テクニックよりも、あり方が大切
試験が近くなるとどうしても、受かるための作法みたいな伝え方が増えてきてしまうので、カウンセリングやコーチングなど、人の話を聴くときに聞き手に求められる役割について自分中でも整理しておきたいと思います。
中でも特に大事なのが、話し手の「感情」や「気持ち」を適切に引き出すことです。
けれども、ただ技術に頼るだけでなく、相手と向き合う「あり方」が本質的な部分となります。
今回は、そんな傾聴における「気持ちを尋ねる質問」の基本とその効果について3回に分けて紹介します。
まず1回目は、
1.感情ではなく「気持ち」を問うことの大切さ
例えば、話し手が「事柄について感情的に話し続ける」場合、ただ「なぜそのように感じるのか」と原因を問うだけでは、内面の深い部分には触れにくいことがあります。
このようなときには、「何が気になりますか?」「どこが気になりますか?」「どう気になりますか?」といった問いかけが有効です。
こうした質問のポイントは二つあります。ひとつは「なぜ」ではなく、「何が」「どこが」「どう」と切り出すこと。
もう一つは「気になりますか?」という表現で、相手の中にある曖昧で微細な感覚や思いを引き出すことです。
「気持ち」という表現はしばしば感謝や喜び、悲しみといった自覚できる明確な感情に使われますが、傾聴ではそれだけでなく、はっきりしていない内面の複雑な思いや感覚を大切にします。
そのため、「どんな気持ちですか?」とストレートに問うより、「何が気になりますか?」といった柔らかい質問で、相手が自分自身に問いかけ、内面を見つめてもらうことが傾聴の本来の目的なのです。
2回目は、質問の目的についてお話しします。