2024年12月3週 鉄鋼産業CN(脱炭素)ニュース
今週はクリスマス休暇あるいは年末年始前に国内外とも多くのニュースがあった。
本年最後の記事となります。1年間お世話になりました。
▮<国内・開発>日本製鉄/Super COURESE50でCO2削減43%達成(スケジュール前倒しも、最終目標は50%削減)
*(2024/12/20 日本製鉄)水素による高炉でのCO2削減技術を確立 ~世界初 試験炉でCO2削減43%を実現、開発目標を前倒し達成~
→Super COURSE50の最終目標はCO2削減50%で、2025年度が最終年である。
実機適用は、COURSE50(非加熱水素の高炉吹込)を2026年に君津第2高炉で実機実証。2030年までに実機化開始。
Super COURSE50(加熱水素の高炉吹込)は2026年より中規模試験高炉での建設と試験に入り、2030年代に実機実証、2040年までに実機化技術を確立、それ以降実装し2050年のカーボンニュートラル実現を計画しています。
▮<国内・政策>JFEスチールが経済産業省のGXリーグ「GX率先実行宣言」を実施
*(2024/12/20 JFEスチール)「GX率先実行宣言」について
*(2024/12 GXリーグ)GX率先実行宣言企業一覧
→ 「ゴールド」(※取組の具体度をすべて公表)はJFEスチールを含め6社
「シルバー」(①、②を公表)はなし。
「ブロンズ」(①を公表)は、日本製鉄、エア・ウオーターなど6社
(12/26現在)
※取組の具体度
①:GX製品・サービスの採用方針を掲げている
②:Scope3(またはScope1,2)削減目標を設定している
③:②の達成に向けGX製品・サービスの採用に係る定量目標を掲げている
宣言内容は、社名をクリック
JFEスチール(12/20付)
日本製鉄(12/18付)
エア・ウオーター(12/17付)
→過去記事
経済産業省;GXリーグの議論を通じ、企業の「GX率先実行宣言」制度を創設、受付開始(2024_12_1w)
▮<国内・政策>JFEスチールの倉敷電気炉導入が経済産業省のGX経済移行債の活用によるプロセス転換支援事業に採択
*(2024/12/20 JFEスチール)カーボンニュートラルに向けた製鉄プロセス転換支援事業に採択
→ 倉敷の電炉導入計画<JFE資料>(300トン電気炉、年間200万トン生産、高炉品種の高級鋼生産、中東のグリーン還元鉄50%使用)
「2027年倉敷プロセス転換のコンセプト」・「倉敷⾼効率・大型電気炉投資概要」・「倉敷⾼効率・大型電気炉革新性」
*経済産業省のGX移行債活用によるプロセス転換事業 とは
事業Ⅰ(鉄鋼)と事業Ⅱ(化学、紙パルプ、セメント等)
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/gx_budget/gx_HtA.html
*排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業 事務局サイト(博報堂とMAYA STAFFINGが受託)
*鉄鋼の採択結果
https://hta-process.jp/assets/pdf/news_20241220.pdf
▮<国内・規格>日本鉄鋼連盟(鉄連)がグリーン鋼材のマスバランス方式を見直し検討
*(2024/12/18 鉄鋼新聞)グリーン鋼材のガイドライン/鉄鋼連盟、見直し検討/CFPに対応/CO2削減価値を定量表示
→見直し詳細はわからない。
現行基準は、下記参照
*鉄連サイト
マスバランス方式を適用したグリーンスチール
→環境団体のコメント例
*(2024/12/6 自然エネルギー財団)グリーンスチールの市場形成に真に貢献する基本方針改定を求める
▮<国内・政策>経済産業省の「グリーン鉄研究会」不動産・建設業界からの要望
*(2024/12/17 経済産業省)第4回 GX推進のためのグリーン鉄研究会
一般社団法人不動産協会、一般社団法人日本建設業連合会が要望提出
今回で関連業界への聴取は終了、取りまとめへ
▮<国内・政策>経済産業省/次期エネルギー基本計画(第7次)素案公表/鉄鋼業の脱炭素化と革新技術への投資推進を明記
*(2024/12/18 鉄鋼新聞)次期エネルギー基本計画素案/鉄鋼業の脱炭素化/革新技術への投資推進を明記/電源構成、複数シナリオ想定
*(2024/12/17 資源エネルギー庁)総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第67回会合)
総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第67回会合)
エネルギー基本計画(原案)(PDF形式:945KB)PDFファイル
Ⅵ.カーボンニュートラル実現に向けたイノベーション > 各論 > 多排出産業 >鉄鋼
▮<海外・提携>日鉄物産/運営しているタイの工業団地でHONDAと水素活用の調査事業実施
*(2024/12/20 日鉄物産)本田技研工業㈱とタイにおける地産地消の水素利活用モデル確立に向けた調査事業を実施
▮<海外・設備>HBIS(河鋼)の世界初の自動車向け水素グリーンスラブ連続鋳造ラインが稼働
*(2024/12/18 HBIS)HBISの世界初の水素冶金グリーン自動車用鋼連続鋳造生産ラインが稼働しました
▮<海外・開発>Rio Tinto,BHP,BlueScopeの3社はオーストラリア西部にESF(製鉄用電気製錬炉)パイロットプラントの設置すると試験場所を決定
*(2024/12/17 Steel Technology)BlueScope、BHP、リオティントがオーストラリア最大の製鉄電気製錬炉パイロットプラント研究にWAを選択BlueScope, BHP and Rio Tinto select WA for Australia’s largest ironmaking electric smelting furnace pilot plant study
BlueScopeのリリース
