Stationery Diary Page11/鉛筆
節分も終わりいよいよ新しい一年が本格的に始動した感がありますがみなさまいかがお過ごしでしょうか。
受験シーズンということで2月は受験生やそのご家族のみなさんにとってまだまだ気の抜けない時期でもありますよね。寒さもより一層厳しくなってまいりましたがどうぞご自愛くださいね。
さて、今回のテーマは「鉛筆」です。受験生のみなさんをはじめ、これから進学、入学を控えてらっしゃる方はそろそろ学用品の準備を始められるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、小学校に入学されるお子さんにとってはマストアイテムですよね。
今回は、その鉛筆について紐解いていきたいと思います。
まず、鉛筆の歴史ですが、1560年代、イギリスのボローデール鉱山で非常に質のよい黒鉛が発見されたことに端を発します。その黒くなめらかな特性を生かして筆記用具として使われるようになりました。
初期の頃の鉛筆は、黒煙を棒状や板状に削り、それを板にはめ込むというものでした。また、黒鉛に糸を巻き付けただけという大変、簡素なものもありました。
その後、黒鉛の粉を硫黄などでかためた芯を作るという技法が考案され、1795年に画家でもあり化学者でもあったフランス人のニコラス・ジャック・コンテが、硫黄の代わりに粘土に黒鉛をまぜて焼きかためた芯を開発。現在も、このコンテさんの製造方法を基本として鉛筆の芯が作られています。
日本では、本格的に鉛筆が使われるようになったのは明治維新後のことです。ドイツからの輸入品ということもあり、ごく一部の人だけが使っていたそうです。
さて、静岡県の久能山東照宮博物館には、日本に現存する最古の鉛筆があります。その鉛筆の持ち主は、今、大河ドラマでも話題のあの徳川家康。家康の遺品のひとつとして約6cmの鉛筆が1本展示されています。
なんと、芯はメキシコ産で、柄の部分は赤樫の木でできています。スペインまたは、当時のスペインの属領だったメキシコなどから家康に献上されたものではないかと言われていますが、記録がないそうなので真偽のほどは定かではありません。「新しいもの好きだった」と言われている家康なのできっと目をキラキラさせながら鉛筆を使っていたかもしれませんね。
さて、そんな歴史を持つ鉛筆ですが、コンテさんが芯を開発した際に、配合の比率を変えることで芯の硬さが変わるということを同時に発見していました。その硬度は、HやBなどで表されています。Hが硬く、Bは柔らかい芯と定義されています。10Hから10Bまで芯の種類にも幅があり、用途によって使い分けがされています。
芯が硬い鉛筆は、細かい線がかけたりするので、小さな字を書いたり精密な絵や図面を書く際に重宝します。硬さによって濃淡も変わってきますので、いろんな硬さの鉛筆を使って作品を描いている方もいらっしゃいます。
一方、小学校入学の際に必要な学用品の鉛筆は、2BやBなど文字を書く際になめらかな書き味のものが適切とされています。また、芯にダイヤモンドの粉を混ぜて強度を増し折れにくくした鉛筆や、特殊オイルをいれて、よりなめらかな書き味にした鉛筆などがあります。形もスタンダードな六角形をはじめ、円形、三角形、幼児用の太く短いものなどさまざまな鉛筆が各メーカーから出ています。
最近では、持ち手のところに加工を施し、手の滑りを防いで持ちやすくした鉛筆もあります。店頭で名入れをしてくれる文具店も多いので新入学の際にはそちらを利用する方も多いそうです。また、「合格鉛筆」という商品もありますので受験生のみなさんぜひチェックしてみてくださいね。
そして、受験生のみなさん受験頑張ってください。
満開の桜が咲くことを祈って…。応援しています!
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RADIO▶FMとやま「Stationery Diary」Produced by 文具の瀬戸
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