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ペルソナ ~ 時間の航海者 ~

ペルソナ


外界との響きあいのなかで心が象られてゆく...風に波立つ水面のように、創られた姿を生きて人は幾つもの自分を演じてゆくのだろうか...

不変の姿は何処にもなく、響きあうものの波間に宿る面影が私たちの姿なのかもしれない...象られた姿はやがて意識の海に沈み、沈殿した記憶は人知れず仮面として蘇ってくる...

ひとは作られた仮面を通して世界を呼吸し、演じられてゆく自分と引き換えに響きあう柔らかさを忘れてゆく... 失くした顔の代わりにやがて仮面は自ら意思を持つかの如く振る舞い、人の生気を食らいながら生きてゆく... どこかで感じる不確かさを隠すように、幾つもの顔を欲しがり、自分で在ることを確認してゆくのかもしれない...

意識の水底から湧き上がってくる潮騒を遠くに聴きながら、記憶のうねりに急き立てられ回り舞台は演じられてゆく...

捉えることのできない銀河の時間のなかに煌めく波の一滴を私たちは生きているのだろうか...ひとは昂まるうねりに押されるように波濤に舞った飛沫の一滴にすぎないのかもしれない...

海から生まれ… 海へと還る刹那を生きる寄る辺無さに慄き、藁をも掴む思いで縋り付いてしまう仮面に自分を見い出してしまうのかもしれない...時間の波濤に躍る幾千億の命の一滴が私であるなら、あなたも私も何の違いもない...仮面の下で忘れていた時間を呼吸し、ひとはまた演じられた舞台に生きるのだろう...

海の蒼と… 空の青と...二つの青の狭間に砕けた飛沫のなかに自分を見い出し、演じられた自分を共に生きて、幾つもの時間の波を渡り歩いてゆく...仮面はそんな私たちの舟なのかもしれない...

石が見せてくれたヴィジョンのなかに揺らめく幻影は、今も海の記憶を宿し語り続けている...深い潮騒に運ばれて私はふたたび意識の渚に目を覚ました...

ひとつの仮面とともに...


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