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📚×🏃=ブック・エンド・ラン

このたびご縁があって、昔から憧れていた本屋さんのオーナーになりました。今、全国各地に広がるシェア型書店の小さな間口の棚主ではありますが、私にとっては大きな夢を叶えることが出来ました。

今、街中から次々と消滅していく路地にお店を構える魚屋さんと本屋さん。鮮魚店はスーパーマーケットや大型小売店舗に客足を取られ、一方で書店はネット通販や電子書籍といった本の売り方そのものが変わろうとしています。

私の住まいの近くにある昭和の佇まいそのままの魚屋さんも、時代の流れに身をまかせるように周囲から惜しまれながら静かに暖簾を下ろしました。

この魚屋さんは古民家のような内装が印象的で、いつもお店の前を通りがかるとルイ・アームストロングのジャズが流れるカッコいい魚屋さんでした。

私が通勤やジョギングで毎日通る生活道路沿いにあり、シャッターが閉まったままのお店の前を通るたびに寂しい気持ちになりましたが、店主の娘さんが魚屋さんをシェア型書店へ華麗にコンバージョンされたのです。

ブック&カフェとしての居心地の良さに加えて、ときどき気まぐれでお酒と肴を提供するという、生粋の魚屋さん魂を継承するスタイルが大人の空間としてキラリと輝きます。

贅沢ってお金をかけることだけではないんだと気付かされるお店です。

私は一切の迷いなく貸し棚の契約をさせていただきました。棚主になると想像以上にやる事があります。まずはマーケティング戦略の策定。

沢山の本を置ける訳ではないので書店のコンセプトを定めます。そして屋号となる店舗名を決めて、レコメンドする本を厳選。POPやレビュー、棚の飾り付けを施します。

書籍は出版社から仕入れるのではなく、自分が所有する本を並べるので値付けも自由です。

売れ行きを眺めながら、売れていたら新たに本を補充して、売行き不調ならジャンルを変更して本を入れ替えます。

マニアック過ぎて絶対に誰も手に取ってくれないだろうと思っていた本があっという間に売れてしまったり、またその逆だったりと日々驚きの連続。他の棚主さんの本が気になったら購入して帰宅することも。

営業時間の関係から週末のジョギング途中に立ち寄ることが多く、自宅からお店へ、お店から自宅へと本を小脇に抱えて走る「ブック・エンド・ラン」が、次第に私のランニングスタイルへと変化が起きました。

これは半年前には想像すら出来なかったことで、本当に近未来は何が起こるか判りません。

小さな本屋さんのオーナーになってから、思いがけない出会いがその先の繋がりを呼んで、本がつなぐ不思議な力を感じています。私が求めているのは投資に対するリターンではなくて、これからの人生をどう楽しむかということ。

本って素敵です。

END

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