記録は失われ、記憶は美化する
MacBook Airを買い、バキバキに画面の割れたiPhone7を修理に出し、完璧な状態でアメリカに上陸した。
営業マンだった時に使っていた手帳をGoogle calendarに変えて、便利さに驚いた。
Facebookはプライベート投稿が多いから、連絡先を交換するためにLinkedinに登録した。
毎日新しい知り合いができるので、名刺管理アプリのCamCardを使い始めた。
音楽をたくさん聴きたくなって、Spotifyをダウンロードして無料会員になった。
充電が切れたので、iPhoneを電源に繋ぐ。Appleマークが点滅する。一向にいつもの画面にならない。音量ボタンと電源ボタンを同時押ししてみる。が、リセットされない。パソコンに携帯を繋いでみる。iTunesすら起動しない。ああ、充電器が壊れたんだな、と違う充電器を使ってみる。けれど変わりない。
AppleStoreのお姉様曰く、「初期化か、それが無理なら新品に交換です。」「よかったですね、AppleCareがあと15日残っていらっしゃいますので無償です。」
アメリカに向かった6月18日の前日にとったバックアップを最後に、携帯をパソコンに繋いでいない。iCloudも有料だから嫌だなあと登録していなかった。
Google calendarもLinkdinもCamCardもSpotifyもログインし直せば3ヶ月間の情報はすぐに復元できるけれど、唯一、写真のバックアップがどこにも取られていない。
空港に見送りに来てくれた同期カップルとのスリーショット、アメリカ初日に食べたフォーの映え写真、ドライブで行った数々の観光地、ひとりで公園で食べたピザ、友達との最高の笑顔、、、全部が消えて、美化された記憶だけが残った。
あれ、この3ヶ月って夢だったのかな、と思えるほどiPhoneが3ヶ月前の真っ新な状態になって、じゃあ、この3ヶ月で私はどこまで新しくなれたんだろう。
すてっぴぃ@写真のバックアップにはGoogle Photosがおすすめだよ、と同僚に言われた。あと3日早く言ってくれ。