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【イギリス留学体験記】ロンドンの風景と花粉症。
ロンドンを歩いていると、風景に感動が止まらない。
まるで街中がディズニーランドだ。
ヨーロッパを初めて訪れた私にとって、何百年の歴史を刻む建築物に囲まれるという経験は人生初なのである。加えてロンドンでは、風景を害する忌まわしき電柱たちが地下に埋まっている。たったこれだけの違いが、驚くほどの風景の美しさを生んでいると思うと、私たちの住む東京ももっと美しくあっていいはずだという気がしてくる。
風景というただ一点から見ても、第二次大戦の敗北による日本文化の「断絶」を感じざるを得ない。
木造建築という特徴が災いしたのもあって、かつての東京を美しく飾っていた日本の伝統建築は空襲によって焼け野原の灰となった。終戦後、経済的効率ばかり優先して景観を意識せずに無計画に建築されたビル群の集積が、現在の東京である。
生まれてこのかた、灰色の建物ばかり見て育った私にとって、「歴史」と「風景」がここまで結びついた都市は新鮮な衝撃だった。
ただのファストフード店さえ伝統的建築物の中に格納されているこの都市で過ごしていると、「ご先祖様」という言葉が本当に実感をもって胸に迫ってくる。
歴史が教科書の中に眠っているのではなく、普段の生活の中に溶け込んでいるのである。そしてこの歴史のリアルな実在感こそ、現在を生きる自分を見つめる冷静な視点と、一人の国民としての自信を生む。
このような自然な「愛国心」を実感しないまま育った私は、イギリスに来て初めてその感覚をつかんだ。
ロンドンの風景について続けると、青々とした芝生の茂る公園が随所に見られる。墓地も草が生い茂る公園と一体化したものが多く、日本とはやや景観を異にしている。
イギリスではこの芝生のせいで、花粉症に似た「HAY FEVER」なる症状が出る人が多いらしい。日本で毎年花粉症に苦しまされ、春の悪夢を経験してきた私にとって、この情報は戦慄を与えるものだったが、時期を聞いて安心した。HAY FEVERが激しくなるのは、5月から6月にかけてらしい。
2月から3月にかけてロンドンを訪れた私は、花粉を逃れるために疎開してきたようなものではないか。
事実、2月末現在、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった症状は一切経験していない。
花粉症に苦しむ方は、海外旅行に出かけるとしたら春を選ばれるのがいいかもしれない。一石二鳥である。