今週はそれほど大きなトピックはなかった。株主総会前だからか?
■<国内・製品>JFEのグリーン鋼材を全量使用のドライバルク船進水(世界初) *(2024/6/6 JFEスチール)グリーン鋼材「JGreeX®」を全量使用したドライバルク船の1船目が進水
当社のグリーン鋼材「JGreeX®」を使用して建造されたドライバルク船について、このたび(2024年6月5日)、檜垣造船株式会社(本社:愛媛県今治市、代表取締役社長:檜垣宏彰、以下「檜垣造船」)の本社工場にて命名・進水式が行われ、「BRIGHT QUEEN」と命名されました。今回建造に使用された鋼材は全て「JGreeX®」であり、グリーン鋼材のみを使用した船舶は世界初となります。 当船は、海運会社であるNYKバルク・プロジェクト株式会社(本社:東京都千代田区:日本郵船グループ)、が、檜垣造船に建造を発注し、「JGreeX®」の採用を決定していたドライバルク船2隻のうちの1隻目となります。 さらに、NBPが新たに建造発注するドライバルク船2隻においても鋼材の全てに「JGreeX®」が採用される予定となっており、ドライバルク船への「JGreeX®」の採用は合計5社、9隻に拡大します。「JGreeX®」の納入数量は、当初予定より12千トン増え、合計で36千トン程度となる見通しです。
JFEスチール *(2024/6/6 檜垣造船)JFEスチール製グリーン鋼材「JGreeX®」を全量使用した新造船の1番船が進水
JFEスチール製グリーン鋼材「JGreeX®」を全量使用した当社建造船(13.5型二層甲板貨物船)につきまして、JFEスチール株式会社、及び、NYKバルク・プロジェクト株式会社より広報発表がございましたので、ご案内させていただきます。
檜垣造船 *(2024/6/6 NYKバルク・プロジェクト)JFEスチール製グリーン鋼材を使用した近海新造船の命名・進水式を実施 ~ グリーン鋼材のみを使用した船舶は日本郵船グループ初 ~
NYKバルク・プロジェクト株式会社は、檜垣造船株式会社で建造中の近海新造船2隻のうち、1番船の命名進水式を6月5日に檜垣造船株式会社 本社工場で執り行いました。新造船2隻はJFEスチール株式会社が製造するグリーン鋼材「JGreeX」を使用しています。本船は「BRIGHT QUEEN (ブライト・クイーン)」と命名されました。今年の秋には日本とアジア近海を結ぶ近海航路に投入し、日本からは主に鋼材、東南アジアからは日本向けのバイオマス、合板等の輸送を担う予定です。 本船の建造に使用された鋼材は、全て「JGreeX」であり、グリーン鋼材のみを使用した船舶は日本郵船グループで初となります。当社は、今後発注するドライバルク船2隻の建造においても「JGreeX」の採用を予定しております。 なお、本船は一般財団法人日本海事協会(Class NK)の「環境ガイドライン」による船体構造などのグリーン鋼材の使用を示す記号「a-EA(GRS)」が世界で初めて船級符号に付記される予定です。
NYKバルク・プロジェクト ■<国内・経営>日本製鉄のUSスチール買収と脱炭素 *(2024/6/3 日経クロステック)脱炭素化と無縁ではない日本製鉄のUSスチール買収、米国以外の全規制当局から承認
この買収は、2024年11月の米大統領選挙前の政治的な問題としても注目されていますが、日本製鉄の脱炭素化戦略とも密接に関連しています。日本製鉄は高炉からの脱却と電炉による高級鋼の製造を目指しており、USスチールが持つ電炉メーカーBig River Steelの技術を活用することで、電炉シフトを加速させる計画です。さらに、USスチールは天然ガスベースの直接還元鉄の製造も行っており、これを利用することでCO2排出量を抑制することが可能です。日本製鉄は、米国で製造された直接還元鉄を日本に輸入し、大型電炉の原料として使用することを検討しているとのことです。
日経クロステック → 海外子会社の技術というと、上記のUSスチールに限らず日本製鉄は国内にない種々の技術の知見を有す 1.スウェーデンOvaco(孫会社)はグリーン水素、グリーン電力を使用 2.タイGsteel、GJSは電炉による熱延鋼板製造 3.アメリカAM/NS CALVARTも薄板用電炉が稼働 4.インドAM/NS Indiaも現在の鉄源はMIDREX(ガス直接還元)とCOREX(石炭直接還元)
■<国際・解説>アジアの鉄鋼業(世界の鉄鋼産業の中心)の脱炭素化を推進するには? 政府の公共部門での低炭素鋼の優先使用が有効 *(2024/6/4 The Climate Group)アジアにおける鉄鋼の脱炭素化の実施を加速させるにはどうすればよいか? Singing from the same song sheet: How can we speed up the implementation of steel decarbonisation in Asia?
