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【ボストン・ポップス来日記念】スター・ウォーズ曲目解説

ボストン・ポップスが20年ぶりに来日しジョン・ウィリアムズのコンサートを開く(10/6〜8:東京国際フォーラムA、10:東京サントリーホール、12〜13:大阪フェスティバルホール)ということで、
そのうちの8日の東京国際フォーラムA、13日のフェスティバルホールで行われる「スター・ウォーズ: ザ・ストーリー・イン・ミュージック」の曲目を解説します。
以前投稿した「素晴らしきスター・ウォーズの音楽」の内容をコンサートの演奏順に並び替え、追加楽曲部分を加筆しました。


作曲家ジョン・ウィリアムズ(御歳91)

まだまだ現役で指揮してます

ジョン・ウィリアムズがいなければ、自転車は飛ばず、クィディッチの試合で箒も飛ばず、赤いマントを着た男(スーパーマン)も動かない。フォースはない。恐竜は地球を歩かない。私たちは空想することはなく、泣くこともなく、信じることもない。

スティーブン・スピルバーグ

ジョージ・ルーカスはもともと既存のクラシック音楽をスター・ウォーズに使う予定だったが、ルーカスの親友スティーブン・スピルバーグは彼にジョン・ウィリアムズを紹介した。ウィリアムズはスター・ウォーズのためにクラシック音楽を書き上げ、そのサウンドトラックはのちにAFIによって「史上最高の映画音楽」に選出された。
アカデミー賞受賞5回、グラミー賞受賞25回、ゴールデングローブ賞受賞4回。
ちなみにアカデミー賞はノミネート52回でウォルト・ディズニーに次いで2番目に多い。

先月の東京(サントリーホール)での来日コンサート

断言しよう。ジョン・ウィリアムズより優れた音楽家は存在しない

ハンス・ジマー

先月は長野と東京に数十年ぶりに来日しコンサートを実施した。
生ジョン・ウィリアムズとんでもなくやばかったです(語彙力喪失)
手がけた作品は「スター・ウォーズ」「ハリー・ポッター」「ジュラシック・パーク」「ジョーズ」「E.T.」「ホーム・アローン」「インディー・ジョーンズ」「スーパーマン」など。


指揮者キース・ロックハート

左ジョン・ウィリアムズ、右キース・ロックハート

1900回を超えるボストン・ポップス・オーケストラのコンサートを指揮し、ジョン・ウィリアムズの信頼の厚い音楽家。過去ユタ交響楽団の音楽監督を務め、2002年のソルトレイクシティ・オリンピックではアメリカの国歌「星条旗」を指揮した。


ボストン・ポップス・エスプレネード・オーケストラ

アメリカの名門オーケストラ。1930〜79年はアーサー・フィードラーが常任指揮者を務め、1980〜93年まではジョン・ウィリアムズが務めた。ウィリアムズの時代になってからは従来のクラシック、軽音楽に加え、ジャズやムード音楽、映画音楽も取り入れるなどレパートリーの幅を広げた。
ジョン・ウィリアムズがボストン・ポップスを引退してからは2年ほど常任指揮者不在の期間があったが、1995年以後はキース・ロックハートが常任指揮者を務めている。
そのキース・ロックハートが今回のコンサートで指揮するわけですね〜


ジョン・ウィリアムズのスター・ウォーズでの作曲

  • スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望(1977)

  • スター・ウォーズ エピソード5 帝国の逆襲(1980)

  • スター・ウォーズ エピソード6 ジェダイの帰還(1983)

  • スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス(1999)

  • スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃(2002)

  • スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐(2005)

  • スター・ウォーズ フォースの覚醒(2015)

  • スター・ウォーズ 最後のジェダイ(2017)

  • ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(2018)テーマ曲「ハン・ソロの冒険」のみ

  • スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ 交響組曲(2019)

  • スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け(2019)

  • オビ=ワン・ケノービ(2022)テーマ曲「オビ=ワン」のみ

40年以上前に作られたスター・ウォーズにおけるウィリアムズの楽曲が今日まで”史上最高”と言われてきたのには多くの理由がある。口ずさみやすいメロディー、フルオーケストラが奏でる優雅な調声はもちろんのこと、なにより彼が映画界に革新をもたらした張本人であるからだ。

