【ネタバレあり】『ライザのアトリエ3』感想記
こんばんは。今回もゲームのプレイレポートです。
はじめに
今回はアトリエシリーズの新作、『ライザのアトリエ3~終わりの錬金術士と秘密の鍵~』(以後ライザ3)となります。
秘密シリーズ3部作、そしてライザたちの物語を締めくくる物語でした。
(最終、と書かないのはルルアとかソフィー2みたいな例が出始めた故)
なおSwitch版でのプレイです。性能的には結構厳しいだろうとわかっていたけどGSコンボ特典のための妥協点。
システム面はライザ2の順当進化、ストーリーはライザ1から連なる物語に決着をきっちりつけてくれるものでした。
※ライザ1=『ライザのアトリエ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』
ライザ2=『ライザのアトリエ2~失われた伝承と秘密の妖精~』
プレイ期間:3/23~4/3(1周目エンディング視聴まで)
プレイ時間:71時間
※難易度NORMAL(ラスボスだけHARD)
…めっさ時間かかった。これでトロコン相当のやり込み度合ではない。
もし未プレイでここに辿り着いた方が居ればぜひプレイしてから。
なお、プレイするので貼ればライザ1は履修しておくことをあらゆる面でお勧めします。プレイしろとはいいませんが
また、以下からの細かい感想ではネタバレを含みます。(あのキャラは出る出ないとか)全部をぶっちゃけてはいませんが物語のあらすじはわかってしまうのでご注意を…
順当進化したシステム
文字通り広い世界の探索
公式の喧伝通り、フィールド探索はすべて地続き。
アトリエからカーク群島への道のりも当然己の足で走り抜けます。
その道中ではライザ1で探索したクーケン島周辺もすべて一繋がりになっていて、懐かしさの中に新鮮さが感じられました。
また、最序盤を除き移動が制限されるエリアも基本無し。
かなり広いマップですがワールドクエストやノーマルクエストも含めればほとんどのエリアに一度は訪れるため無駄スペースもほぼなし。
(全く行く必要がないのはピオニール聖塔くらい。行くとちょっとしたイベントはあった)
またイベントのコンパクトさも良し。イベント前後でひとこと会話が挿入されるので、移動時の作業感が薄れる上にキャラ描写も増えてナイスでした
それでいて探索中にロードが進みシームレスな探索ができます。
Switch版だとシームレスに対して懐疑的でしたが、ロード時のプチフリこそ稀にあれどエラー落ちゼロな上に、ほとんどの場面でライザ2よりロード速度が改善してるという驚き。(コエテクロゴ表示まで90秒→35秒!)
フレーバー的に気になったのは地方間のファストトラベルも最序盤から解禁されていた点。ストーリー的には折り返し少ししてから違和感がなくなりますが、最初にクレリア地方へ向かった時点でしれっとクーケン島まで戻ってこれてしまうのです。
戻れないと素材の都合で詰みとかイベント停滞もありうるのでもどかしい。
演出面では、通常モーションの組み合わせのイベントシーンが基本ですが、今作では専用のモーションでひとつながりのムービーと言ってよいクオリティのシーンも登場します。これでアトリエの演出面の評価が久々に上がりました。
あとこれはSwitch版だけかもですが、イベントシーンのカメラ切り替えでBGMが途切れることはそこそこありました。
覚悟して買ってますが、PS5版あたりならどうだったのだろう…?
調合&戦闘はブラッシュアップ
秘密シリーズおなじみのリンケージ調合はそのまま続投。
レシピ発想や効果「影響拡大」「作成個数追加」が強いことも据え置き。
鍵システムを使って属性値や投入回数のサポートが出来る以外は慣れたもので楽しめました。
ただ、サプライポートから手に入るレシピの存在は把握できておらず、中盤まで防具のバリエーションがなくやきもきしました。
(ついでにクリアまで解決できなかったノーマルクエストもあった)
戦闘はライザ2のシステムをシンプルにパワーアップさせたもの。
後衛が2人に、鍵システムも加わって忙しなくなってますが基本はそのまま。キャラの個性付けもそれなりにあって掛け合いボイスも多彩。どんな組み合わせにするかも楽しみでした。
とはいえ、順当進化ということは各人のスキルをあらかじめ把握して、アドリブで状況を組み立てて…という点も変わらず。
その場でじっくり戦略を練る暇がない点が据え置きでやっぱり好みもそのまま出そうです。
賑やかな人々、壮大な音楽
パーティキャラはきっちり活躍
今作はパーティメンバー11人、うちライザ3からの登場は3人と非常に豪華。
ライザ1で冒険を約束した7人に加え、タオにとってもキーパーソンのパティ、そして各地方で出会う3人とバランスも良い。
続きものの宿命ではありますが、「いつものメンバー」で過去を懐かしむ描写が多く、新規は序盤とっつきにくいかも。
