【大人】プロデューサーはエライ?|22年5月|広告関係の三橋雅仁さん
22年5月のゲスト、広告プロデューサーの三橋雅仁さんからの全体の話が終わって、いよいよ大人の時間。
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大人はいつもいきなり質問三昧になります。今日もいろんな質問が飛び交いました。では代表的なものをいくつかご紹介します。
Q&A プロデューサーってエライ人?
Q そんなに大勢の人が関わっていて、モメた時の調整係は胃が痛くなりそうですね。
A 実は、あれでもごく一部です。カメラマンも一人じゃないし、お弁当屋さん、お花屋さんなど、一つの広告を作るのには本当にいろんな方が関わっています。1つの仕事で紙袋に名刺がたまるくらい人と関わります。そういう人たちとしゃべるのが仕事、モメないためのプロデューサーです。明日の仕事もごくごく小規模ですが、お弁当は33食頼んでいます。
Q それだけの人と出会う仕事、顔と名前を覚えるコツは?
A 覚えるより、覚えてもらう方がいいんです。覚えてもらえると、声をかけてもらえるし「ああ、あの時の!」って思い出せる。その方が楽です。実は同じ人と名刺交換を2度3度することも普通にあります(笑)。
Q プロデューサーは一番エライ人?
A 一番エライ人ではなく、一番雑用をする人です。ディレクターが夢を描く人で、プロデューサーが予算や日程など実務を担って現実化していきます。
Q&A タレントさんにも会いますか?
Q 一番おもしろいのはどの段階ですか?
A 撮影の打ち合わせで、「カメラマンどうする?」「美術の人は…」とか話してる時。野球の監督みたいに仕上がりを考えながら試合に出る人をアサインできるんです。逆に辛いのは撮影中。トラブルが起きないかと気を使い続けるので。
Q タレントさんとかにも会いますよね? テレビとイメージが違う人っていますか?
A みなさんONとOFFがあるので、大体イメージと違います。タレントもトイレも行くし寝る普通の人間です。映らない時にはOFFになるから当然ですよね。逆に、子どもの頃からずっと見ていた大御所のタレントさんにお会いした時は、テレビのイメージ通りだったので「うわ、テレビの人だ!」と舞い上がりました(笑)。
Q 消費者としては、広告を鵜呑みにしない方がいいのかなとも思いますが?
A TV広告は、嘘がない事を確認してもらわないと世に出せない仕組みになっています。洩れがあるかもしれませんが、比較的信頼できると思いますよ。むしろ動画サイトやネット広告なんかは、無料アプリが有料だったり、根拠のない効能をうたったりと何でもアリなので、より注意が必要です。
などなど、いろいろ教えてもらいました。
病気のタレントさんが謝罪する謎
そう言えば昨今、コロナにかかったタレントさんが沈痛な面持ちで「多くのみなさまにご迷惑をおかけしてしまい…」などと謝っているシーンをよく見かけます。「誰に謝っているんだろう?」と常々、不思議に思っていました。
今日、お話を聞いて、少しだけその言葉の謎が解けました。タレント業は多くの人とつながって成り立つ仕事。実際に、コロナによって仕事のスケジュールが合わなくなることもあって、広告を制作する現場は大変だったみたいです。
他に、「テレビでは実際よりも太く映るって本当ですか?」「メイクさんはタレント専属? それとも現場に一人?」「自分が写真に美しく写るコツは?」など、素直な好奇心も満たしていただいて大満足。
多くのプロが関わった「作品」として
1本のCMにこれだけいろんな方のプロの技が注がれている事を知ると、改めて、テレビのCMはネット広告などとは比べ物にならないほど完成度が高いことを実感します。実際、子どもの頃に見たCMが印象に残っていたりもするし、世界観もちゃんと作り込まれていて、「作品」として鑑賞したいものもたくさんあります。
昨今、録画して見る時に早送りしてしまったりする事もあるので、作り手の苦労を聞くと、なんだか申し訳ない気分になってしまいます。また若者のテレビ離れも言われています。そんな時代の流れに沿って、テレビCMから町角のサイネージ広告などへのシフトも見られ、それで新製品を知ることも増えてきました。
見る人に何らかの行動を促すためには、心を動かすことが必要だという事、そしてそれを作るプロデューサーがいかに広範囲の気配りをしているかも、知ることが出来ました。
ネット広告について
自分の検索履歴が、スマホとPCの全ブラウザや動画サイトなどに全部連動していて、自分が検索したものだけに囲まれていく怖さを感じたことはありませんか。自分向けに選ばれた広告だけを見ていると、その世界がすべてのように思えてきます。
ネット環境では、自分が過去に興味を持ったものしかプッシュしてきません。その点、テレビCMや本屋さん、CDショップなどは、パーソナライズされていない分、自分の興味というフィルターにかける前の世の中の動きが見えます。いろんな人と実際に対話をすることも、自分の現在地を知るために役立つかもしれませんね。
広告とどのように付き合って行きたいか
CMが作られる過程や苦労をいろいろお話いただきましたが、広告に関する付き合い方は何か変わりそうでしょうか。
大人クラスで聞いてみると、「あまり興味を持ってなかったけど、世界を広げる糸口として関わっていくのも大切かもしれない」「危険性を見極めつつ、うまく活用していきたい」「単に商品広告として見ていたけど、たくさんの人の思いがこもった作品として見てみたい」「見る目をちゃんと持ってつきあいたい」などの意見が出ました。
貴重な現場のお話を聞かせていただき、ありがとうございました。