ジョン・ウィリアムズの楽曲はクラシック音楽のエッセンスが鏤められており、彼がいかにクラシック音楽を愛でているかわかる。

久石譲

現在のほとんどの映画音楽にはオーケストラが使われている。しかしスター・ウォーズ1作目が製作された時代はシンセサイザーやロックバンドが当たり前だった。ウィリアムズは尊敬する映画音楽家コルンゴルドらが始めた「オーケストラの大編成による映画音楽」を継承し、スター・ウォーズの音楽を作曲した。この時代以降大作の音楽には必ずと言っていいほどオーケストラが使われるようになり、その流れは現在も続いている。

エピソード1/ファントム・メナス

ロンドン交響楽団

アメリカの音楽トレンドの王者ビルボードで3位を獲得した脅威のサウンドトラック。スター・ウォーズに限らず戦いの曲と言えば「運命の闘い」と認知されるほど全世界に影響を与えた。

惑星タトゥイーン到着〜フラッグ・パレード

ブーンタ・イブ・クラシックに集まった観客の声援とエンジンの騒音にかき消された隠れた名曲。ジョン・ウィリアムズが得意とする形式のファンファーレで、力強い金管楽器のモチーフとストリングスと木管の装飾で軍隊の行進曲のような音楽に仕上がっている。
ほんとに好きなタイプの曲です。トゥンク....

アナキンのテーマ

ジョン・ウィリアムズのアレンジ能力は他に類を見ない。この曲は本編のエンドロールで流れる〈アナキンのテーマ〉のコンサートバージョンだが、23秒あたりの弦楽合奏のテーマは〈ダース・ベイダーのテーマ〉を大胆に変形したものに他ならない。しかも主題の最後の部分は、はっきりわかる形でベイダーのテーマの一節が組み込まれている。その意味するところは改めて説明するまでもないだろう...
この曲は後期ロマン派の語法でオーケストレーションされているため、非常に陶酔的で美しく聴こえるが、アナキンのテーマは12の半音を不安定に並べることで一種の無調音楽(譜面上ではイ長調)として作曲されている。
後期ロマン派の作曲家、ワーグナーの代表作↓

プリクエル三部作の核心は「ダークサイドの台頭」。安定した調性の崩壊と不安定な調性の台頭、と考えると素晴らしくも恐ろしい音楽である。

運命の闘い


死ぬほど人気の曲。

舌根の下に、恐るべき闘いがある
もうひとつの怒りが、頭の中に隠れている

R.グレーヴスの詩論「白い女神」から”樹木の闘い”

この楽曲を作曲するにあたり、ウィリアムズはイギリスの詩論ロバート・グレーヴスの詩論「白い女神」に収められていたケルトの古代詩「樹木の闘い」の一節に注目した。ただし、ウィリアムズはグレーヴスの英訳をそのまま歌詞に用いることをせず、異教的な雰囲気を表現するために元の詩をサンスクリット語に訳した。さらにそのサンスクリット語訳を声楽的に美しく響かせるため、語順や音節を自由に入れ替え、最終的な歌詞を作り上げた。
この曲におけるジョン・ウィリアムズの天才たる所以は、「ファントム・メナス」のストーリーラインを知りこの詩を引っ張ってきたところだろう。”恐るべき闘い”とはもちろんダース・モールとの死闘、すなわち千年ぶりのジェダイとシスの直接対決と見ることができる。となると、”もうひとつの怒り”とは”恐るべき闘い”を背後で操っている存在、すなわちダース・シディアスと解釈できる。隠れているもうひとつの怒り=見えざる脅威(ファントム・メナス)という、ジャンプ漫画家もびっくりな作家性を垣間見せている。

エピソード2/クローンの攻撃

ロンドン交響楽団

映画音楽界の”愛のテーマ”として知られているのは「シネマ・パラダイス」の〈愛のテーマ〉と、このサウンドトラックに収録されている〈アクロス・ザ・スターズ〉だ。「クローンの攻撃」の魅力は大方この曲にあるといってもいい

