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半径5メートルのアイデアの見つけかた:高校生とのアントレプレナーシップの1年

今週、県立高校で1年間講師を務めたアントレプレナーシップ講座の最終回でした。
「半径5メートルのアイデアの見つけかた」をテーマにケースを通じて学びを深め、最後は生徒たちに自らのビジネスアイデアを大勢の生徒の前でプレゼンをしてもらいました。
自分がするのと同じくらいドキドキしましたが堂々とした姿に感動しました。

この記事でお伝えするアイデアの見つけかたのプロセスは、高校生に限らず新しいことを生み出していきたいという人に共通して役立つものだと思いますので、ぜひ参考にしてみてください!

生徒のみんなと一緒に

アイデアの見つけかた

アイデアはやみくもに見つけようとするアプローチではなかなか見つかりません。
自分の半径5メートルで起こっていることから気づきや疑問を持ち突き詰めていくことからはじまります。

講座で伝えてきた方針


世の中の有名なサービスもそのようにして生まれてきました。

クラスで取り上げた事例

「気づく」思考を身につけるトレーニング

ここで最も悩んだのが、今の環境で当たり前に過ごしている生徒たちに「気づく」ための思考を身につけてもらうことでした。

初めの頃、身の回りでの不満やこうなった方がよいと思うことはない?と聞くと、ほとんどの生徒が「特にないです…思いつかないです…」と黙ってしまいました。

小さい頃からスマホが身近な存在で様々な情報に触れることができ、成熟したサービスが溢れ、わかりやすい不便さや理不尽さに直面する機会が少ないということも影響しているかもしれません。まずは「気づく」力を身につけるトレーニングが必要と気づきました。

そこで身近で親しみやすいサービスをケースとして取り上げ、ひたすらWhyを出すトレーニングをしていきました。

Whyを出すトレーニング

次に「逆転の構造(※)」のフレームワークを使いながら、そのサービスが生まれる前の定説(常識)を出し、サービスが実現していった逆説を考えていきました。
定説とされていることへの違和感や気づきを見逃さず、一見誰もやらないようなことをやろうとするアイデアが大きなビジネスチャンスに繋がることの理解を深めていきました。
※出典『ビジネスモデル2.0図鑑』

逆転の構造(スニダン)

そしてリーンキャンバスを使って、世の中にあるサービスのターゲット顧客やどのような課題を解決しているのか想像を巡らせ言語化していきました。
サービスを使う側から、開発して提供する側の視点や思考に切り替えていけるよう様々なケースを通じて実践していきました。

リーンキャンバス(スニダン)

このようなトレーニングを通じて、自分たちの身の回りの気づきからビジネスアイデアを生み出すところまで大きく成長しました。
私の半径5メートルではなかった高校生ならではの興味深い気づきが色々と出てきて、年齢や経験値は関係なく誰でもいつからでもアイデアが見つけられると実感しました。

生徒のアイデアへの壁打ち

詳しくはこちらの記事もご覧ください。


講座を通じて伝えてきたこと

講座では、生徒がこれからの自分の色んな可能性を感じられるきっかけになれるようにという想いで取り組んでいきました。

新しいことに挑戦していくときに必ずしも特別な才能は必要ないこと。誰でもいつからでもスタートできる可能性があること。
言葉だけでなく体感してもらえるよう実践していきました。

こちらは生徒から寄せられた感想です。想いがしっかり伝わったと感じとても嬉しく思いました。

自分がサービスを提供する側になったときに、サービスを提供するまでにこんなにも時間がかかり難しいことなんだと思いました。
半径5mで不便なことと困っていることを探す。自分が生まれた時からの環境だから、嫌なこととか、不便なことって結構麻痺している。だから探すのにすごく時間がかかりました。
不便なことをサービス提供に至るまでには、1人だとなかなか難しいことがわかりました。けれど、自分が頑張っていれば人はついてくる。そうやって今の世の中ができているのだなと実感しました。
今回の学習を通して自分は消費者になるのではなく生産する側になりたいと思いました。

受講した生徒の感想より

さいごに

この講座を経て、生徒たちの成長を目の当たりにし、そのプロセスや人生の一部に関わることができたことを感謝しています。
これからも気づきを大切にし、大きな価値に変えていく旅を続けてもらえたらと願っています。

生徒へ送ったメッセージ

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