寂しかったこと
毎年春になると、中高生達が施設を卒園する。
7年間施設で暮らしてきた私にとって
春は何よりも寂しい季節だった。
卒園前は施設で「お別れ会」をする。
炊事のおばさん達がご馳走を作ってくれて
この日は先生達も一緒に食べるのでいつもの
食堂ではなく学習室(食堂より広かったから)
に全員集まった。
園長先生の挨拶と卒園生達へ贈る歌を全員で
歌ったり、カラオケを歌ったり…。
いちばん寂しくて悲しかったのは…
ずっとそばに居てくれた姉が卒園する時だった。
5つ上の姉に、私は小さい頃からくっついて
歩いていた。
母に夜ご飯を与えてもらえなかった日も、
こっそり塩おにぎりを作って持ってきてくれた姉。
すごく美味しかったのを今でも覚えている。
優しくて大好きな姉が居なくなる。
姉が行ってしまう当日…施設の仲間達で集まり、
姉を囲って当時流行ったおニャン子クラブの
「じゃあね」という歌を唄った。
みんなで泣きながら唄った。
そしてその3年後はもう1人の姉が卒園した。
その時私は中学生で姉が施設を出ていく当日、
姉に話しかけられても私は、無視したりわざと
そっけない態度をとっていた。
そんな態度をとってしまったのは…
ただ素直になれなかったから…
そして何より
言葉にしたら「行かないで」
と泣き崩れてしまいそうだったから
だけど私が学校に登校する時、窓から姉が手を振ってきてその時ようやく私は泣いた。姉も泣いた。
大人になった今でもあの時の光景は忘れない。
私と弟、妹が残された生活はしばらく心細く、
そして姉達と離れた事で、私達は姉達にずっと
守られていたことに気づいた。
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