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南房総の里山をMTBでポタリング
千葉県で唯一「岳」という山名がつく関東百名山の急峻な岩峰、房総のマッターホルン「伊予ヶ岳」の麓に位置するサイクリスト向け施設 "HEGURI HUB"を基点に南房総の里山をMTBで訪ねました。房総のサイクリングロードは内房と外房の海に囲まれ、真冬も温暖な海岸沿いの房総フラワーラインのイメージが強いのですが、ワインディングロードが続く丘陵地帯にもコース選択に迷うほど魅力的なコースに満ち溢れています。
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HEGURI HUB
現在、全国各地で地域社会の変化に応じて公共施設のコンバージョンが行われています。今回のポタリングのベース地として訪れた伊予ヶ岳の登山道入口横にある「HEGURI HUB」は旧平群小学校・保育所跡地の再利用で、レンタサイクルの他にもレストラン、コワーキングスペース、簡易宿泊所、シャワー、キャンプ施設を備える、サイクリスト以外の方にも楽しめる複合施設に生まれ変わろうとしていました。2024年12月現在、まだ工事進行中ですがこれからの施設充実が楽しみです。今日は車載輪行なのでHEGURI HUBにクルマを停めて、ここからMTBポタリングのスタートです。
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築300年の農家レストラン
スタート地点から県道88号線を南下。なぜか快調に脚が動きますがこれは錯覚です。視覚では判りにくい緩やかな下り勾配に、晴天が続く関東地方の冬特有の北西からの追い風に背中を押されているだけなので調子に乗ってはいけません。
スタートから約10km地点で広域農道・安房グリーンロードから離れて農家レストラン「じろえむ」さんに向かいます。ここは私が20年近く前に、今はもうすでに他界した両親を連れて旅行先の昼食に訪れたことがある思い出の場所。まるで「千と千尋の神隠し」に描かれたような古びた暗いトンネルを抜けるとパッと視界が開けてお店の看板が現れました。
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日本昔ばなしに出てくるような長閑な集落に突然MTBに乗って現れた外来者の私は200m手前から犬に吠えられます。飼犬の鳴き声にじろえむさんの奥さまが母屋から出て来られて恐縮してしまいました。突然の訪問にまずお詫びして、今は亡き両親との思い出が懐かしく、再びここに立ち寄らせてもらった趣旨を伝えると、まだ朝っぱらの営業時間前なのにお屋敷の茅葺き屋根の張替え作業を見学させていただきました。
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平飼い養鶏場から採れる新鮮な卵と採れたて野菜で作られるお料理に合わせるご飯はかまど炊きで用意されるため食事は事前予約制です。次回は私の自転車友だちを連れて来ることを約束して再スタート。アポなし訪問なのに本当にありがとうございました。再び海に向かって南下を続けます。
スタートから約20km地点の「道の駅 館山グリーンファーム」で休憩。先程の「じろえむ」さんもそうでしたが、南房総のロードサイド施設には常にサイクルスタンドが用意されており、サイクルカルチャーが日常に浸透しています。館山市役所には自転車部があるのですね。素敵です。
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石造のアーチ橋
ここからシーサイドの白浜町までの15kmはヒルクライム&ダウンヒル区間。車体が重いフルサスMTBには苦行となりますが何とか足を付かず走破。太陽がサンサンと輝く海沿いの房総フラワーラインに出ます。
しかし今回のコース設定は里山ポタリングがテーマなので野島崎灯台を通過して、再び山の中に戻ってめがね橋に到着。明治時代に架けられた堅牢な3連石造アーチ橋は大洪水や関東大震災、戦火にも耐え抜いたその佇まいは、建築土木好きの私にはたまりません。
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コース中間を過ぎて復路パートに入ります。めがね橋からは県道86号線を北上。アップダウンが続く丘陵地帯の向かい風に脚にジワリと負荷が掛かりますが、驚くほど交通量が少なく信号機も少ないのでトレーニングには最高の環境です。53km地点を過ぎて、道の駅とみうら枇杷倶楽部で休憩。
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木造の桟橋
ここから岩井までは海岸沿いを走ります。途中で原岡海岸に架かる岡本桟橋に立ち寄りました。昭和レトロな木造の桟橋に明かりが灯るとノスタルジーな雰囲気が漂います。しかし今日はゴールまで残り20km近くあるので夕暮れを待たずに名残り惜しく桟橋を発ちました。
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岩井からゴールのHEGURI HUBまでは南房総の山脈、富山・伊予ヶ岳の裾野を抜けるため、最後のアップダウンに力を振り絞ってフィニッシュ。走行距離にして約70kmのファンライドでした。
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国内にはサイクルカルチャーを推進する自治体はまだまだ少ないのが実態ですが、南房総エリアは先進的な試みに取り組まれています。私たちが心掛けなくてはいけない大切なことは環境整備に対する感謝、地域の方々への挨拶、農道は農耕車優先、セーフティファースト&グッドマナー、ゴミは自宅へ持ち帰る、そして訪れた場所で必ずお金を使うこと。お店の業種業態によって事情は異なりますが、出来ればお釣り無しの現金がベスト。自分ができる小さな積み重ねが地域経済の持続的な活性化に繋がっていくと思うのです。
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今回のコース途中にも素敵なお店がたくさんありましたが休業中の看板を多く見かけました。少子高齢化と過疎化は全国共通の社会問題ですが、ウェルビーイングや日本のサイクルツーリズムをリードする施策としてサイクリストの聖地に発展していくことを私は応援したいと思います。
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