アクロス・ザ・スターズ

彼らの愛は複雑で、純粋でありながら禁じられた、個人的なものだが、銀河全体に深い影響を及ぼしてしまう。どうやったのか分からないが、ジョンはその複雑さをシンプルで忘れることができない流麗なテーマで伝えてくれた。

ジョージ・ルーカス

この愛のテーマは〈ルークのテーマ〉、すなわちスター・ウォーズのメインタイトルが大きく凝縮され変形されて作曲された。その面影はほぼなく、冒頭の三連符のアルペジオやテーマの運び、語感(リズム)がそれっぽいなーぐらいにしか感じることはできないが、アナキンとパドメの禁じられた恋から生まれるもう1人の選ばれし者を考えれば自然なテーマの流れだろう。残念ながら〈ルークのテーマ〉のように希望や明るさを感じさせる要素はひとつもなく、彼の両親の悲恋の結末を予感させる黄昏色の悲しみに終始覆われている。
〈ドゥークー伯爵との対峙〜フィナーレ〉では壮大なオーケストレーションのアレンジ違いを聴くことができる。
きれいな曲ランキング1位!


エピソード3/シスの復讐

ロンドン交響楽団

このプリクエル最後のスコアは、おそらくファン全員のお好みのサウンドトラックだろう。〈コルサントの戦い〉、〈英雄たちの戦い〉、〈グリーヴァスのテーマ〉、〈オーダー66〉などアレンジや新たなテーマ曲を含めたシンフォニックな音楽がいくつも紹介されたことに加え、コーラスとブラスによる闇堕ちアナキンの暴力的なテーマが作られた。
今回のコンサートでは「グリーバス将軍(別にグリーバスのテーマ曲ではない)」、「ベイダー卿、登場(闇堕ちアナキンのテーマ)」の2曲が抜粋。

グリーバス将軍

同じくジョン・ウィリアムズ作曲のジュラシック・パークの2作目「ロスト・ワールド」のテーマ曲のような民族的な太鼓がリズムを刻み、低音のブラスが〈フォースのテーマ〉を演奏する。
個人的にはEP3劇中よりもスマホゲーム「銀河の英雄」で聞き馴染みがあります。分かってくれる人いるのかな
クローン戦争の戦闘系BGMですね()

ベイダー卿、登場

暗黒面の力強くも不吉な雰囲気を表す「シスの復讐におけるダース・ベイダーのテーマ」、もしくは「闇堕ちアナキンのテーマ(勝手に呼んでる)」。この曲、スター・ウォーズのコンサートでも滅多に、というか今まで演奏されたことないので生演奏をぜひ耳に焼き付けましょう。
3:20〜ぐらいのベイダー卿のテーマ→フォースのテーマ、皇帝のテーマに移行する流れがスムーズすぎてあまりにも大好き


エピソード4/新たなる希望

ロンドン交響楽団

原点。誰もが知っているメイン・タイトルに加えて、スター・ウォーズファンお好みの「フォースのテーマ」「反乱軍のテーマ」「レイアのテーマ」が作曲された。メイン・タイトルはエピソードごとに若干アレンジが異なる(ティンパニがあったりとか楽器のバランスとか)ので聴き比べてみても面白い。

王女レイアのテーマ

スター・ウォーズシリーズで綺麗な曲ランキングを付けるとしたら間違いなく1位。(いやこいつアクロス・ザ・スターズの時も同じこと言ってたな...)
R2が映し出すレイアのホログラムを見たルークが「なんてきれいな人だ」とつぶやく場面の印象に基づいて作曲したらしい。
ジョン・ウィリアムズの綺麗な曲はこういうコード進行が多い。たとえば「ハン・ソロとレイア姫」「マリオンのテーマ」とか、、、
ちなみにこの曲はコンサートようにウィリアムズ本人がアレンジしたもの。

バイナリー・サンセット(双子の太陽)

いわゆる〈フォースのテーマ〉と呼ばれる音楽の正式名称。ルークがタトゥイーンの地名線に沈む双子の夕日を眺める場面で流れる。
スター・ウォーズのテーマが木管で出た後、流麗なストリングスでフォースのテーマが感動的に演奏される。
ジョン・ウィリアムズによれば、当初このシーンはスター・ウォーズのテーマのみが使用される予定だったが、物思いに耽けるルークを表現するために敢えてフォースのテーマを使ったらしい。

酒場のバンド

もし遠い未来のエイリアンが、タイムカプセルの中に入っていた1930年代のベニー・グッドマンのスイングジャズを岩の下から掘り起こし、それを演奏したらどうなるだろう?

