1月2週 鉄鋼産業CN(脱炭素)ニュース
■中国・首鋼のバイオマス水素の高炉吹込
*(2024/1/12 テックスレポート)中国・首鋼、第1高炉でバイオマス水素使用の産業試験=同国の豊富なバイオマスエネルギー活用へ
→この記事現在のところ出典確かめられず
■日本金属・板橋再エネ電力導入(2025/4~)
*(2024/1/10 日刊産業新聞)日本金属・板橋再エネ電力導入 CO2削減へ
*(2024/1/10 日本金属)板橋工場でのオフサイトコーポレートPPA実施について
■日本製鉄のUSスチール買収に関して国際環境NPOのコメント
*(2024/1/9 オルタナ)日本製鉄がUSスチール買収、鉄鋼業界の脱炭素化を足止めか
→この記事は、SteelWatchという国際環境NPO(2023創立、本部オランダ)の2023/12/20付プレスリリース<日本製鉄による米国強化は鉄鋼業界の気候行動を遅らせるリスク>
および2024/1/12付論説<USスチール買収は日本製鉄の脱炭素化への遅れを決定的にするリスク>
と同じ内容である。
1.まずこの内容から
1)「日本製鉄は、カーボンプライシングへの反対、また再生可能エネルギーの拡大に否定的な立場をとっているため、日本、インド、韓国企業の中で気候行動のワースト・パフォーマーと認定されている。」
→日本の産業界全般にあてはまるが、ワースト・パフォーマーとまで云えるか?
2)「同社はカーボンニュートラルビジョンを掲げ脱炭素化を高らかに宣伝しているが、その行動の実態は、事業の脱炭素化のための現実的な計画というよりも、単なる宣伝用であることを示している。
日本製鉄は「サステナビリティレポート2023」において2013年比の排出量削減について報告しているものの、これは需要減少による炉の閉鎖が理由である。 排出原単位(鉄鋼1トン当たりのCO2排出量)はほぼ変わっていない。」
→削減はしていないが、排出原単位の水準は低い。国際環境イニシアティブの1つの <Climate Action 100+> での世界の鉄鋼7社の排出原単位では、少ない順にSSAB(1.46CO2-t/Steel-t), BlueScope(1.52), 日本製鉄(1.67), ArcelorMittal(1.68) , ThyssenKrupp(1.85), POSCO(1.87), CSC(1.91)となっている。特に高い訳ではない。
3)「さらに同社は2040年までの排出削減行動をほとんど検討しておらず、その結果、地球温暖化の2.4度上昇という悲惨な数値に沿った計画となっている。さらに世界がネット・ゼロになるとされる2050年になっても、同社はSuper COURSE50で高炉を稼働させる計画だ。この技術でも、高炉の排出量をせいぜい50%削減する程度にしかならない。」
→前述の<Climate Action 100+>では、日本製鉄のディスクロージャー・フレームワークの評価は、期限での計画について
Net-zero GHG Emissions By 2050 (Or Sooner) Ambition;YES, MEETS ALL CRITERIA
Long-term (2036-2050) GHG Reduction Target(s);YES, MEETS ALL CRITERIA
Medium-term (2027-2035) GHG Reduction Target(s);PARTIAL, MEETS SOME CRITERIA
Short-term (Up To 2026) GHG Reduction Target(s);NO, DOES NOT MEET ANY CRITERIA
となっており、ネットゼロおよび2050年までの計画については、合格としている。
なお、日本製鉄の2050年でのカーボンニュートラル計画には、CCUS(CO2の分離・回収、利活用、貯留)も含まれている。
4)「日本製鉄は現在、石炭を中心に据えるという大きなミスを犯しているようだ。これは昨年11月に発表されたカナダの製鉄用原料炭事業への投資で明らかになった。」
→石炭事業者は現在金融機関からの資金調達が困難となっており、当面石炭の必要な高炉企業にとっては、資金援助が必要となってくる。致し方ないのではないか。
5)「USスチールは責任ある鉄の原料調達と生産に関する世界的枠組「レスポンシブル・スチール」のメンバーであることから、今後は会員になり、スクラップベースの生産技術を学び、認証された鉄鋼へと急速に移行することができるだろう。」
→ ResponsibleSteelには日本、中国の鉄鋼会社は参加していない。米国も大手鉄鋼会社からはUSスチール1社のみ参加で、Nucor(全米1位)やCleveland-Cliffs(全米2位)は参加していない。また、日本製鉄はResponsibleSteelやworldsteel(世界鉄鋼協会)などがメンバーの Net-Zero Steel Pathway Methodology Project のメンバーでもあり、世界のGHG排出量ゼロに向けての議論に参加している。
2.SteelWatchの活動
SteelWatchのWEBサイトをみると、高炉を標的にしているとみられる。(電力における石炭火力を標的とするように)
最近では高炉の巻替え計画を持つ、Cleveland Cliffs, POSCO, Tata, BlueScope を槍玉にあげている。
この点からすると、次期高炉巻き替え時に大型電炉を選択した日鉄(八幡)、JFE(水島)の日本メーカーは大いに賞賛されてもいいのだが。
SteelWatchが今後どのような活動や行動をするかは分からないが、日本製鉄はじめ高炉を持つ鉄鋼メーカーはこのようなNPOとの議論についても頭に入れておく必要があるだろう。
■JFEグループの廃プラリサイクル(扇島)
*(2024/1/9 日刊産業新聞)JFEグループ 廃プラリサイクル施設 首都圏最大
*(2024/1/9 JFE-steel)廃プラスチック利用拡大に向けたプラスチック資源循環体制の決定について
*(2024/1/9 JFE-eng)「株式会社Jサーキュラーシステム」を設立~川崎臨海部に首都圏最大級のプラスチックリサイクル施設を建設~
*(2024/1/11 環境ビジネスオンライン)JFEとJR東日本、川崎臨海部にプラリサイクル施設を建設 首都圏最大級