プロダクトマネージャー2年生3学期振り返り
4月でPdM3年目に突入しますが、現職場にて営業職からPdMをはじめた人間として、この2年の振り返りを兼ねてPdMとしての考え方を自分なりにまとめてみます。
PdMの一番の仕事は「今やるべきことを今やる」決定し推進をすること
端的に言えばこれです。プロダクトは生き物みたいなもので、赤ちゃんの時は死亡率が高いですし、成長期は元気はありますが怪我しやすいですし、大人になると安定しますが成長を続けないと周りに置いて行かれますし、中年になると経験も積めますが病気になりやすいです。生き物と違うのは寿命という概念がないことです。死はありますけどね。死に方も選べるときと選べないときがありますし、どこまで延命治療するべきかというのもあります。死にかけたところから元気になったりすることも。話を戻すと、要はプロダクトマネージメントは子育てと同じということです。
プロダクトには子供の成長と同じくこうしたフェーズがあり、そのフェーズごとに戦略や組織構造が大きく変わります。時代によっても考え方や技術も変わりますし、ベストなやり方はその時・その場所で変わります。
「今やるべきこと」というのはそのフェーズごとにも変わりますが、置かれている状況によっても変わります。例えば予算未達の状態とセキュリティリスクがある状態が重なり合っている場合、予算達成に向けた動きが優先されがちです。これは事業成長としては正しいのですが、セキュリティリスクが
ある状態を維持するのは事業存続としては間違っています。リスクの度合いによって判断すべきですが、とはいえ他社事例などが無い限りはなかなか優先されない印象です。
中年になると健康リスクが上がるので、健康診断での数値に詳しくなったという人も多いと思いますが、とはいえ「特に不調は感じてないしまあ大丈夫やろ」と放置してしまう人も少なくないです。仕事が忙しい場合は特に。リスクを診断せずに放置する判断してしまうと、最悪死にます。私の叔母の旦那さんは叔母とふたりの子供を残して、ある日仕事から帰ったところで突然旅立ちました。
そうならないためには課題を洗い出しリスクを可能な範囲で評価し「今やるべきこと」をハッキリさせ、それを組織として推進する必要があります。
「やるべきこと」を進めるためには
PdMに必要なスキルをざっくり分類すると数値化・言語化・構造化・図解化になります。これがすべて高レベルで揃えられて初めて説得力のある人間になれると考えています。僕はプロダクトマネージメントで一番大事なのは説得力だと考えています。
なぜかというと僕は組織にプロダクト思考が浸透していればPdMという役割は不要というスタンスです。PdMが必要という考えはプロダクト思考が浸透していないという組織課題に対するアクションなんですね。だからプロダクト課題だけでなく組織課題にも向き合い取り組む必要があるし、必要なスキルセットは膨大、なんでも屋、超人みたいな人物像がイメージされたり、するわけですが、組織として同じビジョンを共有し、同じベクトルを向いてそれぞれの役割を全うできるようになればPdMは不要になると考えています。これに関わる諸課題解決を一人に任せようというのがPdMの発生要因と考えているので、僕はPdMが居なくてもプロダクト思考で駆動する組織を作るのがPdMの最終目標と考えて動いています。じゃないと正直業務量が多すぎてしんどいってのもありますが。
数値化(データ解析・仮説検証力)
これは前述の課題評価・リスク評価をする上でのデータ解析・評価を含めた数値化スキルになります。評価するためにどんな数値が必要なのか、何をKPIに設定すべきなのかの能力になります。上記4スキルの出発点になるため一番重要です。ただ、データ解析は説明し出すとそれだけで本が書けそうなので、詳しく知りたい方はどこかで学ぶことをオススメします。
言語化