ジョージ・ルーカス

フィグリン・ダン(種族名忘れた)のバンドが演奏するスイング・ジャズ。もともとジョン・ウィリアムズはジャズを学んでいたらしい。
編成の内訳はトランペット、サックス3人(うち1人クラリネット持ち変え)、フェンダーローズピアノ、カリビアン・スチールドラム、様々なパーカッション、アープシンセサイザー。録音後にリバーブをかけて低音域をカットすることで独特の「酒場の安っぽさ」を演出している。


エピソード5/帝国の逆襲

ロンドン交響楽団

ダース・ベイダーのテーマもとい帝国のマーチが誕生した素晴らしい作品。スター・ウォーズってエピソードによって評価二分されたりするけど帝国の逆襲嫌いな人はいない。

小惑星の原野

ケッセル・ランを飛び抜けたハン・ソロが贈る、超絶的操縦テクニック!!!
って感じで、ミレニアム・ファルコンが小惑星帯を航行しながらタイ・ファイターの追撃をかわす名場面の音楽。
音楽的に整然と構成されていてあまりにも美しいので、逆にどんな解説をすれば正解なのか分からないな、、、
みんなが聞きたいのは1:45くらいのとこですね

ヨーダのテーマ

まじできれいだし愛してるこの曲

哲学的な観点からも、ヨーダが示したものはまさに老紳士らしくとても賢い。音楽的に例えるならダイレクトで詩的でシンプルで旋律が豊かだ。

ジョン・ウィリアムズ

ジョン・ウィリアムズによれば、この曲では「真の知恵の純真さ」が表現されている。
ヨーダのテーマは至ってシンプルな共和音程な曲で、ドとミとソを軸にして若々しく動き回る。
ヨーダが登場する他のエピソード、「クローン・ウォーズ」「ボバ・フェット」などにもこのテーマを使ったアレンジが作曲されている。

ダース・ベイダーのマーチ

↑これ一昨年のジョン本人の指揮です

ダース・ベイダーはジョージの傑作だ。彼のテーマ曲は軍隊的な行進曲がいいと思った。もちろん短調で金管楽器が迫り来るように反復する。まさにベイダーのようにね。
私にとって演奏が一番楽しいのはこの曲だ。シリーズ全作の中で一番といえるよ。

ジョン・ウィリアムズ

多分メインテーマより有名な曲。冒頭ちょっとだけショパンの葬送行進曲のような雰囲気を醸しながらも堂々たる軍隊行進曲として作曲されている。

帝国が前作より関わってくるので、そのためのテーマが欲しいと思った。デス・スターを超えるような曲がね

ジョージ・ルーカス

おそらく、この曲の最も明白な特徴はビートを刻むリズムだろう。

Film Music Notesより引用

このリズムはダース・ベイダーのテーマに確かな足取りを与え、ベイダーの揺るぎない自信を見事に描き出している。3連符はテーマのほとんどの部分で動機づけされているので、自信に満ちた暗黒の音色は曲全体に貫かれている。

Film Music Notesより引用

口ずさみやすいメロディーとは何か?
帝国のマーチはその問いに対する明確な答えを教えてくれる。一般的に、譜面に書いてみて歪な動きをするメロディーラインは歌いにくい。帝国のマーチのメロディーラインの動きに大雑把に矢印を付けてみると、全体的に下降していることがわかる。
2段目の冒頭では急に1オクターブの降下と上昇がぶっこまれるが、仕組みは単純で、メロディー(1段目1小節目)の始発点よりも高い位置から落とすとインパクトを与えることができる。「モノはさっきより高い高さから落とした方が面白い」のと同じ感覚だろう。
加えて、2段目1〜3小節目では高さを変えて同じ音のピースが使われている。「繰り返し」というほかのジョン・ウィリアムズのテーマでもよく使われる技法で、それもまた単純だ。聴く側が覚えやすい。

