SV・Vリーグ、ホームアリーナ規則どうなってるの?
一ファンの立場ではわからないことが多すぎるので、記者の方、メディア関係の方がこの問題を取材してくださることを強く期待したい!
もう1ヶ月も前の話になりますが、Vの2クラブがアリーナ規則違反で制裁を受けました。ひっそりと。メディアが全く報じないので、ファンには何が起きているか全然わかりません。いったいどうなってるんだってばよ…
制裁はライセンス交付規則のホームアリーナ規則に反したため、というもので、それは全くその通りなのですが、不可解な点がいくつもあります。
なぜ 大同特殊鋼 と JAぎふ の2クラブだけなのか
もうすでにほとんどの試合の会場が発表されていますが、それを見る限り2クラブだけでなく他のクラブもホームアリーナでの開催日数が足りていません。
例えばSVリーグの場合、ホームゲームの80%以上をホームアリーナで開催する必要があります。SVは22試合のホームゲームがありますので、その80%の17.6試合以上、つまり最低でも18試合をホームアリーナで開催する必要があります。しかし私がざっと確認した範囲で、現状この要件をクリアしているのは男子が10クラブ中4クラブ、女子はなんと14クラブ中1クラブのみです…
Vリーグはホームアリーナで60%の試合を開催しなければいけないことになっています。ホームゲーム数が14ですので、その60%は8.4試合。ですが、制裁発表の文面には10試合が必要とありますので、土日連戦をひとまとめにして計算しているようです。この基準でみると、クリアしているのは29クラブ中10クラブです。
制裁が発表された大同特殊鋼とJAぎふ以外にもホームアリーナ開催数が足りないクラブが山ほどあることがわかります。制裁を受けた大同特殊鋼よりも開催数が少なくなる見込みのクラブも、また山ほどあります。なかにはホームアリーナ開催数「0」なんてクラブまである…(というかまだ試合会場が決まっていないクラブまである… これはこれで制裁モノだと思うのですが)
制裁の発表をみると「確約書」なるものの提出をもって機構が確認を行なっていることがわかります。ということは、他のクラブは「確約書」の提出を保留しているということなのでしょうか? しかしもう一件、「確約書」がなかなか提出されなかったということで、東京サンビームズにも制裁が発表されています。
え?え? ということは、すでに他クラブの「確約書」は提出済みってこと? そうだとしたら大同特殊鋼とJAぎふだけが制裁を受けたのがますます謎すぎる… じゃあリーグ機構の確認作業が全然進んでいないということ? だとしたら遅すぎるし、機構自体の動きが制裁モノじゃないか…
今後少しずつ他クラブにも制裁が発表されていくのでしょうか? それとも別会場で行う予定だった試合をホームアリーナ開催に変更する余地を残している? すでに開幕した後なのに? わからん。わからんすぎる。
違反に厳しく対処すべきか否か
街の噂では、今季はクラブライセンス交付のゴタゴタでカレンダーの確定が遅れたので、アリーナ規則違反は厳しく問われないのでは?という話もあるようです。ただすでに2クラブに制裁を科してしまった以上、他のクラブに甘くするわけにもいかないでしょう。(その意味で、早いタイミングで制裁を発表してしまったのは悪手だったかもしれませんね…)
また、昨年のクラブライセンス交付で不可になってしまったクラブや、ライセンス規則を読んでウチには無理かと申請を断念したクラブからすれば、「そんなザルでよかったんならウチでもできたわ!」となりますので、ここは厳しく対処せざるを得ないでしょう。が、この数です…どうするんでしょうか
そもそもクラブ側は規則を守る気がなさそう
発表済みの開催日程をみると、もうホームアリーナ規則を守る気がないんじゃないかと思えてきます。ホームタウンからはるかに遠い場所で開催するクラブがたくさんあるのです。
これまでのVリーグでは、ホームタウンに加えてサブホームタウンを登録し、日本全国を行脚するような興行を行なってきました。一方で新リーグ機構側は「地域密着」の方針を強く推しており、ホームタウン、ホームアリーナを一箇所に絞ることを求めています。その結果、昨年まであったサブホームタウンは廃止になりました。
