ティータイムをより豊かに
僕はいま、可能な限りの倹約をしている。ぎりぎりまで切り詰めるという程ではないけれど、なるべくお金を使わない生活を心がけたい。
目下、とりわけ取捨選択を迫られている品目は茶菓子である。そもそも節約をするのなら茶菓子など論外、という声はごもっとも。が、僕が健康で文化的な生活を営む上でティータイムは欠かせないのです。これは譲れない。その前提で、安価かつ満足度の高い茶菓子を探し求めている次第だ。
たとえばシュークリームという洋菓子がある。今の僕にとって、この類は最も愚かな選択と言えよう。分かりやすく、シュークリームが1個100円だとする。シュークリームはその性質上、一度で食べ切るのが道徳である。だとすれば、一度のティータイムで茶菓子に100円もの費用を投じることになってしまう。人類史上、いち庶民にこれほどの贅沢が許された時代があったか。先人達の尊い犠牲と努力に畏怖の念を禁じ得ない。
端的に述べると、同じ100円を支払うのなら複数回たのしめる品が望ましいということだ。考えるべき項目は2つ。まず、「複数回たのしめる品」と言ったが、その回数は多いに越したことはない。2回より3回、3回より4回。100円でより多くたのしめる方がお得ですからね。そして、当然ですが茶菓子に適しているかどうかも重要だ。ポップコーンは1袋に大量に入っているので複数回たのしめますが、茶菓子として適任か?と問われれば怪しいものだ。その点も考慮し、僕の考えるTHE BEST茶菓子アベンジャーズを結成することが当面の目標です。
さて、メンバー候補を探すべく早速100円ショップへ向かう。これまで、お菓子を選ぶときの基準は主に「味が好みかどうか」であった。しかし今は違う。極めてコスパの良い茶菓子を求めている。いつもと違った視点で売り場を散策しているだけでも新鮮で面白いものだ。
陳列棚を眺めていると、普段は目にも留めない商品にオートフォーカスした。1袋のなかに個装された複数の菓子が入っていたからだ。
60年以上も愛され続けている「パピロ」。パッケージに何となく見覚えはあるものの、買ったことはなかった。というより、見た目で食わず嫌いをしていたのだ。名前はよく知らないけど、「田舎のばあちゃんの家にある、カチカチで黒っぽくて甘ぇ〜やつ」ってあるじゃないですか(かりんとうではない)。この「パピロ」もその仲間だと思っていたのです。しかし、よく見ればパッケージにフランス国旗のトリコロールカラーを確認できる。勝手に「甘ぇ〜和菓子」と思い込んでいたが、いやはや洋風の菓子ではないか。
迷わず買いました。内容量は個装で11個、すばらしい。
お茶に合うかどうか、という問題も難なくクリアー。さすがはロングセラーです。乳不使用のクリームはさっぱりなめらかで、外殻は煎餅のような歯応えと香ばしい風味がある。くどくなく、それでいて味わい深いため、1個でも十分な満足感だ。
予算を制限して最適解を探すのは、ゲームのような楽しさもあります。こうして僕のティータイムにまた一つ彩りが加わったのでした。茶菓子アベンジャーズ結成の日もそう遠くないかもしれない。