ジュラシック・パークの一節。同じ動機の繰り返しは覚えやすい

このように、帝国のマーチには”人の覚えやすさ”が濃縮されている。
風呂敷を広げたのにたたみ方が分からなくなったのでこの曲の解説は終わり。


エピソード6/ジェダイの帰還

ロンドン交響楽団

ガチファン垂涎の劇中曲がいくつか入っていないためちょっと残念なサウンドトラック。例えばエンドタイトルでは劇中のヴィクトリー・セレブレーションではなくイウォーク・セレブレーションが収録されている。

ジャバ・ザ・ハット

演奏がクッッッッッッッソむずいらしいマイナー曲。チューバによるジャバ・ザ・ハットのテーマです。この曲がコンサートの曲目に入ってるってことは、ボストン・ポップスには相当エグいチューバの奏者がいらっしゃいますね、、、

ルークとレイア

寝れる曲ランキング1位。フレンチホルンのソロからビオラ、オクターブのストリングスと様々な楽器でメロディーが演奏される。それほど有名な曲では無かったが、エピソード8、9とこの曲が登場したため今では知っている人も多い。

イウォーク族のパレード

「イウォーク族のパレード」のコンサートバージョン。演奏が楽しそう。ひたすらイウォークのテーマが展開され、Bメロと組み合わされていくクラシック感の強い名曲です。聴くのも楽しい

森林での戦い

物語終盤、エンドアの衛星の原住民イウォークと帝国軍の戦闘シーンの音楽を、ジョン本人がコンサート用に自由に再構成・アレンジしたもの。
ギロやウッドブロックなど小学生が音楽室で遊んでるイメージしかない楽器がふんだんに使われ、「イウォーク族のパレード」のモチーフが演奏される。
いろいろ語りたいことはあるけど、3:04〜のクライマックスが好きすぎるから全人類聴いてください


エピソード7/フォースの覚醒

アメリカのビルボードチャート200で5位。そもそもマイケル・ジャクソンやテイラー・スウィフトが上位を独占するビルボードでサウンドトラックのくせに5位に登るジョン・ウィリアムズってどうなってんだよ(褒め言葉)
全てのスコアはウィリアムズ作曲だが、彼の体力的な面も考慮して、今作ではウィリアム・ロスやグズターボ・ドゥダメルが半数近くの楽曲を指揮し、残りをジョン・ウィリアムズが指揮した。
今作では〈レイのテーマ〉〈カイロ・レンのテーマ〉〈レジスタンスのテーマ〉〈ポーのテーマ〉などが新しく書かれ、特にレイのテーマはYouTubeで1200万再生を超えてるほど人気。

レジスタンスのマーチ

ダース・ベイダーのテーマは「下がっていくメロディー」だと解説したが、逆にこの曲は楽器を変えながら掛け合いで上がり続けて、いい場所で下がっていく非常に音楽的なマーチだ。雰囲気的にはベートーヴェンの「運命」と言った方が掴みやすい。

2段目〜のメロディーはひたすら上がり続けている

ギャラクシーズ・エッジの交響組曲もそうだが、ジョン・ウィリアムズはたまにこういう類のロマン派音楽をやってくる。大好き。

レイのテーマ

レイのテーマは、”ヒーローのテーマ”という意味で英雄的ではない音楽的な文法がある。勝利の音楽ではなく、一種の冒険のテーマだ。

ジョン・ウィリアムズ

ジョン・ウィリアムズがシークエルで一番好きなキャラクターがレイなわけで、その分スコアが熟考されているように感じる。レイのテーマを反転するとカイロ・レンのテーマになるのは有名だが、熟考ってそれ以上にこれほど壮大なストリングスのテーマがかつてあった!?ないよね!!ないんだよ!!!ってかんじぃ。めっちゃすき

ピアノとハープのモチーフ

木管の導入から始まるピアノ、ハープ、パーカッションで混ぜ合わされたモチーフは、楽器を変えて終始楽曲に登場する。そしてその上からコードの音程をなぞるように、ドリアンモードで構成されたメロディーが流れる。ドリアンモードは、自然短音階の第6音を半音下げた音階のこと。
例えばレイのテーマはニ短調かつDからメロディーが始まるので、DドリアンモードのD-E-F-G-A-B-C-D(レ-ミ-ファ-ソ-ラ-シ-ド-レ)が使われているということになる。

