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ゲームレビュー:マルコと銀河竜
レビューは好評だったが・・・
steamのレビューが大変に良く、続編を希望する書き込みもあったのと、80%オフ位のセールだったので購入してプレイしてみました。
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結論から言うと、心が汚れてしまったオッサンには正直きつかった。
ほぼ読みゲーをゲームと呼んで良いのか問題
本作はビジュアルノベルであり、選択肢は賞味1か所しかないという完全な読みゲーである。1回のプレイでCG回収率は99%となり、あとはしょぼいミニゲームが2か所あるだけだった。ゲームパッドにも対応しておらず、マウスでカチカチするか、オートモードでひたすらボイスを聞いていくという代物でした。ちなみに、実質的なプレイ時間は5時間程度だが、2回くらい寝落ちした。
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シナリオは低年齢層向け、低予算なりに色々工夫した痕跡は見受けられる。
さて問題のテキストであるが、情景を説明するようなテキストはほぼなく、8割くらいが会話パートで構成されたテキストだった。ただこれはある意味狙ってのものであり、本作は細部まで見ると1枚1枚の作画はそれほどクオリティが高くはないが、圧倒的な作画枚数を細かく刻むことでプレイヤーに状況を分かりやすく見せる工夫がされており、よく言えば良く動くマンガともいえるし、言い方を変えれば手の込んだ紙芝居という表現が適切かもしれない。これはこれで途方もない作業が求められるわけだが、ほぼテキストと静止画だけで構成された内容からは、予算編成の苦しさなども垣間見える。
また、ちょくちょく挟まるカートゥーンパートも、恐らくフル作画のアニメーションだと予算と労力が足りなかったが故の工夫だと思われます。その割にはフルボイスで腕利きの声優さん達を多数使ってるので、予算面でそっちに全振りされた可能性もあるかな、と。
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こうしてみると絵師をクッソ酷使したような作品であったように思うが、本筋のシナリオはというと、幼少期に宇宙人に連れ去られた主人公のマルコが母親を探しに故郷である地球に舞い戻り、なんやかんやあって最後は銀河の中心で愛と友情に涙するという物語である。全体的に90年代のインディーズパソゲー?のノリであり、コメディ路線とシリアス路線を微妙に織り交ぜた内容で描かれている。正直心が汚れ切ったオッサンにはキツいノリだったが、中二病全盛期で絵柄が気に入ったガキンチョには刺さる世界観だとは思う。
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ゲームとしては落第点だが、こういうビジュアルノベル自体はあってもいい。
ここまで割と酷評気味に書いているが、昨今のゲームはほぼ心が荒んだ大人をターゲットにしており、銃撃を基本としたヒーローシューター、ストラテジーゲーム、一騎当千ゲームのように、とりあえず敵を殺しまくるゲームが多いわけですよ。でも、
Q:ゲームって本来は少年少女に夢を与えるべきものじゃないですか?
→いいえ。
A:夢を与えるべきものだとだと言えや!!
まぁそういうわけで、ラノベテイストの本作は多様性の面から見ても、今のゲーム業界には必要なゲームだったのかな?とは思います。シナリオも殺しや暴力を肯定するようなお話ではなく、色恋モノとも違う。友情と家族愛をテーマにしたものであり、心温まる作風は中二病拗らせた少年少女の情操教育には絶対良いはず!!・・・なんですよ。
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ただ、フルプライスはどうなんだ?(威圧)
子供達の為にこういうゲームがあってもいいと主張したのは前述の通り。だけどもなぁ、子供向けの作品でフルプライス7800円のビジュアルノベルは流石にえげつない。99%読むだけの作品故、本作は完全に5時間で読み終えられる、事実上の見る小説だ。確かに、CG枚数は多いしBGMも悪くない。ただゲームとしてはほぼ破綻しており、視る小説に7800円は流石にえげつなくない?セールで2000円ならギリ許容範囲やろ。
比較対象として、最近アニメ化したATRI -My Dear Moments-はフルプライスで2200円じゃないですか。パラノマサイト FILE23 本所七不思議も1980円だ。どう考えても価格設定が破綻してる。その辺マジでちょっと考えたほうがいいね。
世界観とか、テキストの作風自体は否定しないので、次回作はその辺どうにかせーよ。あと、レビューがやや仕込み臭いのがいくつか見受けられたので、次は胸を張って作品で勝負してほしいと思います。