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赤い月の昇る日

きっと、幸せすぎたんだと思う。
手に入るものも、目に見えないものも、
抱きしめていたものすべてが温かかった。
できるだけたくさん詰め込んでから出かけたはずなのに、気が付けばここにあるものを忘れていたみたい。どこかで落としたのかななんて思ってたけど、もう感覚なんて麻痺してたのかもしれない。
怖がらずに振り返ってみなよ。
どれだけ自信に満ち溢れていたのか。どれだけきれいな感情に包まれていたのか。どれだけ大切な日々だったか。
いいんだよ、そのままで。多分、アタシはアタシのままだから。

別れ際の信号待ちで、「またね」「気をつけてね」なんてあなたが泣きながら言うもんだから、もしかしたら帰り道で事故にでも会うのかななんて思ってたけど大丈夫だったよ。あなたがエスパーの類じゃなくてよかった。

もしかしたら最後かななんて考えちゃうときがある。
ちょっとっていうか、結構しんどくて、まあ今この瞬間消えてしまったとしたら、そこまで不自然じゃないなってタイミング。動機とかあるんじゃないのって感じ。どんな感じだよって話だけど、まあ簡単に言えば、今ベッドに倒れこんだら、気絶したみたい(死んだよう)に眠れるなって感覚。

そのタイミングで仮にあの世に行かなきゃならなくなったとしても、恐らく死に切れてないと思うから、冝保愛子とかそんな感じの方たちに怒られるタイプの幽霊になるんだろうな。

死にたくないですよまだ。やりたいこといっぱいあるし、何なら毎日増えていってるし、大切なことばかりだし、死ぬまでって言ったら変だけど気持ちあと50年くらいは続けたいことあるし、会いたい人いっぱいいるし、できれば一人じゃない状況で生き続けたいなって。

『夢中になってのめり込んだもんがそういやあったよな』
本当そうだよ。そうなんだよな。
今月これを投稿したら、このエッセイも2周年になるらしい。早いもなにも、月に一回でやってきたのだから2年でたったの24回ですか。
いっぱい話してきたな。なんて言いながら毎月誰に急かされるでもなく月末に追われて書き上げてしまわねばとポチポチしている。

生活の中でどうしても自分がどんな人だったか分からなくなる時がある。
何が楽しくて歌を歌っていて、何が楽しくて野球を見ていて、何が嬉しくて目の前にいる人と会話をして、何が目的でアタシをインターネットに書き連ねて。どうしても思い出せなくなる時があるのです。

このエッセイは恐らく、ちーこさんやアタシの中にある累々の大好きなエンターテイナーの真似事をしてみたくて始めたんだと思う。音楽もそう。あまりにも楽しそうなんだから、やってみたくてたまらなかったんだよな。
自分の考えてることに一人でも共感してくれる人がいたとき、またもいっかいやりたくなっちゃって。でもこういうことって、職業でやっている人が本格的に売れてから過去の自分を思い出して語ることなんだよな。

そんなこんなでアタシは演劇を始めました。どれもこれもちーこさんこと藤井千咲子さんの影響です。どんだけ影響されてんだよってね。まあ始めたっつったって大学の部活なんですけどね。いまはそこがアタシの大きな居場所です。もしかしたらこんな臆病の権化みたいなアタシがまた人前に立つことができるんじゃないかなって心のどこかで思いながら。嘘。ほんとはもっとやりたい。
せっかくちーこさんに出会って、せっかく通信制に通って、せっかく音楽を自分の手で作って歌ってきたんだから、もっと恥ずかしいことやらないと気が済まないのかもしれないな。

きっと、幸せすぎたんだと思う。
手に入るものも、目に見えないものも、
抱きしめていたものすべてが温かかった。
今その子たちがフラッシュバックして、もう少し生きたらいいんじゃね?的なことを割と真面目にアタシに訴えかけている気がする。
死にたくないですよまだ。死にたくないから、死にたくなったときはでかい声出すことにします。恥ずかしいことして変な汗いっぱいかこうと思います。
高校生のころどうやって生きていたかなんとなく思い出してきたよ。
アタシはアタシのまま何か違う存在になって、あそこに戻りたいんだと思う。それは六本木のライブハウスだったり、夜行バスの中だったり、あの子とラインしていたベッドだったり、蒸し暑いあの日の思い出。


今日は一年で一番日が長いんだって。
月が大きいね。真っ赤に燃えているね。
とってもきれいだね。
うんん、深い意味なんてないよ。

ただあなたと、あの日を思い出しただけ。


ちーこさんのnoteはこちら。夕方に読むのが好き。


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