九州大学(理系)2023年度 第1問
どもです。
2023年度の九大の問題を解き始めたわけですが、難化したという噂をちらほら。
ほんまかい!?
と思いながら解いたら、ほんまかい?
ということで、第1問の所感をば。
まずは問題は以下の通り。
(1):知識があれば瞬殺
(1)はいわずもがな、相反方程式の問題。
2次以下の方程式と違って、3次以上の方程式は上手いことを考えないと解けない。
言い換えると、パターンゲーということになりまする。
相反方程式というのは、各次数の係数が左右対称になっている方程式のこと。
面白いのが(受験生にとっては「厄介」であるが)、方程式の次数の偶奇によって解き方がほんの少し異なる。
偶数の場合が実は簡単である(というか、奇数の場合はひと手間増えるだけで、ほぼ同じ話やさかいに)。
例えば、4次方程式の相反方程式は以下のような形になる。
$$
x^4+ax^3+bx^2+cx+d=0 (a,b\in \mathbb{R})
$$
このとき、式全体を$${x^2}$$で割ることにより、なんということでしょう。4次方程式が2次方程式に大変身。
$$
x^4+ax^3+bx^2+ax+1=0
$$
$$
\Leftrightarrow x^2+ax+b+\frac{a}{x}+\frac{1}{x^2}=0
$$
$$
\Leftrightarrow (x+\frac{1}{x})^2+a(x+\frac{1}{x})-1=0
$$
あとは$${(x+\frac{1}{x})}$$を適当に他の文字に置き換えてやると、THE ENDである。
ここで、受験生諸君に問いたい事項は以下である。
文字で割ることに対して、敏感すぎるぐらいがちょうどよいです。なぜなら、操作に対して寛容な数学における数少ない禁忌「0で割る」ことをしてしまう恐れがあるからです。では、上記の式変形において、$${x^2}$$で割っている箇所がありますが、問題ないですか?(梅レベル)
0かもしれない文字で割ってしまうことにより、式変形が同値変形でない例を一つ挙げられますか?(竹レベル)
(2):(1)と独立しているように見えるが
(2)については、以下の事項が思い浮かんだ受験生はよく勉強している。
「複素数$${\alpha, \beta, \gamma}$$は複素数平面上で正三角形を成す」
$${\iff}$$ $${(\alpha-\beta)^2+(\beta-\gamma)^2+(\gamma-\alpha)^2=0}$$ (★)
よ~く見てもらうと、2つの条件は両矢印でつながれているので、同値(必要十分)な条件ということになる。
そして本問、2乗が4乗に代わっただけである。
そしてそして、その2乗の式と4乗の式は実は同値です。(★★)
だからだからだから、証明終わりです(棒)。
でも実際の答案としては、上記は使えません(使えるけど、(★)と(★★)を示すのって、この問題で求められている以上のことまで示しちゃっているので、ちょっと非効率)。
ということで、与えられた4乗の式をガリクソン計算、もといガリガリ計算すると、実は(1)の式と同じ形になり、(1)の答えから正三角形であることが示されるという、ちょっとニクイ問題。
(2)で(1)の形が出た瞬間、ゴーゴーランプがぺかった時並みに脳汁が出た受験生もいたことでしょう。
(というか、$${\alpha, \beta, \gamma}$$に対して対称な式なので、正三角形であることの予想がつくと、あなたも上級者です)
まとめ
個人的には並~やや難という感じ。
(1)は(九大志望レベルだと)サービス問題。
(2)は、示したいゴールの形が明確にイメージできていると、途中の式変形手順が見えてくるので、演習量の差が如実に表れるところかなと。
本記事はここまで。
P.S. クラフトビールセットを貰ったのですが、フルーティーなビールが多くて感動。沼にハマってしまうかも、、、、