一方で主人公サイドが成長している点は物語に勢いを与えます。新しいメンバーをライザたちが支え、ぐんぐんと課題を見つけ解決するのは頼もしささえあります。
サルドニカ来訪時のクラウディアとボオスの立ち回りはその象徴で、商人としての才覚と経験があってこそ。これは若者だけではできない流れ。
ライザたちは成長の果て、未来を見据えることが多いですが、新たな仲間たちはこれまでどおり現在ある壁にぶつかっていきます。
既存メンバーは3作での積み重ねがあり、メインクエスト+ワールドクエストで新メンバーも3度の掘り下げが描かれるため、扱いに不平等さは感じませんし人柄もばっちりつかめます。
メインクエストで果たす役割もそれぞれにあり、存在感もばっちり。いい組み立てだったと思います。
各地方のサブキャラたち
ライザ一行が各地を転々とするシナリオの都合上、サブキャラはちょっと控えめ。(だからこそパーティメンバーは多いといえる)
とはいえクーケン島が主軸のためライザ1の主要キャラは概ね再登場してくれます。
サルドニカ、フォウレのサブキャラも重要なポジションです。きっちり役割を持ちいい人たちばかり。
ちなみに、残念ながらライザ2でパーティキャラだった残りの二人は残念ながらストーリーで関わりがありません。とはいえ一部キャラのクエストイベントでその後の動向が語られるなど忘れられたりはしていません。
多様なサブクエストによる深み
本筋のメインクエストに加え、従来の友好系のキャラクタークエスト、依頼関連のノーマルクエストに、各地方の追加エピソードが描かれるワールドクエストと寄り道要素も多彩。
クーケン島や異界のワールドクエストではライザ1で成したことの先と、遺された謎に迫るエピソードが描かれるので物語全体に広がりを与えました。
ただ、クエストの出現タイミングが結構謎で、時系列でみて適切な消化タイミングが読めなかったのがちょっと気になった。
特にサルドニカのワールドクエストは出現タイミングと内容の両面から「いつが適切だったのだろう…?」と答えを得られていません。
ボリュームも壮大さも過去最高な音楽
秘密シリーズの特徴ともいえる生音をふんだんに、オーケストラ編成も交えた音楽面はさらに豪華に。新曲はもちろんですが、旧作の舞台には旧作の音楽がそのまま使われていたのも嬉しい。
単に曲数だけ見ても過去2作より多い上に、フィールドBGMは場所に応じた2~3段階の展開が1曲に内包されているので曲数以上にボリュームあり。
例えば、『魔石と硝子はこわれもの』(サルドニカ昼BGM)は…
様々な楽器(=人々)がメロディを奏で楽器編成が豊かな中心部
自然から作り出される木管楽器が主体となる魔石派地帯
精緻に加工して生み出される鍵盤楽器の高音響くガラス派地帯
といった具合で特徴をきっちり持たされています。曲がいいのにバリエーションも豊富なのは非常に聴きごたえがあります。
再登場キャラのテーマは原曲のアレンジですが、やはりそれぞれの成長と変化を感じられるのでよいですね。
作中何度も聞くことになる『煌く空の下で』(カーク群島昼BGM)は壮大さを秘めつつ海の旅を想起しやすいワルツ調なのが良き。
『ひと夏の足跡』(ラスダンフィールド曲)は美しさとどこか感じる空しさ、夏の終わりへ向けた壮大さが惜しげもなく表現されていました。
戦闘曲では『やっつけちゃうぞ』(後期通常戦闘BGM)が前奏に引き付けられぐっと耳に残っています。
【ネタバレ】『約束』を果たす物語
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錬金術の核心に迫る重厚な物語
ライザ3単体で見たストーリーもきっちりと練られていますね。これまでの要素やキーワードを繋ぎ合わせつつ、錬金術が成しえたこととその功罪を改めて描いていました。
錬金術のある意味の弱さも魔石・硝子細工と比して表現していたりと、活かし方をライザが改めて見つめなおせる内容になっていたと思います。
プレイ時はカラさん参入まで43時間と長いように思いましたが、実際にはそのタイミングでようやく折り返しであり、改めて各地を回るようになるなどどの地域も通過点ではない点が良かったです。
1、2の倍近いボリュームですが、間延びした展開もなく万象の大典に挑み続けるため、サブクエストやってる間、いい意味でメインクエストに後ろ手を引かれる感覚がありました。
キロやフィーの再登場も勿体つけずスッとしていたのも好印象。
錬金術師が作中ほぼ居ない理由、自然門の起源とフィルフサの生態や人間を襲う経緯もちゃんと意味が与えられ、クリント王国の真相も概ね明らかに。
行きつく先はやっぱ人間が悪いんじゃないか!とはなりましたが、それでもただ滅びたわけではない、としたのはよい落としどころだと思います。
異界とよばれたお隣も、今度こそ平穏の兆しが見えるように。闘いの源泉を断つ手段が得られた以上、時間がかかってもかつての世界を取り戻せそうと確信できました。