アジアの鉄鋼産業: 世界の鉄鋼の約70%がアジアで生産されており、地域全体が低炭素経済への移行において重要な役割を果たしています。 政策シグナル: 韓国の忠清南道(キム・テフム知事から公式支援)がSteelZeroイニシアチブを公式に支持し、ビジネスと政府が鉄鋼産業の移行を進めるための確実性と支援を提供しています。 標準の引き上げ: INGは、銀行が鉄鋼産業のネットゼロ排出への移行を支援するための共通の測定と開示フレームワークであるSustainable STEEL Principlesを共同で設立しました。 *INGグループは、オランダ発祥の総合金融機関 投資ケースの作成: 銀行は、減少化に取り組まないことがビジネスリスクであることを鉄鋼メーカーに示す必要があります。INGは、新しい対策無し高炉や既存のものの拡張に対する新たな専用融資を提供しなくなりました。 これらのポイントは、アジアがグリーンエコノミーへの移行において大きな機会を掴むために、鉄鋼のバリューチェーンが一致協力して行動を起こす必要があることを示しています。 各国政府は、ネットゼロの鉄鋼基準と定義に沿う必要があります。世界の鉄鋼の25%は公共部門で使用されており、例えばインドでは約27%、日本では約13%、韓国では11%となっています。あらゆるレベルの政府は、基準を調整し、独自の調達規則や仕様に採用することで、模範を示すことができます。 バリューチェーンのあらゆるポイントで、行動を集中させる必要があります。
The Climate Group ■<海外・技術開発>リオティント;バイオアイアン研究施設 *(2024/6/4 Rio Tinto)リオティント、西オーストラリア州で低炭素製鉄試験のためのBioIron研究開発施設 Rio Tinto to develop BioIron™ R&D facility in Western Australia to test low-carbon steelmaking
Rio Tinto will invest US$143 million (A$215 million) to develop a research and development facility in Western Australia to further assess the effectiveness of its low-carbon ironmaking process, BioIronTM, to support decarbonising the global steel value chain. BioIron™ R&D施設の開発により、西オーストラリアで低炭素鉄製造プロセスを試験しています。このプロセスは、バイオマスとマイクロ波エネルギーを使用し、最大95%の二酸化炭素の排出削減が可能です。
Rio Tinto ■<海外・製品>SSABがK-TEC(土木機械)とグリーン鋼材で協業 *(2024/6/5 SSAB)SSABとK-Tecが持続可能な土木機械向けの非化石燃料鋼材でパートナーシップ SSAB and K-Tec start partnership in fossil-free steel for sustainable earthmoving equipment
https://www.ssab.com/en/news/2024/06/ssab-and-ktec-start-partnership-in-fossilfree-steel-for-sustainable-earthmoving-equipment
SSAB has entered an agreement with K-Tec, Canada’s first original equipment manufacturer of heavy-duty earth scrapers to pilot SSAB Fossil-free[™] steel in its earthmoving product line. SSABの化石燃料を使わない鉄鋼: SSABは、化石燃料を使わない鋼材「SSAB Fossil-free[™] steel」を開発し、これを土木製品ラインで試験的に採用する契約をカナダのK-Tec社と締結しました。 HYBRITテクノロジー: 独自のHYBRIT技術を使用して、従来の原料炭を化石燃料を使わない電力とグリーン水素に置き換え、二酸化炭素排出量が実質的にゼロの鋼材を生産します。 持続可能なパートナーシップ: K-Tec社とのパートナーシップは、炭素排出量の削減と持続可能な未来への取り組みを示しています。 製品とサービス: SSABはHardox摩耗鋼とStrenx性能鋼を使用した強力で軽量な土木機械を設計、製造、提供しており、持続可能性を向上させることを目指しています。
SSAB ■<海外・製品>Gestamp(自動車部品メーカー)がSalzgitterと協業 *(2024/6/5 Salzgitter)GestampはSalzgitter FlachstahlのSALCOS(低CO2鋼材)に注目 Gestamp targets low-CO2 steel from Salzgitter Flachstahl
