日本の夜明け~大手企業神話が崩れる日~
私は現在誰もが知る大手企業…のグループ会社に所属している。
フルネームの知名度は壊滅的に低い会社だが、同じフロアで働いている人はほぼ全員が大手企業の新卒入社組だ。
平均年齢…というかフロア内に40歳以下の人は1人もいないという構成。
元々は大手企業の○○部だったのが競合他社とタッグを組み社名を変えてWinwinの状態で存続している。
顧客は大部分がグループ会社と親会社。
つまり、要するに設立の目的は節税対策ということになるのだろう。
合併することとなった競合他社はそれこそ誰も聞いたことのない社名なので大手の名前を一部借りられることで一気に知名度も上がる。
ま、そんな会社なのだが。
派遣の顔合わせの時営業は言った。
「大手は穏やかな人ばかりなので仕事しやすいですよ」
確かに一切怒られない。
私は職種上怒られるような重大なミスをする立場にはないのだが、細かいミスでも上司は穏やかに原因を聞き、穏やかに一緒に対応策を練る。
物事の全てが白でもなく黒でもないグレー。
事務員は言われた事だけを高い精度で仕上げてくれればいい。
その程度の期待しかされていないポジション。
しかしフロア内には私の5倍以上の給料をもらいながら私の半分以下の働きしかしていない人が存在する。
所謂出世レースに敗北した人たち。
この環境でモチベーションを上げて取り組めというのは無理な話だ。
無理な話なのだが私は元より改革が大好き、効率化が大好きな人間なので評価されることはなくても一定のチャレンジを続けて来た。
私と同時期に入った同じ立場の人は言われた事だけをやり、余った時間は好きなように過ごすというタイプの人だった。
それでも評価は二人とも同じ。
上司が言われたことだけを精度を保ち完遂してくれればいいという考え方なので言われたことが出来る人は全て同一ラインで評価されるのだ。
そんなこんなで数年が過ぎコロナ騒動が始まった。
会社としてもある程度の変革を余儀なくされる。
そう、粗利が減ってきているのだ。
そして少し前に新社長が就任した。
ここからは何もかもが新しいことの連続。
もちろん業務自体は今までと一緒だし、何なら直属の上司も変わっていないので評価も今までと同じ。
しかし新社長は私と同じ改革大好き人間だったのだ。
おそらくこのままいけばそう遠くない未来、我が社の年功序列は崩れるだろう。
もしかしたら終身雇用さえも。
なんだかんだで今いる人たちは皆年功序列と終身雇用だけでこの場にいるようなものだ。
それが一新される時が遂にやってきたのだ。
結果が出るのは10年後かもしれないし20年後かもしれない。
その時には間違いなく私はもう会社員人生が終わっているだろう。
大手企業の年功序列と終身雇用が崩れた時。
どのくらいの人が大手企業に就職したいと思うのだろう。
少なくとも私たちの時代は学生の時ほんの10年ほど努力すればその後40年は安泰な時代だった。
しかし10年の努力で40年が安泰でなくなれば、古びた設備しか持たない大手企業に何の魅力が残るのか。
聡明な若者なら自分があやかれないであろう過去の功績が詰まった大手企業よりこれからの成長が見込めて活躍の場が年齢に関係なく等しく用意されている企業に流れることだろう。
数年前娘が大学生になった時同い年の同僚の子は大手企業に高卒入社した。
そこそこの大学に行かせるよりも大手企業に高卒でもぐりこんだ方が勝算が高いという親の経験談に基づいて。
当時私もその話を聞いて「そういう手もあったか!」と思ったものだ。
尤も娘はすでに大学生になってしまっていたので軌道修正は出来なかったのだが。
あの時の判断が吉と出るか凶と出るか。
今の我社を見る限り、ある程度の学歴をひっさげて必要とされているところを渡り歩く未来予想図の方が現実的ではないかと考える今日この頃だ。
そして、私は2年後に有期契約満期を迎えるのだが、慣例なら間違いなく正社員昇格だったセオリーもその頃には崩れ去っていることだろう。
あーぁ、仕事人生に於いては敗北組になってしまうのだろうなぁ。