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世界遺産~小笠原諸島 後半~

前回に続いて、小笠原諸島について紹介です。今回は、個々に生息する生物、そして、その生物や環境を存続させるために取り組まれていることについて、お知らせできたらと思います。

小笠原諸島で出会える生命たち

 小笠原諸島には、他では出会えない命に溢れています。独自の進化を遂げた結果、小笠原は、小さな島の中に世界でもここにしかいない固有の生きものが数多く生息・生育しています。在来種に占める固有種の割合は、植物(維管束植物)で36%、昆虫類で28%、陸産貝類では94%にもなるそうです。今回は、小笠原諸島にしかいない生物を中心に、紹介していきます。

アカガシラカラスバト

 アカガシラカラスバトは絶滅危惧種にも指定されているとても貴重な存在です。警戒心が薄く、餌を求めて地上にも降りてくるため、野ネコなどに襲撃され、その数が減っていたそうですが、ある取り組みによって、少しずつ数が回復しているそうです。小笠原諸島で出会える可能性が高い生物です。
 頭部に赤みを帯び、首から背中にかけて玉虫色に綺麗に輝くので、「アカポッポ」とよばれ、幼鳥は体が黒いので「クロポッポ」と呼ばれています。鳴き声は牛に似ているそうです!

ハハジマメグロ

とってもかわいいですよね。メジロより一回り体が大きく、黄色い体に目の周りに黒い三角模様があります。母島、妹島、向島にしか生息していない日本の固有種で、世界中でここにしかいない貴重な小鳥です。近縁は日本にいるメジロではなく、サイパンのオウゴンメジロのほうだと言われています。

オガサワラカワラヒワ

特徴は、この頑丈そうなくちばし。オガサワラカワラヒワは木の種も食べるため、長い年月をかけて嘴が大きく進化しました。無人島(向島、姉島、妹島、姪島、平島)と南硫黄島でしか繁殖しておらず、近年はネズミなどの外来種による被害で個体数が減少し絶滅の恐れがあります。

アホウドリ

絶海の孤島で繁殖し外敵がいないため、警戒心がとても薄く簡単に捕まえることができたため、残念な名前を付けられてしまったアホウドリですが、良質な羽毛を採取できることから明治期に乱獲され、戦後には一時絶滅宣言も出された貴重な海鳥です。アホウドリは巣立ちから5~7年後に繁殖をはじめ、一年に一回、一つの卵を産みます。一度つがいになると、生涯を添い遂げるそうです。

オガサワラオカモノアラガイ

 調べるなかで驚いたことですが、小笠原で生息しているカタツムリ(陸産貝類)のうち、94%が固有種でだそうで、小笠原諸島で出会うカタツムリほとんどが、世界中でここでしか生息していません。このオガサワラオカモノアラガイも独自の進化により、体を守る貝がどんどん小さくなっていきました。乾燥しているところでは生息できないので母島の雲霧帯(山の上の方)で、葉っぱの上や裏でひっそり暮らしているそうです。リュックをしょっているような見た目で、かわいいですね。

オガサワラゼミ

小笠原ではこのセミ1種類しかいません。そして、世界でここにしかいない蝉です。小笠原諸島の全域で、秋口によく鳴いているそうです。

オガサワラタマムシ

とってもきれいでつやつやしたタマムシ。とても目立つように感じますが、体がとてもかたいので、外来種で小笠原諸島の環境に大きな影響を与えているグリーンアノールの捕食から逃れられているそうです。

次回予告

小笠原諸島の固有種について調べていると、その種の多さにとてもおどろきました。こんなに独特の進化をとげた固有種がいる場所が、日本になるなんて。素晴らしいなと。
一方で、その動物について詳しく調べていると、外来種や人間の生活によって、絶滅の危機に瀕していたり、ここ数年確認されていないというような記述も数多く見られました。
父島と母島にしか人が住んでいないと聞いて、これなら守られやすいのかなと思っていましたが、けしてそんなわけではないのです。

それでも、小笠原諸島の人々や小笠原の生き物を守りたいと思う人々のとりくみによって、回復したり、維持できていることもあります。調べるうちに、小笠原諸島へ行きたい気持ち、保全されている現場を見てみたい気持ちが高まっています。屋久島の次は、小笠原諸島だなと、密かに決めています。

取り組みについて次で紹介しようと思いましたが、長くなりそうなので、次回に持ち越したいと思います。今週も気ままな文章にお付き合いいただいて、ありがとうございました。

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