Spanish automotive supplier chooses low CO2 SALCOS® steel The automotive manufacturer Gestamp Automoción S.A. and Salzgitter Flachstahl GmbH have signed a memorandum of understanding (MOU). In the future, Gestamp will rely on low-CO2 steel produced using SALCOS® process and investigate the establishment of circularity routes, for example, combining steel deliveries to Gestamp´s European plants (such as Germany) with the return of scrap from these sites. SALCOS®プログラム: サルツギッター・グループは、2026年までに鉄鋼生産を水素ベースのプロセスに段階的に転換することを目指しています。2033年までにほぼ完全にCO2フリーの生産を実現することを目標としています。 低CO2鋼: サルツギッター・フラッハシュタール社は、ペイナー工場の電気アーク炉を使用して高品質の鋼スクラップからスラブを生産することにより、顧客に低CO2鋼を提供しています。 Gestampとの提携: 自動車メーカーのGestamp Automoción S.A.は、低CO2のSALCOS®鋼を使用することを決定し、サルツギッターの工場からのスクラップを回収して低CO2鋼の生産に利用する循環ルートの確立を検討しています。
Salzgitter ■<海外・製品>アルセロールミッタルがパリ五輪に向け、エッフェル塔にXCarb(低炭素排出鋼)を使ったオリンピック・スペクタキュラーを納入 *(2024/6/7 ArcelorMittal)オリンピック・スペクタキュラー:低炭素排出スチールを使用 今朝、パリジャンが目を覚ますと、最も有名なランドマークであるエッフェル塔が新しい機能で飾られていました。
The Spectacular is an incredible feat of engineering in terms of both its manufacture and erection. It started off its life as end-of-life scrap steel that were melted in an electric arc furnace using renewable electricity at our site in Châteauneuf before being pre-rolled at our Le Creusot site and then rolled further in Dunkerque, the heartbeat of our French operations and one of Europe’s largest steelmaking sites. The XCarb® recycled and renewably produced low-carbon emissions steel was then delivered to a workshop near Épinal in the Vosges region, where it was cut, bent and welded and then painted according to the Olympic colour specifications. オリンピック・スペクタキュラー: エッフェル塔に新しい装飾が施され、オリンピックのシンボルである5つのリングが組み合わさった巨大なバージョンが設置されました。これはパリのランドマークとして誇らしげに映し出されています。 低炭素排出スチールの使用: スペクタキュラーの製造には、再生可能電力を使用した電気炉で溶かされた使用済みスクラップ鋼が使用されており、低炭素排出鋼としての特徴を持っています。 製造プロセス: スクラップ鋼はシャトーヌフの工場で溶かされ、ルクルーゾ工場でプレロールされ、ダンケルクで圧延された後、エピナル近郊の工房で最終的な加工が行われました。 プロジェクトの重要性: このプロジェクトはアルセロール・ミッタルにとって大きな誇りであり、特にフランスのチームがこのエキサイティングなプロジェクトを実現するために懸命に働いたことが強調されています。
ArcelorMittal *(2024/6/3 ArcelorMittal)アルセロール・ミッタル、エッフェル塔のオリンピックリングを「スペクタキュラー」をテスト 「スペクタキュラー」は、一次生産方法で製造されたスチールと比較して二酸化炭素排出量を削減したXCarb®リサイクルおよび再生可能スチールArcelorMittal tests Olympic rings ‘spectacular’ for Eiffel Tower
At a private industrial location in eastern France, ArcelorMittal has successfully tested the Olympic rings ‘Spectacular’ destined to be displayed on the Eiffel Tower during the Olympic and Paralympic Games Paris 2024. オリンピックリング「スペクタキュラー」: アルセロールミタル社がフランス東部の工業地帯で、2024年パリオリンピック・パラリンピック期間中にエッフェル塔に展示されるオリンピックリング「スペクタキュラー」のテストに成功しました。 低炭素鋼の使用: XCarb®リサイクルおよび再生可能エネルギーで生産された鋼を使用し、従来の鋼に比べてカーボンフットプリントを削減しています。製造プロセス: 鉄スクラップを溶かし、一次圧延してから、ダンケルクのアルセロールミタル工場で圧延し、ヴォージュ地方の工場で鋼板を切断、曲げ、溶接し、必要な色に塗装しました。
