君をみかけた
夕暮れどきの駅前でギターを持って弾き語りをする君を見た。
人通りもそんなにない駅前で、今時、弾き語りだってなかなかいないのに。なんだか見ている私が恥ずかしくなって、道の向こうを静かに歩いた。
ダサい服着てギターを奏でて、君は大きく歌をうたう。
周りの人は誰も彼を見ない。
私は近くの文具屋さんに行って、消しゴムとノートを買い足した。文具屋さんを出ると、ロータリーの向こうでギターを続ける君を少しだけ見つめた。
「The answer my friend −−− is blowin in the wind −−−−」英語の歌詞を君は歌った。私の知らない歌だった。
夕暮れどきの人もまばらな駅前は、もうすぐ、夜の駅前になる。
end.
引用:Bob Dylan – Blowin' In The Wind
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