*(2024/12/16 BlueScope)BlueScope、BHP、リオティントがオーストラリア最大の製鉄ESFパイロットプラントにWAを選定
BlueScope, BHP and Rio Tinto select WA for Australia’s largest ironmaking ESF pilot plant
内容は上記とほぼ同じ(3社とも)*タイトルは微妙に異なるが
→ NeoSmeltとは
NeoSmelt Information Sheet
BHPのリリース
*(2024/12/17 BHP)BlueScope、BHP、Rio Tintoがオーストラリア最大の製鉄用電気製錬炉にWAを選定
BlueScope, BHP and Rio Tinto select WA for Australia’s largest ironmaking electric smelting furnace
Rio Tintoのリリース
*(2024/12/17 Rio Tinto)BlueScope、BHP、リオティントがオーストラリア最大の製鉄電気製錬炉パイロットプラント研究にWAを選択
BlueScope, BHP and Rio Tinto select WA for Australia’s largest ironmaking electric smelting furnace pilot plant study
→過去記事
BHP、Rio TintoとBlueScopeがグリーン製鉄で提携 (2024_2_2W)
▮<海外・製品>Tata Steel UKは、英国の建設機械メーカーJCBに低炭素鋼材を供給と発表
*(2024/12/16 Tata Steel UK)タタ・スチールとJCBがグリーンスチール契約に調印
Tata Steel and JCB sign green steel deal
▮<海外・調達>ノルウェーのグリーン製鉄ベンチャーのBlastr Green Steelは生石灰メーカーのLhoistと低炭素生石灰の調達の覚書
*(2024/12/7 Blastr Green Steel)Blastr Green SteelとLhoistは、ヨーロッパにおける超低炭素バリューチェーンの開発に向けてパートナーシップを推進
Blastr Green Steel and Lhoist advance partnership for the development of an ultra-low carbon value chain in Europe
→過去記事
フィンランドBlastr Green Steel 水素製鉄所の副資材でLhoistと提携 (2024_7_1w)
→パートナーシップをMOU(覚書)にまで進めたということか?
Blastr Green Steelがフィンランドに建設するグリーン製鉄所の技術パートナーとしてプライメタルズ、水素直接還元鉄プラントはミドレックスを選定 (2024_7_2w)
→LhoistのLEVEL|GREEN とは
*LEVEL|GREEN® - SUSTAINABLE. IMPACT. AHEAD
原料、輸送の選択、グリーン電力・バイオマス燃料、CCUSの開発等により低炭素化
▮<海外・製品>Electraと原材料トレーダーInterfer Edelstahl Groupは、特殊鋼のクリーンアイアン生産で協力するためのMOUに署名
*(2024/12/17 Electra)ElectraとInterferがMOUに署名し、クリーンな鉄とグリーン鋼の生産で協力
Electra and Interfer Sign MOU to Collaborate on Clean Iron and Green Steel Production
→Electra
さまざまな鉄鉱石を低温湿式製錬および電気化学プロセスを使用して、純度の高い鉄をつくる。(開発プロセス)
▮<海外・設備>SSABがLureaの高炉→電炉転換計画の環境許可取得
*(2024/12/19 SSAB)SSABがLurea(ルレオ)の製鉄所改革の環境許可を取得
SSAB receives environmental permit to transform steel plant in Luleå
→過去記事
SSAB/ルレオの高炉閉鎖 電炉化 (2024_4_1w)
▮<海外・認証>SHSグループ(DillingerおよびSaar Stahlと共同)のネットゼロ目標がSBTiにより確認
*(2024/12/19 SHS) Sustainability by conviction:SBTiが確認したSHSグループネットゼロ目標
Sustainability by conviction: SHS Group Net Zero targets confirmed by SBTi
*Saar StahlもDillingerも同一内容をリリース
(Saar Stahl)Sustainability by conviction: SHS Group Net Zero targets confirmed by SBTi
(Dillinger)Sustainability by conviction: SHS Group Net Zero targets confirmed by SBTi
▮<海外・報告>成長するインドネシアの鉄鋼業に、低炭素化への取り組みが必要
*(2024/12/18 CREA)インドネシアの鉄鋼業の潜在能力は、低炭素技術にかかっています
Indonesia iron and steel’s full potential hinges on low-carbon technologies
*報告書全文は(PDF)
Indonesia iron and steel’s full potential hinges on low-carbon technologies
→CREAは Centre for Research on Energy and Clean Air
エネルギーのトレンド、原因、健康への影響、および大気汚染の解決策を明らかにすることに焦点を当てた独立した研究機関