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原田治 展に行ってきました。

原田治の展示会に行ってきました。ミスタードーナツのイメージキャラクターやポテトチップスのパッケージキャラクターで有名なクリエイターです。普通に日本で暮らしていれば見覚えのない人はいないくらいですよね。

原田治についの紹介文に「東急電鉄のステッカーデザイン」と記されていたのですが、お恥ずかしながらいまいちピンと来ませんでした。東急には何度も乗車しているのですが、それらしいデザインが思いつきません。しかし、展示会場を歩いていてハッとしました。こちらです。

めちゃくちゃ知ってました。サブリミナル効果のように脳裏に焼き付いていたそのステッカーを、まじまじと凝視してしまった。このように、自分がよく知っているモノ同士が、同じ作者によって生み出されたという1点で結び付くのはとても気持ちがいい。

彼はミスタードーナツに向けたキャラクターデザインで一世を風靡しただけでなく、日本での「可愛い」という概念における1つの原点にもなったわけです。今見ても古さを感じず可愛いと思えるデザインの普遍性が、その証左と言えるでしょう。可愛いは正義です。

僕はこういう1人の作家にスポットを当てた展示会が好きだ。もちろん、1つのテーマに沿って色々なアーティストの作品が展示されているイベントも楽しいのだけど、1人の作家の世界に身体ごと没入できる感覚がなんとも心地よい。いま、この文章も会場に設置された椅子に座って書いている。原田治の数々の作品に囲まれながら。一種の心酔状態ですから、こうして赤裸々に状況を吐露すると厨二病のようで恥ずかしいのですが、誰にも迷惑はかけていませんからね。

あまりにどっしりと椅子に腰掛けているものだから、僕のことを会場のスタッフと間違えたらしい1人の女性客から声をかけられた。どうやら荷物を預けるロッカーの鍵を失くしてしまったようだ。僕は「すみません、自分はスタッフではないので・・・」と伝えるも、慌てふためている彼女は理解できていない様子。「僕は客でして、ここで休んでいただけなんです」と言い直し、なんとか納得してもらえた。気を取り直し、僕はまたポチポチと文章を打ち始める。すると、またもや別の女性が近づいて来て、僕に一言。「すみません。こちらは監視用の椅子でして・・・」申し訳なさそうに発声する彼女は、会場のスタッフだった。一般客が軽く休憩するくらいなら構わないが、一応スタッフが監視するためのものなので、偉そうに足を組んで座っていると誤解を招く恐れがあるそう。監視員の方は決してそんなお行儀の悪い座り方はしないのです。アホだ。誰にも迷惑をかけていないと大口を叩いていたが、迷惑千万だ。僕は陳謝し、そそくさと会場をあとにした。

出口付近にあるグッズ売り場にて、原田治がこの世を去る前に遺したエッセイ集を買いました。晩年、彼が自身のアトリエで名も無き作品をつくりながら何を考えていたのか。自宅でミスタードーナツでも頬張りながらゆっくり読み耽ろうと思います。

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