Xウィングのためのスケルツォ

スケルツォってなんやねん!!ってなるよね

スケルツォとは:軽やかでユーモアの気分がある、テンポの速い器楽曲。

Oxford Languages

まさにこの曲じゃん。スター・ウォーズのメインテーマとフォースのテーマを組み合わせ、大胆にアレンジして軽やかな曲を完成させている。
説明ムズいけど聴けば魅力わかるんじゃないかな

ジェダイへの階段〜フィナーレ〜

こういう類のコンサートで演奏される機会がめちゃくちゃ多いEP7のエンド・クレジットの曲。
EP8で大々的に使われる〈隠遁するルークのテーマ〉から始まり、レイがルークにライトセーバーを渡すシーンでは〈フォースのテーマ〉が流れ、そのままエンドロールへ。そのあとはお決まりの〈スター・ウォーズのテーマ〉、レイのテーマ、カイロ・レンのテーマ、レジスタンスのマーチ、再びレイのテーマ×反乱軍のテーマ、チェレスタの〈スター・ウォーズのテーマ〉でフィニッシュ。
スター・ウォーズ音楽界のハッピーセットすぎる曲だなこれ


エピソード8/最後のジェダイ

挑戦しすぎてファンの反感を買った問題作だが、音楽に限って言えば素晴らしいテーマのアレンジと新たなモチーフが作曲されている。実際筆者は受験期にこのサウンドトラックを聴いて受かったので、そういう効果があるのかもしれない。

金属頭

なんでこの曲がコンサートの曲目に選ばれるのかは分からんけど、まじで名曲
特に序盤の緊迫感溢れるコントラバスのリズムとホルンのメロディーに「うっひゃあ....」ってなっちゃう。

極秘作戦

これも名曲ですね〜〜〜〜
先月のジョン・ウィリアムズ来日公演では本人がこの曲指揮してました。さいこう
これ多分特に意識してるわけじゃないけど、「フォースのテーマ〉をメジャーコードにアレンジするとこの曲っぽくなります。
2:38〜次々と装飾音符の楽器が移って行く美しさに惚れちゃう、まじベタ惚れ


エピソード9/スカイウォーカーの夜明け

サーガの締めにふさわしい、過去8作の集大成のようなサウンドトラック。102人編成の大規模なオーケストラ、100人の合唱団で演奏された。
レコーディングの最終日、2019年11月18日にはマーク・ハミル、デイジー・リドリー、スティーブン・スピルバーグなどがスタジオに来てお疲れ様会を開いた。その時マーク・ハミルは身分証を家に忘れてきていたため、スタジオの入口でスピルバーグと間違えられた。

スピーダー・チェイス

サントラの時点でコンサート用みたいな感じの編成で作曲されてる曲。鮮やかなトランペット、トロンボーン、ホルンのメロディーで、その他フルオーケストラがそれを支える。ジョン・ウィリアムズらしさ全開でこれはもう聴くこと自体が楽しいまである

スカイウォーカーの夜明け

多分ジョン・ウィリアムズがこの作品で一番心を込めて作った曲。考え抜かれたメロディーとコード進行、楽器の編成に涙が止まらないね(感受性高め)

これは今作で何度も登場するテーマ。ヨーダと同じ進行でモチーフが作られているため、神秘的な雰囲気を醸しながらも美しいメロディーを奏でる。ストリングスの重厚な重なり方はアナキンのテーマやアクロス・ザ・スターズを思い起こさせ、同じくクラシカルな手法でオーケストレーションされている。後半部分はホルンの英雄的なモチーフが演奏され、このパートは「フォースと共に」でも登場する。

この音楽は何がなんでも噛み締めましょう...


アンコールあんのかな?

メイン・タイトルが演奏されてないので、それがアンコールかなと...
運が良ければ(?)「王座の間」と「メイン・タイトル」の2曲を演奏してくれそうな気もします。

ボストン・ポップス級の名門オーケストラが来日して、しかもスター・ウォーズを奏でてくれることなんてこの先二度と無いかもしれないから、行く人は少なくともコンサート当日まで絶対に死んだらダメだよ★

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