ArcelorMittal ■<海外・認証>ASTがイタリア初のResponsibleSteel認証を取得 *(2024/6/3 Responsible Steel)Arvedi Acciai Speciali Terniがイタリアで初のResponsibleSteel認証を取得 Arvedi Acciai Speciali Terni earns first ResponsibleSteel certification in Italy
イタリアのアルヴェディ・アッチャイ・スペシャリ・テルニ(AST)がResponsibleSteel国際生産基準に基づいてコアサイト認証を取得した。 サステナビリティへの取り組み: テルニのサイトは、持続可能な実践をビジネスプロセスに統合し、ステークホルダーや環境に長期的な価値を提供することを目指しています。 リサイクル重視の生産: ASTはリサイクルスクラップの使用増加、耐火材の再利用、スラグ回収プロジェクトの開始など、廃棄物の削減に注力しています。 排出量削減の目標: 2028年までにスコープ1および2の排出量を60%削減し、2050年までにネットゼロを目指す野心的な中間目標を設定しています。 労働者の福祉: サイトは強固なガバナンス手順と健康・安全ポリシーにより、労働者の福祉への明確なコミットメントを示しています。 また、ASTはヨーロッパで主要なステンレス鋼鋼板製品の生産者であり、特殊鋼の大型鍛造品も製造しています。3000人以上の労働者と請負業者を雇用し、地域社会において重要な役割を果たしています。
Responsible Steel ■<海外・政策>欧州鉄鋼連盟、グリーン水素促進政策をEU加盟各国政府に提言 *(2024/6/5 JETRO)欧州鉄鋼連盟、グリーン水素活用促進に向け、EU加盟国に提言
欧州鉄鋼連盟(EUROFER)は5月24日、産業部門における非バイオ由来の再生可能燃料(RFNBO)比率目標の達成に向け、EU加盟国に対する政策提言書を発表した。EUは2023年、再生可能エネルギー(再エネ)指令を改正し、産業部門で利用する水素消費量におけるグリーン水素を主体とするRFNBOの最低比率目標を設定。2030年までに42%、2035年までに60%とした。各加盟国は今後、同指令を国内法化し、グリーン水素活用拡大のための施策を策定する。 提言内容は、 産業競争力維持を考慮し、グリーン水素の現在の需給量や今後の見通しに基づく現実的なRFNBO比率目標を設定する。 国レベルで目標を設定するにとどめ、個別の企業への一定の水素消費の義務化など、新たな企業負担を課さない。 鉄鋼部門など、グリーン水素によるCO2排出削減効果が高く、脱炭素化に向けた手段が限られる部門を重点的に支援する。 EUの欧州水素銀行や域内ガス市場規則など、他の水素関連政策・措置と連携した総合的な水素政策を立案する。エネルギー集約型産業向けの長期間の電力や水素購入契約の推進策、再エネ施設に係る許認可の迅速化などを通じ、産業部門でのグリーン水素の活用を促進する。
JETRO →元の欧州鉄鋼連盟の提言は *(2024/5/24 EUROFER)産業界におけるRFNBO目標の実施 各国政府に対するEUROFERの政策提言 Implementation of RFNBOs targets in industry EUROFER policy recommendations to national governments
CO2削減ポテンシャル: 水素の使用は、16kgCO2/kgH2から23kgCO2/kgH2の範囲で、トンあたりの最大のCO2削減ポテンシャルを持っています。 ヨーロッパの鉄鋼部門: 欧州の鉄鋼部門は、総需要(産業、電力、交通)の26%を占め、市場の拡大を牽引する最大の水素産業ユーザーになると予想されています。 生産とインフラの加速: 水素の現在の生産レベルと対応するインフラは、鉄鋼部門が取り組みを成功させるために大幅に加速する必要があります。RFNBOs消費目標: RFNBOs(非生物起源の再生可能な液体および気体燃料)の産業目標は、国際競争力を考慮に入れた現実的かつ包括的な供給と需要の評価に基づくべきです。また、RFNBOsの消費目標を達成する責任は、個々の企業に対する拘束力のないメンバー国レベルに置かれるべきです。 これらのポイントは、水素を利用した鉄鋼産業の脱炭素化に関するヨーロッパでの取り組みと政策に焦点を当てています。
EUROFER ■<海外・解説>オーストラリアがクリーンエネルギー大国へ *(2024/6/5 自然エネルギー財団)オーストラリアがクリーンエネルギー大国へ、石炭・LNG輸出国から移行
オーストラリアがクリーンエネルギー大国へ、石炭・LNG輸出国から移行 この中で鉄鋼に関しては、以下の可能性を述べている グリーンスチールの製造: オーストラリアは将来、国内の鉄鉱石とグリーン水素を使用してグリーンスチールを製造し、日本へ輸出する可能性があります。これにより、コストを抑えつつ利益率を高めることができるとされています。 日本への輸出: 現在、オーストラリアから日本へは鉄鉱石と原料炭が輸出されていますが、グリーンスチールの製造が始まれば、その輸出構造が変わる可能性があります。 価格と利用: オーストラリアから日本へグリーン水素や派生物を輸入する場合、価格は高くなる可能性がありますが、日本国内で供給が限られている場合には、これらの製品が有効に利用されることが期待されます。特に一次鋼材の生産において代替手段が少ない場合には、輸入が重要になります。 これらの情報は、オーストラリアがクリーンエネルギー大国への移行を目指している中で、鉄鋼産業がどのように変化するかを示しています。また、日本とオーストラリアの経済的な関係にも影響を与える可能性があることを示唆しています。
自然エネルギー財団 → 自然エネルギー財団は、ソフトバンクグループ代表の孫 正義氏が会長を務める公益財団法人。