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「けりをつけなくちゃね その悲しみに」

今日は2020年6月17日。
あの人が“いつも通り”でいた最後の日から、1年経ちました。

日頃周りの人に助けを求めるのを難しく感じる人間にとって、常に逃げ場となるエンタメを作り続けたあの人がどんな存在として映るかは、もはや言うまでもありません。

改めて、心から感謝を申し上げたいと思います。
長い間、ありがとうございました。

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あれからの1年間、あの人を語るたくさんの言葉と向き合ってきました。時には刺々しいものや、ただ悪意に満ちたものも目にしてきましたし、その度に深く、深く、何かを否定されたような気分を覚えてもきました。

でもその一方で、正しいことも正しくないことも、あの人が生前したすべてのことを受け止めながら、愛の溢れた言葉を添えようとする、そんな人たちの姿もたくさん見てきました。

そのひとりが、堂本剛さんです。

この世の中にある
すべての言葉と想いで綴っても
僕の胸の中は伝えることが出来ないよ
あなたが命尽きるまでの
最後の最後までの時間を使って
出逢ったすべての人へと宛てた
無垢な愛に胸が熱くなったよ
これからは
住む世界が変わってしまうけれど
あなたが想えば…僕が想えば…
いつだって繋がれるよ
あなたが
その命の色彩を惜しみなく
捧げてくれたことを
いつまでも抱き締めて生きていくよ
涙は流さずにこの体と心へと彩って
あなたを愛しているという
変わらない毎日を大切に生きていくよ
愛しているよ
ありがとう
宇宙一大好きだよ

あの人のお葬式は、「家族葬」として執り行われました。血縁や婚姻によらない新しい親族のかたちは、従来の形の親族を築いていくことに、様々な事情で不安を抱えた者にとっては大きな希望になり得るものでした。また、どんな場面でもあの人の教えを体現する「子ども」たちの生き方を見ていても、命はこうして継がれていくんだと、そう信じることができました。

もしかしたら、自分はあの人の姿に“愛に生きる”理想像を投影していたのかも…などと思ったりもします。

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振り返ってみるとあっという間に感じるものですが、あれから1年経ち、あの人の描いていた夢にも変化が訪れました。

あの人がずっと楽しみにしていたオリンピックは、延期になってしまいました。あの人が7年前から構想を打ち立てていた“Twenty Twenty”計画も、この情勢を受けて形を変えることとなりました。こんなとき、「あの人がもしいたらどうしていただろう…」と考えてしまう癖、それもまた悲しみの表れだと思っています。

「悲しみ」も、言葉と同様この1年間向き合ってきた大きなテーマです。

悲しみはよく「乗り越える」ものとして表現されます。しかし、この1年間を通じて、本当にそれはできるのか疑問に思うようになりました。悲しみを越えていくということとは、後ろを振り返らないこと、つまり、「忘れること」「大人になること」なのではないか…と。

あの人の存在を否定することが自分の存在そのものを否定することに繋がってしまうほど、あまりにも大きな存在であったために、あの人がくれたものを忘れてまで、あの人がいなくなった悲しみを「乗り越え」ようとはとても思えません。今の自分自身が悲しみと対峙したこと自体は、何年後も揺るがないものなんだとしても…。

でも、だからといって、悲しみとそのままの状態で向き合っていては、誰だって色々な意味で持ちこたえられなくなっていってしまうでしょう。その意味で、1年という節目は一つの限界点だと思います。だからこそ、(もちろん無暗な「乗り越え」を生んでしまう危険もはらみますが)こうしてあの人の存在にアプローチし続けることが、この大きな悲しみに対するひとつの正解を生むはずだと思っています。

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今あの人を想うとき、ふと頭に浮かぶ曲、そしてドラマのセリフがあります。

なにかをひとつ失した時に
人は知らずになにかを手にする
きみのためにできることを あれからずっと探してる
全部だきしめて きみの近くにいよう
星になった歌も 過ぎた想い出も
人は、悲しい気持ちのまま、怒ったり怖がったりできるんだよ
だから悲しいまま、楽しくもなれるんだよ

悲しみは乗り越えるものではなく、抱き締めるもの。悲しみを抱きながら、怒ったり怖がったり楽しくもなれる…という事実を、この1年間痛感してきました。

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これから、2年、3年、と時間が経つにつれて、あの人の存在は、生きている誰しもの記憶からどんどん薄れていってしまうでしょうし、それはもう避けようがないことです。

でも、あの人がその価値を生涯伝え続けたエンタメは、自分とは異なる世界を見ることを通じて、今分からない「何か」を想像する力をも培ってくれるものでもあると思います。

だからこそ、あの人がいなくなったあの時の気持ちを想像し、愛を送ること自体は、どれだけ時間が経ったとしても、きっと続いていく……。

そう、信じています。

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