開業規制と徴兵制

厚生労働省が医師偏在の対策案を発表した。

その中で開業抑制について触れられており、開業医が多い地域での新規開業を抑えるため、開業要件に制限を課すことのことである。

合わせて、初期臨床研修修了直後に自由診療に飛び込む若手医師(いわゆる「直美」)への規制もかける。

少し前に話題になった診療報酬に地域別の勾配をつけることは医師会の反対で塞がれたようだ。

また医学部定員については、卒業後も地元で働くことを条件に医学部への入学を認める「臨時定員地域枠」は医師が多い県から少ない県へ振り向ける方針だ。基本的には出身大学の都道府県で働き続けることを念頭に置いていく。

これまでは東京など都市圏の受験生が地方医学部に進学、卒業後に地元や都市部の医療機関で初期研修、という流れが多かったが、それも塞がれていくのだろう。

医療はインフラであることを考えると、都道府県別でインフラ要員を確保する必要があるし、開業権についてもコントロールしていく必要がある。その意味では、上記の開業制限や徴兵制は理にかなっている。

今後のおおまかな流れは、
・全国の医学部が「自治医大」化:基本的には進学した大学のある都道府県で医師として働き続ける
・専門医制度とシーリングを用いて診療科、地域ごとの偏在をある程度是正
・都市部を中心に開業制限:開業のためには保険診療や地域医療での診療経歴が必要など
・働き方改革で名目上の勤務時間をコントロール

新規開業制限はすでに開業している開業医にはノーダメージなので賛成、国も賛成、国民も賛成。三方よし。
これで人員やクリニックの偏在、診療科の偏在をある程度コントロール可能。完全公務員化の完了。

この数年間の間でここまでドラスティックに医療の世界の見え方が変わってくるとは。
令和の医師は何をモチベーションに生きていくのかな。


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