数値根拠に出来ればそれが一番ですが、「その数値が何を意味しているか」が伝わらなかったり、数値の根拠が薄い場合があります。ユーザーも人ですが、経営陣もマネージャー陣も社員もみんな人間です。理解が出来なければ判断が出来ませんし、曖昧な理解だと判断を誤ることがあります。そのため、正しく理解して貰うための言語化が必要になります。特に社内用語・専門用語は曖昧な理解のまま理解したフリをする人も居るので注意。
構造化・図解化
言語化でも理解を促すのに難しい場合があります。新規性の高い領域であったり、相手の専門分野ではない場合などです。この場合は構造化した上で順を追って説明したり、図解化して視覚的に説明出来るようになりましょう。構造化・図解化は説明用だけでなく自分の思考の整理にもなります。
いずれのスキルもAIで補助して貰える時代になりました。活用出来る部分はどんどん活用するのが良いと思います。
あと私が評価されているスキルとして「たとえ話」があります。私のプロダクトは技術的なレガシー化がひどくて、ちょっとした改修にも時間が掛かったり、想定がの不具合が出たりするんですが、「TVでたまにやってるヤバいレベルの汚部屋とかで特定のものを探したりするには時間が掛かるのはわかりますよね?アレです」とか「特定のものを見つけたとして下のほうのものを掘り出すとするとどこで雪崩が起きるかわからないですよね?ソレです」みたいなたとえ話が出来るんですが、概念レベルでもイメージを掴んで貰うためのたとえ話が出来ると、特に異なる職能同士の相互理解の際に重宝します。もちろん、この後により具体的な説明をして、たとえ話で不足していたり異なっている部分を補足する必要もあります。
結局のところ、社内政治とか社内不和みたいなのは相互理解が出来ていないことが原因で、誰しもプロダクトを良くしたいと想っています。その想い自体は一緒でも、職能ごとの考え方の差、経験からすれ違いが起きてしまうものです。そこを通訳して相互理解を進めるのもPdMの仕事といえるでしょう。
最後に
いろいろ書きましたが簡潔にまとめると、プロダクト課題とそのプロダクトを運用する組織課題、これらを解決していくのがPdMの仕事であり、すべての領域で一定以上の解像度・理解度が求められます。
エンジニア、マーケター・デザイナーそれぞれのマネージャー陣、そして経営陣と同じ視座・同じ解像度は必要です。とか書いてる私がじゃあ出来てるかというとそうでは無いです。全然まだまだですが、だからこそ楽しい仕事です。PdMになるにあたって一番の敵は「わかった気になること」です。時代の進みも速いので、昨日まで正解だったことが今日には変わってることもあります。
私がPdMに任命されたのは全く別の理由だったようですが、とはいえ営業職、エンジニア職、デザイナーを程度の差はあれ過去に経験していたことは間違いなくプラスに働いていますし、異業種の製造業出身というのも結果的にプラスに働いています。逆にマーケティング、経営をやっていなかったことが最大のボトルネックにもなっています。なので、もしPdMを目指したい・目指している方は率先して他の分野に手を出してみると良いと思います。経営はなかなか手を出すのが難しいかもですが!
PdMという役割は、全然キラキラしてないですし、むしろ知らないことでも率先して学び、経験したことないことでもすぐにやる行動力も求められます。というかそれが出来ないと成り立たない。なのでハードワークが出来ないとたぶん成り立たないんじゃないかな。でも凄く楽しいんですよね。定型作業とかだとタイムアタックはじめるくらい飽き性なので、常に学びがある仕事だからハードワークも苦じゃないし、責任も大きいのでやりがいもあります。
あ、あとPdMなりたての頃こそPdMの本だったりNoteだったりを多く読んで参考にさせていただいたんですが、割と大半が新規事業系だったので結果的に役立った機会は少なかったです。
何故かというとプロダクトの性質もあるし規模もあるしフェーズもあるし、組織課題や組織構造、組織体制などでも変わるので、結局のところ臨機応変に対応していくしか無いからですね。
ただ、NSMとかはなるほどなーとなったり、リーンキャンバスなどのツールは知っておくだけでも有用だと思います。