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海への帰還



人知れず大地のなかを泳ぐ

記憶の奔流...

大地に刻まれた記憶は今

眠りを解かれて身を翻し

大地のなかを往く...


砂の中で産まれた海亀が

海へと帰るように


それは記憶が言葉を求めて

海へと還る旅路でもあった

その目は遠くに響く

海の呼び声を

幽かに捉えていた


それはもうひとつの星の記憶への

誘いの歌...


この星に生まれた秘密を繙くための

呼び声でもあった


この大地に眠る星の種の守り人...

そして時は満ち...


星の種の芽吹きのために

記憶のことばを求めて

海へと還る...


埋めた記憶を蘇らせるために

記憶の守り人は

海へと還る...

星の種に海の歌を注ぐために...

大地に埋めた記憶の種は

海の歌によって蘇る


大地の夢は

海の歌によって花ひらく


大地に守られた記憶の種が

言葉を纏うには

海の歌が必要だった

いのちが生まれた故郷が

海であるように

言葉の故郷もまた

海だった...


細胞が海を抱くように

星の記憶も海の歌を聴いて

自らの碧い瞳を開いてゆく

海への帰還…

それは言葉を想い出す旅...


星の子はその言葉を呼吸して

目覚めてゆく


海の歌のなかで...


かつて人は星を旅して

此処に来た...


そして現世の身体と引き換えに

その記憶を脱いだ...



大地に隠された種のなかに

仕舞われた宝物...


星の記憶の歌...


それはいのちを軽やかに舞う天衣

時空をわたる天衣...


星の種を呼び寄せたのは

マザーアース…


彼女が次元をわたる天衣...

それが歌のほんとうの姿

この宇宙は歌でできている

そして星の旅人はこの星に来た

大地に眠る記憶の歌は

海の歌を注がれて

命の歌となる


人知れず繰りひろげられる

大地と海との協奏は

天の時と地の時を結んでゆく


「時の絃」に導かれて星の子は

この星との約束を想い出す...


そして星の子は知るだろう…

自分が誰なのかを...

何の為にここに来たのかを...

やがて星の子は視るだろう…

海と大地の約束を...

マザーアースの物語りを...


星の旅人の約束の歌を...





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