花王の革命!敏感肌ブランド「キュレル」が日用品に進出、アジアも攻略
5分で読める、最新の経営ヒントを毎朝お届け。日経新聞の記事の中から、マーケッター視点で「今、知っておくべきデータ」をピックアップ。ビジネスマンの「やりたい」の成功確率をアップしてもらいたい!そのために、必要な視点やマーケティング戦略立案のノウハウを紹介しています。
記事の要約
花王は敏感肌用化粧品ブランド「キュレル」を通じて、日用品を展開する計画を発表しました。まず、柔軟剤が10月に投入され、洗剤などの追加製品の開発も検討されています。新たな「キュレル 衣料用柔軟剤」は衣類の毛羽立ちを抑え、肌への刺激を減らすとされています。
さらに、海外市場向けには、現地の生活習慣に応じた化粧品の開発も行われています。第1弾として「キュレル 湿潤保湿 乳液ケアメイク落とし」が9月に発売されます。これは、アジア地域で主流となっているコットンでの化粧落としに対応するための製品で、摩擦による肌荒れを防ぎます。
このような展開により、花王は2025年までにキュレルブランドの売上高を現状比で3割増やし、500億円超にする計画です。
ブランド戦略と市場の洞察
キュレルというブランドをご存知でしょうか。花王が展開するこの敏感肌用化粧品ブランドは、発売開始から長い歴史を持ち、その間「敏感肌向け」に特化したターゲットを絞り込んだ戦略を展開してきました。売れ行き自体は他の花王のブランドと比較すると少なめかもしれませんが、彼らはある大胆な一歩を踏み出しました。
特定の領域で強くなったキュレルは、その信頼と実績を基に商品ラインを広げることを決定しました。僕はこの戦略を見て、ブランディングの教科書のような事例だと感じました。特定のターゲットに対して、抜群の評価を受けているブランドが、その他の商品に展開していく例は他にもたくさんあります。コンピューターブランドだったアップルが、今では、クリエイティブライフブランドに成長したのが好例かも知れません。
市場拡大と内部調整
キュレルの新たな挑戦は、海外市場への展開も含みます。僕が特に興味深いと感じたのは、ここで彼らが現地の生活習慣に合わせた化粧品を開発するという点です。これは、現代のSNSの進化発展により、日本国内で強いブランドが容易に海外市場でトライできる時代になったことを示しています。
しかしながら、この大胆な戦略には一つの課題が潜んでいます。それは社内での「交通整理」です。なぜなら、花王は既に多くの化粧品ブランドや柔軟剤ブランドを保有しており、キュレルの新たな製品ラインによって自社ブランド間で市場を奪い合う「カニバリ」状況を自ら生み出してしまう可能性があるからです。この問題をどう乗り越えたのか、そしてこの戦略をどう実行に移すのか。これからの花王の動向が非常に興味深いです。
お客様のニーズが最優先
僕が想像するに、花王社内では、"敵は社内ではなく、お客様のニーズだ"という議論が交わされたのではないでしょうか。お客様のために最善を尽くすという思想が、内部の調整を乗り越え、新たなブランド戦略の創出に結びついたと考えると、非常に感動的です。
今回のキュレルの事例は、我々ビジネスマンにとって、多くの示唆を与えてくれます。市場への深い洞察、むずかしい社内調整を乗り越える、そして何よりお客様のニーズを最優先に置くという姿勢。これらを忘れずに、日々のビジネス活動に臨むことが、新たなチャンスを生み出す「きっかけづくり」に繋がると、僕は信じています。
今日の問い
あなたが関わっているビジネスやブランドは、特定のターゲットに対して抜群の評価を受けていますか?特化した領域で強くなることの重要性をどのように認識していますか?
自社の商品ラインを広げるという選択を考えたことはありますか?その際、社内でのカニバリゼーション(自社ブランド間での競争)についてどのように対処しますか?
市場のニーズと社内の調整、この二つが矛盾した場合、あなたの組織ではどちらが優先されますか?その理由は何ですか?
あなたの事業では、海外展開を考えていますか?その際、現地の生活習慣や文化をどの程度反映させるべきだと考えますか?
自社のビジネスやブランドをどのように進化させていきたいですか?そのために最も重要な取り組みは何だと考えますか?
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