ステップ3. 現状分析とQC7つ道具

ステップ3は現状分析です。

このステップは8つのステップの中で、問題解決のためには最重要なステップだと思います。
なぜなら、問題発見プロセスでは、あるべき姿と現状のGAPを問題と言い、そのGAPを埋める活動が問題解決活動ですので、現状が明確にならないとGAP(=問題)が明確にならないのです。
ちなみに、あるべき姿とは理想とか目標値とかのことです。

現状分析の基本は「測定」になります。数値で現状を捉えるというわけです。
測定するための道具がQC7つ道具ですが、7つの道具のうち主に6つの道具をこのステップで使用します。

その6つが以下ですが、簡単な用途だけ書いておきます。
①ヒストグラム:サンプルデータの分布を調べる
②管理図:サンプルデータのバラつきに着目する
③パレート図:複数の現象や要因を度数の多い順に並べて構成比率を明らかにする
④散布図:2つの項目の相関関係を調べる
⑤チェックシート:度数測定(漢字の正の字で数えたりする)
⑥層別:異なる視点で見た時の傾向を調べる
ちなみに、①③④はExcelであっという間に作れます(⑥も普通は折れ線グラフ等なので可能)。

道具の詳細は割愛して、ここからは現状分析の重要性についてです。
「今時そんな道具使わないですよ!」という声をよく耳にしますが、重要なのは道具がどうこうではなくて、「現状をデータで正しく認識できているか」です。

このような観点でデータを取得し、さらに深堀りが必要だと判断したら詳細のデータを測定します。
スポーツでは当たり前ですが、例えばこんな感じです。

・目標=次の県大会で100m自由形で優勝する
・現状分析1回目=去年の県大会の優勝タイムは57.2秒、自分のベストは60.4秒なのでその差は3.2秒なので、このままでは優勝は困難。
・現状分析2回目=前半50mでの差分が3.8秒、後半50mの差分が-0.6秒なので、前半に明らかに差があって後半は逆に勝っている
・現状分析3回目=前半50mのうち飛び込んで浮き上がるまでの差分が1.4秒、最初の25mまでですでに2.8秒遅れ、そのあと25mでさらに1.0秒遅れ

これらをパレート図等でグラフ化すると、飛び込み~浮き上がりまでの差分が最大なのでまずはここから改善が必要、25m~50mまでの差分が0.4秒なので次の改善ポイントだなとなる。
ただ単に100m自由形を何回も繰り返し闇雲に練習しても改善できません。この例のようにできるだけ細分化してデータを計測することで、改善ポイントを具体的にしていきます。

繰り返しになりますが、「現状をデータで正しく認識できているか」が重要ポイントです。

一昨年ぐらい前に、勤労統計改ざん問題が国会で議論されておりました。意図的に勤労者へ支払われている給与が高額になるようにされていたというもの。
真実はどうなのか私にはわかりませんが、仮に意図的にデータが改ざんされていたとしたら、問題が明確にならないので何も改善できません

改ざんとか現実逃避とか、そんなことやっている場合ではありません。
世間では問題が満ち溢れております。
それらを解決するためには、現状分析で正確にデータを取得することが必須ですので、測定と考察を繰り返し実施し問題解決して、プールしてある問題リストから問題をどんどんストライクアウトしましょう。

(次回は目標設定です)

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