過去作の描写もひとまとまりに
過去2作の要素や描写の気になった点もなるだけ拾われています。
星の精の都で語られ、頻出ワードだった「魔力の流れ」を「竜脈」として再定義、シリーズでたびたび目立っていた竜とも絡めて本筋にまとめ上げられていました。
惜しかった点は、今回でもフィーがライザたちとともに暮らせないままというところ。その点はフィーの種族と本来の役目をもっているか改めて設定され、異界に留まるべき理由も加えられていましたが…寂しくはありました。
(ストーリー上でその研究をするどころではなかったのもあるとは思う)
関連することとして、ラスボス戦の描写は唐突過ぎて状況が呑み込めない人は多かったのではないでしょうか。実際に全滅するほど強かった場合にあれなら納得だったんですが強制は…ね。(ラスボスだけHARDにしたけど余裕ムードだった)
割と何でもできる感(特にライザ1)のあったライザの錬金術も、「世界を渡る術だけは得られない」結果となったり、クーケン島を救った当時の技術も不完全だったり、何でもではないことを改めて描写していました。
その上で、栄誉の扉の扱い方というところが巧く、筋が通っており感嘆していました。ちなみに私もギリギリでライザと同じ発想に至りました。
アイデア自体はやっぱとんでもないなライザ。
後始末の終わり、夏の終わり
ライザ3のストーリーの本筋は、「突如出現したカーク群島をどうにかし、ライザの頭に響く声の謎を解く」というものです。
当然ながらそれらはライザらしくボコボコにのして解決するのですが、その上でライザ1から連なるすべてに決着をつける物語でもありました。
かつてクーケン島の危機はライザ1で一旦の解決をみましたが、根本解決には3つの課題があり、エンディングで言及されています。
それが島の水質問題、動力問題、そして安定化問題。
メインクエストに加えクーケン島のワールドクエストも完遂することでこれらが完全解決、ライザはついにクーケン島を真の意味で危機から救います。
ライザだけでなくともに冒険した仲間たちもまた大きな一歩を踏み出す。
ライザ1から登場するキャラのクエスト(ストーリー)では過去を省みることはほぼなく、未来を考えるという側面が強調されています。縁談とかの話ぽんぽん出るじゃん
特にこれまで謎の多かったアンペルはメインストーリーにその人間関係やバックボーンが関わり、キャラクエストで出自さえも明らかになります。
ここまで繋げるか…!とワクワクと感慨深さがありました。
夏を共に過ごした仲間たちがどう収まりどの道を選んでいくのか、ぼかさずバッチリ描いてくれて大満足です。
ラスボス殴り込み直前のクエストから、本当に夏が、ライザたちの物語が終わってしまうと強く実感し、眩しさと寂しさが混ざりながら歩を進めたことは忘れないでしょう。夏の終わりを見届けられて、本当に良かった。
↑↑↑ここまでネタバレ↑↑↑
秘密シリーズを正しく締めくくった作品
ライザ1は、どこにでもある葛藤を抱えた少年少女たちが始めた、小さな島に収まる秘密の冒険でした。その小さくも共感できる点も多い物語が印象深かったです。
ただシステム面では気になるところは多かった印象。アイテム周りがやや不便でほとんど作り込まなかった記憶があります。
ライザ2は、共通する要素は冒険のみで、別の地方で別の目的が主軸になっていたため、主人公を続投してやるようなストーリーではなかったという印象を残しました。得たものをそのまま失い悲哀で綴じられた物語は進歩が残らない点があったためです。
一方システム面は2でかなり洗練され、遊びやすさとやりごたえはかなり増していたというのは確かです。
ライザ3はこの点を踏まえ、システムは洗練させつつ今までの物語をきっちりつなげ、「ライザたちのクーケン島を巡る物語」に決着をつけました。
特に、2作で描かれた描写や要素は丁寧に拾ったうえで、万象の大典を巡る一連の流れでライザ自身が身に着けた知識と錬金術のスキルで最後の仕上げをやり切り物語が締めくくられた点が見事だったと思います。
ゲームスピード、快適さ、サウンドに演出面、ストーリーなど、全部ひっくるめて3作の頂点に座する作品だとはっきり言えます。
続きものゆえにこの作品からプレイするのはお勧めしづらいですが、ライザ1からぜひやってほしい。ストーリーだけでも追っかけてほしい。
ライザ1のエンディングを改めて見返してからこの作品のラストシーンをぜひ見てほしい。
きっと、最後に待ち受ける余韻と眩しさが何十倍も膨れ上がること間違いなしです。
相も変わらず言いたいことを何とかまとめて形にしてみました。いかがだったでしょうか。
もっと文章を丁寧に練った方が伝わるものになる気はするのですが、さらに1週間以上かかりそうな予感しかしないので今回はこのあたりで。
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