運6割,情報3割,実力1割
大学生の頃,定期試験のシーズンに学生の間で囁かれた言葉がある.
運6割,情報3割,実力1割
という言葉だ.見たとおり「試験の成績はくじ運が6割,過去問や出題傾向などの事前情報は3割,そして問題を得能力が1割を握っている」という意味だ.
随分と不公平に感じられるかもしれない.僕が大学生だったのは20年以上前なので,今の学生たちは違う言葉を交わしているかもしれない.
しかし,社会人になるとやはり感じることではある.なにかのコンテストとかでも,上位者になるとほぼ実力は拮抗しているので,運6割,情報3割,実力1割程度の配分で入賞するかしないかが決まってくる.お笑いが好きな方はM-1グランプリを思い出していただくと良いかもしれない.
だから僕は,学生時代にはいい勉強をさせてもらったと感じている.
しかし,この「運6割,情報3割,実力1割」ではなく「実力10割」に振り切ろうとしている試験がある.いや試験とは本来そういうものかもしれないのだが,それでも「実力9割」ぐらいに設定しておかないと,その運用コストが意味不明なぐらい高くなる.その典型例が旧センター試験であり,現在の大学入学共通テストだと,僕は思っている.
ブログ記事「センター試験は壮大なファンタジーなんだ」で書いたとおり,センター試験や今年から始まる大学入学共通テストは極力「運」という要素を排除する.その徹底ぶりはもはや日本の「暗黒面」と呼べる域に達している.例えばこんな感じだ.
例えば,試験会場が雪に埋もれ,雪かきのために試験開始が10分繰り下がったとしよう.予定通り到着していた受験生にとっては,試験開始が10分繰り下がり,試験終了も10分繰り下がるだけだ.
ここに5分遅刻した受験生が来たとしよう.この受験生は,遅刻の理由を問われる.もし遅刻理由が「寝過ごした」「道に迷った」など本人の責めに帰する理由の場合,この受験生の解答時間は5分削られる.試験開始は10分繰り下がっているので,試験開始には間に合うのだが,仮想的に遅刻したものとして扱う.
一方で,交通機関が遅れたため15分遅刻した場合,試験開始繰り下げの10分を超えているため,救済措置が取られる.これは本人の責めに帰さない理由の場合すべてに適用されるので,例えば電車内で痴漢にあって警察に事情を説明してきたとかでも構わない.より極端な例を挙げると,大雪で1時間遅刻しそうで,かつ試験開始が2時間繰り下がっていたことを知らずに途中で引き返したとしても,再受験の資格が与えられる.
2021年の共通テストはさらに新型コロナウイルス感染症対応が加わる.発表されている資料から具体的に見てみよう.
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?