
2025年1月2週 鉄鋼産業CN(脱炭素)ニュース
今週もニュースは少ないが、EUでも高炉水素吹込みの研究のニュースが注目される。
▮<国内・製品>日本製鉄/チタン線材および純ニッケル薄板で環境ラベルプログラム「SuMPO EPD」認証取得
*(2025/1/10 日本製鉄)日本製鉄がチタン線材および純ニッケル薄板で環境ラベルプログラム「SuMPO EPD」認証を取得
日本製鉄は、チタン線材および純ニッケル薄板で、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)の環境ラベルプログラム「SuMPO EPD」認証を取得しました。
この認証は、製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷を定量的に評価するもので、資源採取から製造、物流、使用、廃棄・リサイクルまでの環境情報を開示します。
チタン製品は、航空宇宙、船舶、化学、電力、自動車、建築、土木、医療など多岐にわたる分野で需要が拡大しており、特に建築分野では意匠性チタン「TranTixxii®」がブランド化されています。
また、純ニッケル薄板は耐食性や高温強度に優れ、リチウムイオン二次電池などで採用されています。
▮<海外・提携>Fortescueが宝武鋼鉄と脱炭素で提携
*(2025/1/8 Reuters)オーストラリアのフォーテスキューがChina Baowuと提携し、鉄鋼業界の脱炭素化に取り組む
Australia's Fortescue partners with China Baowu to tackle steel industry decarbonisation
オーストラリアのフォーテスキューFortescueは、中国宝武鋼鉄集団の完全子会社と提携し、世界の鉄鋼業界の脱炭素化に取り組むことを発表しました。フォーテスキューは、世界第4位の鉄鉱石供給業者であり、宝武資源と覚書を締結しました。
この提携により、グリーン鉄技術の開発が加速し、中国内外での需要に応えることが期待されています。
フォーテスキューのクリスマス・クリーク事業では、年間1,500トン以上のグリーン鉄を生産する予定で、2025年に初生産が見込まれています。
同社は2030年までにすべての鉄鉱石製品をグリーン化することを目指しています。このプラントでは、還元炉で鉄鉱石をスポンジ鉄に変え、電気溶解炉で高純度のグリーン鉄を生産します。
オーストラリアは、グリーン鉄の生産を迅速に進めなければ、鉄鉱石部門の収益の半分を失う可能性があると報告されています
→ 過去記事 Fortescue クリスマス・クリーク事業
豪Fortescueがグリーンメタルプロジェクト(鉄鉱石採掘・輸送に非化石燃料、還元鉄生産も) 2024_8_3w
▮<海外・技術>Primetals参加の高炉水素吹込み(SIP)の共同研究が研究助成金受給
*(2025/1/13 Primetals)高炉の脱炭素化を目指す水素シーケンスインパルスプロジェクト(SIP)が180万ユーロの研究助成金受給
€1.8 Million Research Grant for Sequence Impulse Hydrogen Project to Decarbonize Blast Furnaces
Primetalsの開発技術「シーケンス インパルス プロセス(SIP)」を使い高炉シャフト部へ水素パルスを直接注入
プライメタルズ・テクノロジーズは、製鉄産業の脱炭素化を目指す「シーケンス インパルス プロセス(SIP)」技術を推進するプロジェクトに参画しています。
このプロジェクトは、EUのResearch Fund for Coal and Steel(RFCS)から180万ユーロの研究助成金を受け、総額350万ユーロの資金で進行中です
SIP技術は、高炉に水素を直接注入することでCO2排出量を最大20%削減することを目指しています。
プロジェクトは2028年に終了予定で、欧州の主要企業がコンソーシアムを組み、産業規模での実証を目指します。
主要技術はティッセンクルップAT.PRO tec GmbH (thyssenkrupp AT.PRO tec GmbH)が設計・提供し、高炉への統合設計とフルスケールの経済性評価はプライメタルズ テクノロジーズが行います。分析とモデリングは、プロジェクトコーディネーターでもあるVDEhドイツ鉄鋼協会鉄鋼研究所(VDEh-Betriebsforschungsinstitut)とK1-MET GmbHの研究所が担当します。ティッセンクルップスチールヨーロッパは、世界有数の鉄鋼・技術グループであるフェストアルピーネ(voestalpine)とコンソーシアムを構成し、オーストリア、リンツ製鉄所で稼働中の高炉で実施される、炉内でのガスの流れのシミュレーションを実証するヘリウム注入トライアルプロセスのホストとして、産業規模の実験用試作設備製作と原料装入装置を提供する。



→通常のSIPは高炉羽口での技術だが、今回の水素吹き込みへの適用は図ではシャフト部になっている。
▮<海外・報告>EUの鉄鋼産業は2035年までに最大45%の脱炭素化が可能
*(2025/1/6 GMKCentner)EUの産業界は2035年までに鉄鋼の最大45%を脱炭素化できる - 研究
EU industry could decarbonize up to 45% of steel by 2035 – study
https://gmk.center/en/news/eu-industry-could-decarbonize-up-to-45-of-steel-by-2035-study/
GMKセンターの調査によると、2035年までにEUの鉄鋼業界は現在の鉄鋼生産の45%を脱炭素化できる可能性があります。
2035年には、EUは2,700万トンの低炭素鋼と2,960万トンのグリーン鋼を生産する見込みです。
これに対し、2025年にはグリーン鋼が340万トン生産される予定で、低炭素鋼は生産されません。
現在、EUで主に検討されている脱炭素技術は、DRI(直接還元鉄)を使用した電気炉での鉄鋼生産です。
製鉄所は高炉と純酸素転炉をDRI施設と電気アーク炉に置き換える計画を立てています。
2030年までに、これらの再構築プロジェクトの総容量は2,580万トンのDRI/HBI(ホットブリケット鉄)に達する見込みです。
新しい低炭素プロジェクトでは、水素ベースのDRIプラントと最新のエネルギーインフラを備えた電気炉の建設が計画されています。
ウクライナは、DRI生産のための原材料を供給することで、欧州の製鉄業のグリーン転換を支援することができます.
GMK Centerはウクライナを拠点とするシンクタンクおよびコンサルティング会社