心は成長しても、整腸せず。

皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回も前2作の流れを受け継ぎ、高校編でもお届けしようかと思います。私の苦労をお楽しみいただければと思います。

まずは、入学式でのお話です。
私の入学した高校には、同じ中学から来た友人が1人しかおらず、その友人も別の過程(普通科と工業科みたいな)に進んだ為、入学式ではひとりぼっち同然でした。
胃腸の弱い私は例に漏れず、入学式の緊張もあってかお腹を壊してしまいました。
高校生になったとは言え、まだ入学式も終えていません。正直、まだトイレの個室に入るのは恥ずかしいものです。しかし、穴場のトイレなど知っているわけもなく、やむなく教室から1番近いトイレへと足を運びました。
幸い、トイレには誰もおらず安心しました。まぁ人がいたところでその人が誰なのか、同じクラスなのか分かるはずもありませんから、いてもいなくても同じではあります。落ち着いて用を足し、そろそろ出ようかというその時。


「あれ、誰か個室入ってんじゃん。」


背筋が凍りました。誰が来たのかは当然分かりませんが、恐らく2人組で入ってきた様子です。その2人はその後、私については何も言及することなく、そのまま出ていきました。
恐らく、小中学校でありがちな「トイレの個室に入っている人をバカにする」つもりで発言したのではないでしょう。入学式に出会った友人との会話を持たせる為に、目に入った光景をそのまま口に出しただけだったのかもしれません。
しかし私にとっては記憶に残る出来事でした。嫌な思い出というわけではありません。ただ、入学当日に肝の冷える思いをした、ということが印象的で覚えています。


もう一つは、高校2年の1学期の終業式の日だったでしょうか。
私は真面目な生徒だったので、遅刻やズル休みは一切しませんでした。もちろん終業式の日も休むつもりはなく、朝いつも通りの時間に起きて支度をしていました。準備も終え、さあ家を出ようという時です。
どうもお腹の調子が良くないのです。
いつも乗る電車の時間には今すぐに出ないと間に合わないのですが、一本後の電車でも遅刻にはなりません。
ここは一本遅らせることにしました。しかし、まぁこんなこともよくあります。なんたって私は胃腸が弱いので、朝急にお腹が痛くなることだって当然ありますし、なんなら満員電車の中で下痢に襲われ神に祈ることすらよくありますから、それに比べれば電車を一本遅らせる程度、取るに足りません。

問題はここからでした。
どうもその日の腹痛はいつもとは訳が違います。一度終えたと思ってトイレを出た途端、再び襲う腹痛。次第に焦りも感じます。
このままだと遅刻するやばい。
しかし一度トイレに入ってしまった以上、もう腹痛を我慢しながら駅へ向かうことなど到底出来ません。水門を開いて勢いよく流れ出した水を再び水門を閉じて止めることが難しいのと同じです。
迫る電車出発時刻。止まらない腹痛。頭を過ぎる「遅刻」。滲み出る冷や汗。


私は電車に乗り込みました。席が空いていたので座ります。意外と落ち着けるものです。それもそのはず。
遅刻確定の電車の中で出来ることなんてありません。ただ揺られるだけです。私はいつも読んでいた本を開きます。「罪と罰」。



ここで終わろうと思ったのですが、今、もう1つエピソードを思い出して、せっかくなので書き足そうと思います。これは中学の時の話なんですけど、まぁ良いでしょう。

その時は授業終了直前でした。3限か4限だったでしょう。私は腹痛に襲われます。それも結構強め。
ただ終了直前というのもあり、ここでトイレに行くくらいなら我慢しようと決め、お祈り体制に入りました。
しかしどうもいつもの腹痛よりも強いようで、我慢すればするほどお腹が音を立てます。こんな経験は無かったのでどう対処すればいいか分からず、またこれが屁だと思われていないかもかなり心配で、椅子を引いて音を立てたり咳払いをして誤魔化そうとしたりしました。
すると、隣の席の女の子がこそっと

「ふふっ、お腹すいたの?」

と声をかけてきました。私は死ぬほどお腹痛いので「いや、ちょっとね、、」とか何とか言いつつ誤魔化しましたが、脳内には「トイレニイキタイ」しか無いので上手く喋れていたか分かりません。汗もかいていたので不自然に思われなかったでしょうか。
その後無事トイレに行き、冷静になると、屁こいたと思われてないだけマシでしたが、お腹すいてお腹なったと思われるのも普通に恥ずかしいな、と思いました。
あの子は今、元気にしているでしょうか。



どうだったでしょうか。2部構成にするつもりが結果、3部構成になってしまいましたね。
とは言え、やはり前回のエピソードには到底及ばない気がします。高校生にもなると「トイレに行くことの恥ずかしさ」というものが無くなった分、腹痛に苦労したエピソードというのも少なくなった気はします。授業中に手を上げてトイレに行くことも割と普通にできるようになりました。
しかし、忘れている腹痛エピソードも意外とあるものですね。強烈なものこそ忘れてはいませんが、ジャブ程度の話なら揺すればジャラジャラ出てくるかもしれません。

と、いったところで今回は終わりにしたいと思います。
では次回の予備校生編でお会いしましょう。


最後までご精読いただきありがとうございました。

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