ところがスケジュールを見ると、今年も昨年までのサブホームタウンでホームゲームを開催するチームがたくさんあります。それも複数回。リーグ機構の思いを汲めば、ホームアリーナが確保できなかったとしても、せめてホームタウン内で開催しようと考えるはずです。しかし、クラブは遠隔地での開催を強行した。たぶんクラブ側としては、これまでお世話になってきたサブホームタウンに対して、いきなりサヨウナラというわけにはいかなかったのでしょう。これは個人の感想ですが、リーグ側のあまりにも性急な変更に対してクラブ側が "NO" を突きつけているように見えます…(リーグの「地域密着」戦略については他にも思うところがあるので、またいずれ書きたいと思います)
来季以降もアリーナ確保は厳しい見込み
SV・Vクラブのアリーナ確保にとって、最大の障壁はBリーグクラブの存在です。同じアリーナを、同じく土日に利用したい両者が衝突するのは必然といえます。またBリーグはバレーボール界に先んじてプロ化を進めており、クラブ運営は先方が何枚も上手と言わざるを得ません。当然、アリーナ確保競争でもその差は明らかです。
ところがリーグ機構はあまり心配している様子がありません。チェアマンは常々、Bリーグクラブの新アリーナ開発のニュースを取り上げており、「Bリーグのようにアリーナ開発計画を進めよ」といったお気持ちを表明しているようにみえます。「アリーナが確保できない?自前のアリーナを持てばいいじゃない」と言わんばかりです。
また、Bリーグクラブが新アリーナに移転していけば、SV・Vが使うアリーナが確保しやすくなると考えているようにも見えます。ただ、これも簡単ではありません。Bリーグのアリーナ建設は、昨今の資材価格の高騰や労働力不足などにより遅れが生じています。2028年あたりから使いはじめる計画のところが多いようです。そうなると、まだしばらくは既存のアリーナを取り合うことになりますが、老朽化が深刻なアリーナも多く、突然改修工事が始まって使えなくなることもありえます。そのため、あと4〜5年は激しいアリーナ確保競争をすることになりそうです。当然、もっと遅れる可能性も大いにあります。せっかく元Bリーグの人がチェアマンになったのですから、そのあたりはうまく交渉してほしいところですが、今のところ期待できそうにはありません… (水面下でやってくれていればいいのですが、少なくとも今年度はその恩恵は全くなかったと言えます)
とにかく不可解なことが多い
一通り、ファンの立場からわかる範囲で書き殴ってみましたが、とにかく開示されている情報が少なすぎて推測の域を出ない上、辻褄のあう結論はでてきません。冒頭にも書きましたが、記者の方、メディア関係者の方で気概のある方はいませんでしょうか。ぜひ取材をして明らかにしてほしい。
バレーボール界は新リーグ開幕と共に、情報開示に後ろ向きな姿勢も変えていってほしいと強く思います!全然体質が変わってないぞ!
気持ちよく応援できるSV・Vリーグにしてください。以上。
Enjoy volleyball !!
(2024.11.24 追記)
ホームアリーナ規則には理事会判断の余地もあることを追記しておきます。
例えばStings愛知のホームアリーナの岡崎中央総合公園総合体育館は年末から改修に入りますので、同敷地内の武道館で開催する予定になっています。おそらくこれは例外として認定されると判断して、本稿ではStings愛知を「クリア」としました。実際にはどうなるかわかりませんが。
他に私が把握している範囲ですと、クインシーズ刈谷のホームアリーナのウィングアリーナ刈谷が改修中です。ただこの改修は比較的早いタイミングで分かっていたので、例外と認定されるかどうかは微妙です。 Bリーグの三河はメインアリーナ変更の対応ができています。ただ機構側も改修が決まっているアリーナをホームアリーナとして登録する申請を受理してしまっている落ち度があり…
ちなみに総選挙の影響でアリーナ変更を余儀なくされた件もありましたが、すべて「非ホームアリーナでのホームゲーム」だったので、アリーナ規則違反の有無には関係しないと思われます。
追記、おわり