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難しいことを難しく話す無能

前半を無機的な配置で終えたアーセナル。アラートで明確に整備されたレスターの4-4-2を崩すことはできなかった。レスターは前線の6人が中央を隠すように振る舞う。内側に侵入してくるSBには釣られすぎないように、かつ、通されたら鋭く反応する。このレスターを崩せなかったアーセナルは、後半に配置バランスを変える。ウーデゴールを明確にセンターバックの脇に下ろして、マークの基準点をずらしたのだ。時に、トーマスがセンターバックの中央にも降りてくる。中盤の選手がバックラインまで降りてくることにはメリットとデメリットがある。メリットは前線で守備をする選手の視野外から現れれること。・・・

うん、複雑だ。複雑に喋りすぎだ。

サッカーの複雑化が顕著だ。配置・戦術・技術・原理原則があたかも「難解なもの」として扱われている節がある。

サッカーの指導者をする。少しでもチームを良くしたい、選手を良くしたいと考えて、勉強する。トップカテゴリーの試合を見たり、自チームの試合を見て振り返ったりする。

参考文献や有識者の発信を見る。今ある知識に新たなものを足そうとして、学びを探す。

ふとした時に自分を客観的に観察すると感じることがある。

複雑に考えすぎている

今持っているものを増やそうとすると、より複雑に、より付加価値を、となる。

チーム戦術という分野で捉えてみる。「配置は3-2-5で、守備組織の間でポジションを取る。守備者が迷う位置を取りながら、ターンとレイオフを使って数的優位を貯めていく。相手が食い付けば背後を取る。食いつかなければライン間で受ける・・・」となる。

サッカーのチーム戦術の概念はもっとシンプルでいい。複雑なものは指導者の中にあればいい。シンプルな方が、迷いがなくなる。選手たちからするとシンプルで、見てる人は複雑に語りたくなるサッカーがベストだ。

サッカーのチーム戦術の概念は、シンプルで少ない。

長いor短い
狭いor広い
中央orサイド
速いor遅い

これだけだ。選手はこれを調整すればいい。「これを調整すればチームとして正しいことをしている」という感覚でいい。

例えば、「長いor短い」はその試合で用いている、パスの距離のことだ。あまりにもパス本数のバランスが「短い」に偏っていたり、試合が苦しくなっている原因が「長い」パスの質が原因になっていたり。これを「今の状況がこれで、この状況をこのように打開したいから、このプレーの質をこういうことを意識してあげよう」と言われると、内容が複雑で選手の頭には残らない。

指導者は「今は長いor短いの"長い"だめだ。だから、長いを改善しよう」というように。尺度がシンプルで、わかりやすい方が改善が明確になる。チーム戦術の物差しをシンプルで少なくする、それを元にチーム状態を改善する事が、指導者には求められる。

サッカー以外でも同じだ。料理を作る時には「濃いor薄い」。仕事で資料を作る時には「多いor少ない」。筋トレをする時には「重いor軽い」。

全ての尺度は本来、シンプルで少ない。人間は暇で退屈だから、尺度を複雑にしようとする。暇が潰せるから。暇が潰せるならそれはそれでいいかもしれないが。

尺度は短くシンプルに

これがいい。向こうしばらくのテーマにしよう。

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