さとうひび
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打ちのめされて文字 1文字もかけず 涙 止まらないのに 心からっぽ 何か 借りないと 言葉 成り立たず みじめだ 今日が終わって焦りしかない おまえは ただ 今の感動を離乳食みたいに 食って それだけで 真顔で語る ことのバカさに呆れて それでもバカになりたい おまえは何だ バカになれば救われるのか? YouTube バカみたいに泣くおまえはなんだ? マネることしか思いつかねぇもんな おまえ 日頃 なに創造してんだ? 自分が良ければそれでいいもんな おまえ 日頃
夢のなかで私は妊娠していた。 しっかりと膨らむ下腹部には、もそもそと動く小さな何かが、しっかりと存在していた。 それは弱々しく、しかし逞しく、たしかに生きていた。 妻が優しい微笑みを称えて言った。 「あなた、お医者さんが男の子だそうですってよ。おめでとうね。」 私は戸惑ってしまい、何か気の利いた答えを言おうと思っても言葉がでてこなかった。でもそうか、めでたいのか。たしかに自分の子供だもの、めでたいよなと考え直した。 これからこの小さなものが私とともに育ち、そして腹
遠雷が鳴る。 遠くに聞こえる長い雪崩のような、そのくぐもった音は。 密かに私の恋の終わりを暗示している。 真っ暗闇がいくぶん緩和され、世界は朝への準備をはじめている。 雨。 どしゃ降りの雨。 きっとこの先は夏。 きっかけは些細なことだったのだと思う。 私のちょっとした言動が気に障って、なんだかんだで言い合いになり、私は引けないから、そのまま向こうがいいよってなるまで、そのまんま。 そういう「後処理みたいなこと」が嫌なんだ、と何度言われただろう。 そして、そのたびに
打ちのめされて文字1文字もかけず 涙が止まらないのに 心からっぽ 何か借りないと 話も成り立たず 惨めだ 今日が終わると思っても焦りしか出ない 俺は ただ今の感動を離乳食みたいに 食ってそれだけで 真顔で語ることのバカさに呆れて それでもバカになりたい 俺はなんだ バカになれればそれで救われるんか YouTube バカみたいに泣く俺はなんだ 真似ることしか思いつかねぇもんな お前 日頃なに勉強してんだ 自分が良ければそれでいいもんな お
おじいちゃんが枕元に現れたのは、私が鬱状態に陥り、初めて会社を無断欠勤したときだった。 新卒で入ったその会社は広告代理店で、営業で入った私は昼夜を問わずにかかってくる上司からの怒声と、どう考えても期限内に終わらない作業と、接待でクライアントから受ける執拗なセクハラと、牽制しあう同僚からの駆け引き沁みた嫌味と、そんななんやかんやを休日もなく抱えつづけるのが仕事だった。 でも体育大学を卒業した私にはおあつらえ向きの仕事だと思っていた。とんでもない会社だよと文句を言いながらも、
うっかりnoteの存在を忘れるけど、あせるほどのものでもない。義務にしたらやらなくなるし。思いなおした自分は昔よりはえらい笑
「物理学的な見地でいくと、僕たちの考えている『時間の流れ』っていうものは存在しないんだ」と難しそうな顔をしてミツルは丸い眼鏡をくいとあげた。 「実は僕たちのあらゆる状態っていうのはすでにそこにあって、特定のそれにスポットを当てることで、世界が動いているように感じるのさ」 「すべては、もう『すでにある』んだよ。」 私には意味がよくわからなかったが、ミツルがいうのだから間違いはないのかもしれない。 ミツルは俗に言う『天才児』で、12歳なのにアメリカの大学で研究をしている。
今日の学び:流れてきたハッシュタグにはちゃんと脈絡がある。
最後の長い片思いを抜けるとあなたがいた。
ここにはいない起業家の、インタビューされたときの話。 自分でいうのもなんなんですけど、僕には才能があると思っています。 どんな才能かと言われれば、たぶん絵画なんじゃないかと思います。 先日、自分が3歳のときの絵と5歳のときの絵を見比べてみたら、とんでもないほど上達してましてね。 感動しちゃうくらい。これ、毎日、絵を描いたらどうなるんだろう!と思わず自分でびっくりしちゃったわけですよ まぁでも今は34歳で起業家。当たり前ですけど、絵なんか描いちゃいませんよ笑 でもこの
昨日も僕は8時に起きて、遅刻ギリギリ会社にむかった。昨日と一緒の電車に乗って、昨日みたいな顔して降りた。昨日と同じ人たちと一緒に通勤。昨日通りの道を歩いて、昨日も行ったコンビニに寄って、昨日と同じくタイムカードを押した。 仕事は毎日変わるはずなのに、昨日みたいな仕事をこなして、昨日と変わらぬミスを犯して、上司は昨日と一緒じゃないかと怒った。僕は昨日を生きているのか。ビルの向こうの空は青い。これもなんだか昨日と一緒。 昨日と一緒の時間に腹が減り、昨日と同じような弁当を食べ、
フレッドペリーは泣いていた。フレッドペリーはファッションブランドではなく、彼のニックネームである。ポロシャツばっかり着ているから、女性陣からあだなをつけられたのだ。前髪まっすぐのフレッドペリー。彼はそうやって女性陣にからかわれたけど、性格が優しくて女性的なので、ぜんぜん怒ったりはしなかった。 ところで、彼が泣いているのは、もちろんニックネームがひどいからじゃない。 彼はたった今、失恋したのだ。一世一代(本人いわく)の恋に破れ、ビルの屋上でえっぐえっぐと泣いていたのを私が見
今日あつー。
昨日私はここに生まれた。昨日、地球の人になった。わからないことばかりだけれど、どうかこれからお願いします。 見上げると白い空、霞のかかった白い空は四角形。飲みこむものはなんだかとっても軽くて、冷たい。ここは随分寒いのね。私を支えているのは真っ白なやわらかい地面、私はどんどん下の方に吸いつけられている。ここはなんだか重いところね。あたりは随分といろいろな音がしている。カチャカチャ、よかったねー、シャー、ぞわぞわ、元気な女のこ、、。どうやら騒がしいところみたい。 少しつかれて
クレイジーな豚は空を飛ぼうと決意した。 周りの豚は彼をバカにするか、死んじゃうからやめたほうがいいと真剣に止めた。クレイジーな豚はどちらにも耳を貸さず、ゴミおきばを漁りだした。 空を飛ぶのになんでゴミを漁るんだと、周りの豚は彼をバカにするか、ゴミなんて汚いから触らないほうがいいと心配したが、彼はどちらにも耳を貸さなかった。 ごみ捨て場から鉄を拾ってきたクレイジーな豚は、何やら急に化学の勉強を始めた。周りの豚は気でも狂ったかと彼をバカにするか、思い直して学者を目指すのねと
優しい気持ちと悲しい気持ちが重なり合って恋だと知った。昨日の深爪は誰のため?私のためか、あなたのためか。自分の部屋のテレビも机も、みんなに秘密のお菓子だらけの引き出しも、今ではすっかり別物みたいに、少し暗くて空っぽだ。 昼間が終わって、すぐ夕方で、私はまっすぐ家に帰る。 自分の部屋。荷物を置いて着替えたら、ベッドに転がり天井を見る。「井の中の蛙、大海を知らず」この言葉には続きがある。「されど、空の深さを知る」だって。部屋の中、どちらも行けない私はどうしたらいいのか? 手