急性期医療ではなく、慢性期医療および軽症〜中等症の救急疾患(尿路感染や肺炎など)への対応である。

(地域医療構想による2025年の必要病床数 厚生労働省HPより引用 https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/17/backdata/02-07-02-01.html)

そのために診療報酬を絞り、点数を上げるためのハードルを上げ、病院の報酬を削減している。それにより中小民間病院は淘汰され、赤字を補填できる公的病院や一定以上の規模の基幹病院が生き残り、医師もそこへ集約化されていく。

薄利多売を高回転で続けるしかない

保険診療全体がそうですが、急性期病院は急性期そのものから離脱するか、生き残りの覚悟を決めてよりいっそう薄利多売の診療を高回転で数をこなしつづけざるを得ないようになるでしょう。救急受け入れ台数のノルマが課され、また手術件数のノルマも課される。それに伴い明らかに現場負担が増えることになる。
一方でどんなに気をつけていても一定の確率で地雷を踏む確率はあり、それに伴う訴訟や事故も付きまとう。今後急性期病院での勤務はよりいっそう厳しくなっていく。

賢い若手は離脱していく

資格のために最前線で働いている若手が多いと思いますが、上記を察知した賢い若手からピボットしていくでしょう。現状そうしたケースがちらほら散見されますが、今後この流れはさらに加速していくのではと思います。そして残った中堅〜年次の下の世代に負担、しわ寄せが行くことになるという、、

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