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Earth ~ 魂の旅路 ~
銀河が纏う光のヴェールのなかで、幾つもの時間が生まれ乱舞する...広げた銀河の腕の中に抱かれて、地球はいま夜明けのロンドを踊る...光のヴェールが描く時間の波を泳ぐように地球はその軌道を歌う...
銀河を廻るその旅路のなかで地球はいま新たな季節の歌を聴いている...それは銀河の息吹きが奏でる蒼き風のようでもあり、いのちの炎のようでもある。未だ誰も聴いたことのない歌に、地球はいま歓喜とともに言い知れぬ畏れをも感じていた...
永き忍従の震えのなか幾千億の時を映しても、なお終わらぬ夢の帳を振るい落として、眩い銀河の息吹きをその身に受け、地球はその衣を脱いで新しい旅立ちを誓っていたのかもしれない...
夢の残渣を振り落とすように、地球は私たちを揺さぶるのだろうか...私達もその夢の衣を脱がなければならない時が来たのかもしれない...壊れた夢の残渣に生きるのか、季節の巡りとともに変容してゆくのか...銀河の風を呼吸する地球とともに、私たちもまたそれを求められているのかもしれない...
こわれものの如くに輝く奇跡の星は、私たちを乗せて遥かな螺旋軌道を廻ってゆく...躍る銀河の腕の中を旅する地球に安らう私たちは、まだ母の姿を知らないのかもしれない...大気に包んだ我が子を抱きながら母は何を想うのか...
太陽とともに幾重にも護られたヴェールを通して聴こえてくる銀河の歌を私たちは知らない...それは地球の息づかいのなかに感じてゆくことしかできないのだろう...
耳を澄まして石とともに在るとき、私のなかに去来するものは、今や語りではなく身震いの幻視のように揺らめいては消えてゆく...
銀河が歌う風の色に染められた地球のなかで、私たちはいま新たなる魂の旅路を促されているのかもしれない...