ファンからのアドバイスがアーティストにとってストレスになる理由


先日、「ライブハウスなどで活動しているアーティストにファンの立場でアドバイスをする人がいるんだけど、善意で言ってるとしてもあれはやめたほうがいい。なぜかというと責任が取れないから。もし本気でサポートしたいと考えているなら、スタッフかスポンサーになりたいと申し出ればいい。」といったコメントをツイートしたのですが、アーティストからの相談にのっていると、ファンからアドバイスされることがストレスになっていることが意外に多いんです。

なぜかと言うと、ファンにしてみたらアーティストに対しては1対1なんですけど、アーティストからしたらそれが1対10だったり1対20だったりするわけです。
そして人によって考え方や捉え方が全く違いますから、「こういうサウンドにした方がいいよ」とか、「ライブの本数が多すぎるのでは」とか、「ブログの書き方がどうの」などなど言われるわけです。

ライブの会場で言う人もいれば、フェイスブックでコメントする人、ご丁寧にレポートにまとめてメールに添付してくる人もいます。
それが重なった時にめちゃストレスになるのは想像がつきますよね。
例えばライブ会場で2〜3名の人に今日のライブはダメだったからこうした方がいいみたいなことを言われ、帰りの電車でスマホ見たらたらまた似たようなコメントがドッサリみたいな(笑)

会社員で言うと、自分の部署の上司や先輩ならまだしも、他の部署の先輩から仕事のやり方について駄目出しをされ、同業他社の仲間からまだまだ努力が足りないと言われ、取引先の人から「あなたの会社は評判悪いから他の会社を紹介するよ」とか続けて言われたら「ほっといてくれよ!」ってなりますね。ま、そういうのと似てます(笑)

まぁ世間一般的に評論家気取りの人は多いのですが、責任を取れない立場であれこれ言うのは失礼なことです。
あくまでもファンは応援する立場であって、指導するのはプロデューサーやマネージャー、スタッフの仕事です。
外側しか見ていない素人が口を出してはいけないということですね。
どんなビジネスでもそうですが、実際に自分がその立場でやってみると全く見え方が変わります。
特にエンタテインメントの世界は見えていることと裏側は大きく違うものなのですから。


SNSでファンとアーティストが直で繋がるようになったのはファンにとってはありがたいことですが、アーティストにとってはしんどい一面もあります。
だから場合によってはコメント欄を閉じるとか、アカウントを削除するとかの英断をしなければならないこともあると思います。
SNSで疲れてしまっては本末転倒ですからね。

ワンマンやれば300名とか500名集客できるクラスのアーティストなら、ひと昔前ならレコード会社や事務所が必ずコンタクトをとってきました。
でも現在はスタッフもなしで一人でやってるケースも多いです。
本当に大変だろうなと思います。
そういうアーティストには信頼できるスタッフを見つけるように勧めていますが、そのスタッフにもギャランティーしなくてはならないとなると、なかなか行動に移せないようです。

まぁ今は過渡期なので踏ん張りどきです。
突然音楽業界が崩壊したことに加え、次の環境の準備が全くできてなかったのですから、なかなか頭が切り替わらないのは確かだと思います。
でも、そういう苦労も乗り越えながら、それでもやっていきたいことなのかということを試されてると捉えればいいんです。

オーディションに受かれば素晴らしい展開が待っているとか、レコード会社に声をかけてもらえればプロになれるとか、そんな時代はとっくに終わっています。
アーティスト自身がプロデューサーであり、経営者であるという自覚がないなら趣味にしておいた方がいいです。
好きなことで食べていくというのは厳しさも伴なうものですから。


Mail  quont1994@gmail.com

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